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やっと
愛理はずんと落ち込んだ。
「その日は、同期四人で結婚祝いを買いに行く予定だったの。でも二人が仕事で来られなくなって、山本くんと二人で買い物した。確かに山本くん、ここ最近湊斗についてしつこくて。私たちの問題だからって何度言っても諦めなくて……まさか、そんな。千紗と繋がってたってこと? 信じられない……」
「千紗にはこれ以上愛理を傷つけるなってことを強く言っといた。写真も目の前で削除はしてもらったけど……もう、千紗とは連絡を取らない方がいい。山本も、愛理さえよければ俺が対応してもいい?」
湊斗は優しく微笑んでそう言った。だが、目の奥が笑っていない気がする。愛理は少し不安になった。
「対応って……何するの? 暴力とかじゃない?」
「はは、暴力はしないタイプだよ」
「そうだよね。暴力はね」
「ただ、愛理に二度と近づくな、って言いたい。……言ってもいいよね? 愛理は山本のことが好きなんて、違うよね?」
湊斗はじっと愛理を懇願するような目で見た。頼むから違うって言ってほしい、そんなこと受け入れられない――そう顔に書いてある。
さっきの愛理の反応を見ても違うと思うのだが、本人の口からはっきりと聞いておきたい。
愛理はそんな湊斗の目を見つめ返し、大きく頷いた。
「違うよ。私は山本くんのこと、そんな風に思ってなんかない」
「……よかった」
湊斗は安心したようにふにゃりと笑った。緊張が抜けたような、子供みたいな顔で、それを見て愛理はどきりとした。
やっぱり自分は湊斗のこういう顔に弱いみたいだ。彼がずっと自分を好きでいて、結婚すら計画されていたことは衝撃的だけれど、別に嫌な気持ちになんてなっていない。あの頃は本当に結婚とか恋愛とか一生しないと思っていたから、偽装の結婚は戸惑いはしたけど、恨んだことは一度もなかった。
それに実際、湊斗と暮らし始めたことで自分は惹かれている。全て彼の思惑通りになってしまったことだけちょっぴり悔しく思うが、なるべくしてなったのかもしれない、とさえ思う。
むしろ、ずっと好いていてくれたのに全く気付かなかったなんて――
多分、あまりに近すぎたんだ。物心ついた頃からそばにいて、家族みたいに過ごして、自然と『対象外』と思い込んでいた。彼ほど自分を大事にしてくれた人はいないというのに、異性として見ることはなかった。
湊斗がこんな風に強引な手を使ってくれなければ、きっと自分は永遠に彼の存在の重要さに気づけていなかった。
湊斗はどこか叱られた子供のような、そんな顔をしながら続ける。
「こんな形で全部を言うつもりはなくて……一緒に暮らしていって、愛理に楽しいって思ってもらいたかった。そしていつか本当の夫婦になれたら、って思ってたのに。急に言われて愛理もびっくりしたと思う。怒ったり、呆れたりするのは当然だと思う」
「そんな……」
「普通、引くよね。ごめん、愛理……」
落ち込んだように俯く湊斗の頬を、愛理は思わず手で包んで顔を持ち上げた。突然触られた湊斗は驚いたように目を真ん丸にしている。
愛理は微笑んで湊斗に言った。
「私も、湊斗が好きだよ」
「……うん、ずっと家族みたいに過ごしてて……」
「そうじゃなくって。いやそれもそうだけど、一緒に暮らしていく中で湊斗をしっかり意識しちゃってたの。だから湊斗に他に好きな人がいるって知った時辛かったし、もうこの関係が終わっちゃうのかと思ってなかなか聞けなかったの」
愛理がそう言った途端、湊斗はさらに目を見開いた。愛理の手で包まれた頬は丸く盛り上がっていて、なんだか小動物みたいに見えて少し笑ってしまった。可愛い、とすら思えた。
「…………え? ごめん、俺今一瞬寝てたみたい」
「寝てないでしょ! 起きてたでしょ!」
「あ、じゃあ幻聴が……」
「幻聴じゃないでしょ!」
愛理は笑いながらそう言った。湊斗はしばらくそのまま沈黙を流し、完全にショートしてしまっている表情で瞬きすらしなかった。愛理は苦笑いして声を掛ける。
「湊斗、聞いてる?」
「……あ、ちょ、ちょっと待ってて、ちょっと顔を洗って冷静にならないと、頭が回らなくて……」
「えっ。このタイミングで顔洗いに行くの?」
「夢? いや妄想……? 俺ついに現実と夢の境目がなくなった? 一体どこから夢で……?」
もはや心がどこかに行ってしまったようで、湊斗はふらふらと立ち上がって洗面所の方へ向かって行ってしまう。愛理は愛理で、ぽかんとそれを見送るしか出来ない。一世一代の告白をして、湊斗もてっきり喜んでくれるとばかり思ったのに、なんか様子がおかしい。
「ちょ、ちょっと湊斗! 私の告白、放置していくの!?」
困りながら声を掛けたとき、リビングの扉に湊斗が思い切り激突した。ものすごい衝突音に、愛理はぎょっとした。
「うわあ! み、湊斗大丈夫!?」
慌てて湊斗に駆け寄る。彼はしゃがみこんで顔を押さえていた。
「凄い音したよ? もー、見せて!」
「いてえ……」
「あんな音立ててたらそりゃ痛いだろうね」
「え……夢じゃないってこと?」
パッと顔を上げた湊斗の額は真っ赤に染まっており、つい愛理は吹き出して笑ってしまった。派手にぶつかって痛がった直後の発言が、それだなんて。
「夢なわけないでしょ。なんで急に夢だと思ってんのよ。あーあ、赤くなっちゃってる。たんこぶになるかもよ」
愛理は笑いながら湊斗の額をさする。赤く染まった皮膚は痛々しく、きっと今湊斗はかなり痛みを覚えているだろうなと思った。するとその途端、湊斗が力強く愛理を抱きしめた。突然のことに愛理は戸惑う。
「み、湊斗……」
「ごめ……もう頭ぐちゃぐちゃでわけわかんないけど、とりあえずこうさせて……」
愛理の笑いはすぐに引っ込んだ。どこか震える体で愛理を抱きしめてくる湊斗の体温が心地よくて、でも同時に酷く胸を苦しませた。
実家のアルバムには、湊斗と抱き合って笑う小さな頃の自分の写真があった。仲がよくてよくハグをしていたらしいが、そんなのはせいぜい幼稚園まで。最後にこんな風に湊斗の体温を感じたのはいつだったんだろう。あんなにずっと近くにいても、友達である以上触れ合うことはほとんどなかった。
当然ながら自分より大きくてがっしりした湊斗の体はいやでも彼が男性だということを思い出させる。心臓がドキドキと鳴り、不思議な感覚になる。
そっと愛理が湊斗の背中に手を回すと、彼の体が少し跳ねた。ふわりと湊斗の香りがして、愛理は心地よく思う。
「……あの、愛理」
「……うん」
「……ごめん。なんか俺テンパって、めっちゃ意味わかんない事してた……」
「してたね」
「……俺の事好き?」
「えっ」
「好き?」
「い、言ったじゃん」
「何度も聞かせてよ」
湊斗がゆっくり愛理を離して正面から見つめる。熱っぽい視線に当てられて、愛理の体の奥がうずく。
「俺は、ずっと愛理が好きだよ。愛理しか好きじゃない。何度も諦めようと思ったのに無理だった。愛理は?」
「……私も、好きだよ。気づくのが遅くなってごめん」
愛理がそう言うと、湊斗は泣きそうな顔で笑った。そして再び愛理を強く強く抱きしめ、これが現実だと確認し続けた。
(夢じゃない……愛理が、ついに俺を見てくれた)
愛理に彼氏ができて死ぬほど落ち込んだあの頃に自分に教えてあげたい。正攻法ではない部分もあったけど、自分は攻め続け、愛理は結局自分を見てくれたのだと。
「愛理、俺……」
喜びを噛みしめながらそう名前を呼んだとき、場違いな音がした。
ぐう、と。
「……あは、お腹空いた」
愛理が照れくさそうに笑う。その気取らない顔に湊斗もつられて笑った。
「まずはご飯にしよっか」
「賛成」
二人はそう言ってようやく立ち上がった。
「その日は、同期四人で結婚祝いを買いに行く予定だったの。でも二人が仕事で来られなくなって、山本くんと二人で買い物した。確かに山本くん、ここ最近湊斗についてしつこくて。私たちの問題だからって何度言っても諦めなくて……まさか、そんな。千紗と繋がってたってこと? 信じられない……」
「千紗にはこれ以上愛理を傷つけるなってことを強く言っといた。写真も目の前で削除はしてもらったけど……もう、千紗とは連絡を取らない方がいい。山本も、愛理さえよければ俺が対応してもいい?」
湊斗は優しく微笑んでそう言った。だが、目の奥が笑っていない気がする。愛理は少し不安になった。
「対応って……何するの? 暴力とかじゃない?」
「はは、暴力はしないタイプだよ」
「そうだよね。暴力はね」
「ただ、愛理に二度と近づくな、って言いたい。……言ってもいいよね? 愛理は山本のことが好きなんて、違うよね?」
湊斗はじっと愛理を懇願するような目で見た。頼むから違うって言ってほしい、そんなこと受け入れられない――そう顔に書いてある。
さっきの愛理の反応を見ても違うと思うのだが、本人の口からはっきりと聞いておきたい。
愛理はそんな湊斗の目を見つめ返し、大きく頷いた。
「違うよ。私は山本くんのこと、そんな風に思ってなんかない」
「……よかった」
湊斗は安心したようにふにゃりと笑った。緊張が抜けたような、子供みたいな顔で、それを見て愛理はどきりとした。
やっぱり自分は湊斗のこういう顔に弱いみたいだ。彼がずっと自分を好きでいて、結婚すら計画されていたことは衝撃的だけれど、別に嫌な気持ちになんてなっていない。あの頃は本当に結婚とか恋愛とか一生しないと思っていたから、偽装の結婚は戸惑いはしたけど、恨んだことは一度もなかった。
それに実際、湊斗と暮らし始めたことで自分は惹かれている。全て彼の思惑通りになってしまったことだけちょっぴり悔しく思うが、なるべくしてなったのかもしれない、とさえ思う。
むしろ、ずっと好いていてくれたのに全く気付かなかったなんて――
多分、あまりに近すぎたんだ。物心ついた頃からそばにいて、家族みたいに過ごして、自然と『対象外』と思い込んでいた。彼ほど自分を大事にしてくれた人はいないというのに、異性として見ることはなかった。
湊斗がこんな風に強引な手を使ってくれなければ、きっと自分は永遠に彼の存在の重要さに気づけていなかった。
湊斗はどこか叱られた子供のような、そんな顔をしながら続ける。
「こんな形で全部を言うつもりはなくて……一緒に暮らしていって、愛理に楽しいって思ってもらいたかった。そしていつか本当の夫婦になれたら、って思ってたのに。急に言われて愛理もびっくりしたと思う。怒ったり、呆れたりするのは当然だと思う」
「そんな……」
「普通、引くよね。ごめん、愛理……」
落ち込んだように俯く湊斗の頬を、愛理は思わず手で包んで顔を持ち上げた。突然触られた湊斗は驚いたように目を真ん丸にしている。
愛理は微笑んで湊斗に言った。
「私も、湊斗が好きだよ」
「……うん、ずっと家族みたいに過ごしてて……」
「そうじゃなくって。いやそれもそうだけど、一緒に暮らしていく中で湊斗をしっかり意識しちゃってたの。だから湊斗に他に好きな人がいるって知った時辛かったし、もうこの関係が終わっちゃうのかと思ってなかなか聞けなかったの」
愛理がそう言った途端、湊斗はさらに目を見開いた。愛理の手で包まれた頬は丸く盛り上がっていて、なんだか小動物みたいに見えて少し笑ってしまった。可愛い、とすら思えた。
「…………え? ごめん、俺今一瞬寝てたみたい」
「寝てないでしょ! 起きてたでしょ!」
「あ、じゃあ幻聴が……」
「幻聴じゃないでしょ!」
愛理は笑いながらそう言った。湊斗はしばらくそのまま沈黙を流し、完全にショートしてしまっている表情で瞬きすらしなかった。愛理は苦笑いして声を掛ける。
「湊斗、聞いてる?」
「……あ、ちょ、ちょっと待ってて、ちょっと顔を洗って冷静にならないと、頭が回らなくて……」
「えっ。このタイミングで顔洗いに行くの?」
「夢? いや妄想……? 俺ついに現実と夢の境目がなくなった? 一体どこから夢で……?」
もはや心がどこかに行ってしまったようで、湊斗はふらふらと立ち上がって洗面所の方へ向かって行ってしまう。愛理は愛理で、ぽかんとそれを見送るしか出来ない。一世一代の告白をして、湊斗もてっきり喜んでくれるとばかり思ったのに、なんか様子がおかしい。
「ちょ、ちょっと湊斗! 私の告白、放置していくの!?」
困りながら声を掛けたとき、リビングの扉に湊斗が思い切り激突した。ものすごい衝突音に、愛理はぎょっとした。
「うわあ! み、湊斗大丈夫!?」
慌てて湊斗に駆け寄る。彼はしゃがみこんで顔を押さえていた。
「凄い音したよ? もー、見せて!」
「いてえ……」
「あんな音立ててたらそりゃ痛いだろうね」
「え……夢じゃないってこと?」
パッと顔を上げた湊斗の額は真っ赤に染まっており、つい愛理は吹き出して笑ってしまった。派手にぶつかって痛がった直後の発言が、それだなんて。
「夢なわけないでしょ。なんで急に夢だと思ってんのよ。あーあ、赤くなっちゃってる。たんこぶになるかもよ」
愛理は笑いながら湊斗の額をさする。赤く染まった皮膚は痛々しく、きっと今湊斗はかなり痛みを覚えているだろうなと思った。するとその途端、湊斗が力強く愛理を抱きしめた。突然のことに愛理は戸惑う。
「み、湊斗……」
「ごめ……もう頭ぐちゃぐちゃでわけわかんないけど、とりあえずこうさせて……」
愛理の笑いはすぐに引っ込んだ。どこか震える体で愛理を抱きしめてくる湊斗の体温が心地よくて、でも同時に酷く胸を苦しませた。
実家のアルバムには、湊斗と抱き合って笑う小さな頃の自分の写真があった。仲がよくてよくハグをしていたらしいが、そんなのはせいぜい幼稚園まで。最後にこんな風に湊斗の体温を感じたのはいつだったんだろう。あんなにずっと近くにいても、友達である以上触れ合うことはほとんどなかった。
当然ながら自分より大きくてがっしりした湊斗の体はいやでも彼が男性だということを思い出させる。心臓がドキドキと鳴り、不思議な感覚になる。
そっと愛理が湊斗の背中に手を回すと、彼の体が少し跳ねた。ふわりと湊斗の香りがして、愛理は心地よく思う。
「……あの、愛理」
「……うん」
「……ごめん。なんか俺テンパって、めっちゃ意味わかんない事してた……」
「してたね」
「……俺の事好き?」
「えっ」
「好き?」
「い、言ったじゃん」
「何度も聞かせてよ」
湊斗がゆっくり愛理を離して正面から見つめる。熱っぽい視線に当てられて、愛理の体の奥がうずく。
「俺は、ずっと愛理が好きだよ。愛理しか好きじゃない。何度も諦めようと思ったのに無理だった。愛理は?」
「……私も、好きだよ。気づくのが遅くなってごめん」
愛理がそう言うと、湊斗は泣きそうな顔で笑った。そして再び愛理を強く強く抱きしめ、これが現実だと確認し続けた。
(夢じゃない……愛理が、ついに俺を見てくれた)
愛理に彼氏ができて死ぬほど落ち込んだあの頃に自分に教えてあげたい。正攻法ではない部分もあったけど、自分は攻め続け、愛理は結局自分を見てくれたのだと。
「愛理、俺……」
喜びを噛みしめながらそう名前を呼んだとき、場違いな音がした。
ぐう、と。
「……あは、お腹空いた」
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