33 / 38
終わり
「……え」
乾いた声が千紗の口から漏れる。
『何よ、馬鹿にして! そうよ、この写真はわざとそういうふうに見えるように撮影したわよ! いつまでもだらだら一緒にいるあんたたちを何とかしようとしてあげただけじゃない!』
一気に全身から血の気が引く。
その発言には身に覚えがあった。湊斗を呼び出して愛理と別れさせようとした時、失礼な発言をしてくる彼に言い返したのだ。あの時確かに、自分はわざと愛理と山本がキスをしているような写真を撮ったと言ってしまった。
たらりとこめかみに汗が伝う。
一体どうして、こんな音声が。
顔面蒼白になった千紗を見て湊斗がにやりと口角を上げた。
「自分で言ってたじゃん。わざと写真を撮ったって。山本だってそれを証言してる。言い逃れしようとするには無理があるでしょう?」
「……なん、で……」
ざわざわと周りが騒ぎ始める。『友達を嵌めようとしたってこと?』『あの人って営業部の松永千紗って人でしょ?』『友達に対してさっきの発言って……』
千紗は顔を引きつらせて二人に言う。
「ま、待って。別室で話そうか。ここじゃ……」
「愛理のことで話したいって言われたから、いろんな可能性を考えて一応音声を録音しておいたんだ。それに、千紗と二人で会うとなれば愛理に勘違いされるリスクがあるからね。ラッキーだったよ。一部始終全部録音してあるから」
「……」
「あのまま大人しくしておけば、この音声がこんな形で公開されることなんてなかったのに……。俺たち夫婦の家に友達の顔して遊びに来て、避妊具の空袋を忍ばせておくとか、やることえぐいよね」
まあ、これに関しては状況証拠しかないんだけど。湊斗は心の中で呟いた。
周りのざわめきが一層大きくなる。『え、やばくない?』『避妊具の空袋を友達夫婦の家にわざと置いといたってこと?』『えぐっ!』
面白おかしくそう言う人々が、千紗に向けてスマホを向けていることに気が付いた。千紗はカッとなって怒鳴る。
「やめて、撮んなよ!!」
必死になって顔を隠す千紗を、隣の同僚は完全に引いた目で見ている。それを湊斗は冷たい目で見下ろしながら言う。
「千紗。いろいろと脇が甘い。こっちはもうしかるべき場所に相談してどんどん話は進んでる。山本は全部を話したし、もう愛理の無実は証明されてる。お前は逃げられないんだよ」
それを聞いて、千紗の体が徐々にがくがくと震え始める。
「え……しかるべき場所、って……」
背後ではいまだ小さくないざわめきが聞こえる。
山本が全部ばらして、あの音声が存在して、それをこんな場所で全部言われて、私は一体どうなるの? これから……。
ぐるぐると頭が混乱する千紗の正面に、愛理がすっと立った。愛理はまっすぐな目で千紗を見つめ、はっきりと声を出す。
「私はずっと友達だと思ってた。定期的にご飯だって言ってたし、千紗だから新居にも呼んだ。千紗が湊斗を好きだったことに気づかなかったのは悪かったけど、でもこんなことをされるなんて思ってなかった。……ショックだったよ」
そんな愛理に、千紗はふらふらと近づいてすり寄った。
「あ、愛理? ちょっと出来心でしちゃっただけなの。ほんと……本当はずっと親友だって思ってたよ! ただ、愛理が羨ましくなっちゃっただけなの。お願い、許して? 愛理から湊斗に言ってよ。楽しかった時のことも思い出して! 晴れ屋の会も気まずくなっちゃうよ?」
必死に愛理に縋って見せるので、湊斗は呆れて言葉も出なかった。
ここまで人を陥れておいて、出来事だから許してほしいとは。
愛理は冷静な目で千紗を見つめている。
「愛理……お、お願い。謝るから……」
「友達だからこそ許せない」
愛理はきっぱりと言い放った。千紗は目を見開て固まる。
「私だけじゃなくて湊斗も巻き込んだ。山本くんはもう素直に認めて謝ってくれてる。処分でも何でも受け入れますって言ってる。千紗は違うの?」
「ま、待ってよ。反省はしてるから。でもまさか、こんな大事になるなんて……」
「大学の頃からずっと一緒で、社会人になっても定期的に遊んでた。私、千紗に悩みもたくさん聞いてもらったよ。感謝してる。でもだからこそ悲しくて許せないの。あなたはもう私の友達じゃない」
愛理の声は苦しそうで、悲しみに溢れていた。その声がまたさらに周囲の人々の気持ちを高ぶらせ、千紗になお強い非難の視線が浴びせられる。それに気づいた千紗は一気に顔を歪めてぶちぎれた。
「……被害者ぶってんじゃねーよ! そうやって同情集めて、ほんと性格悪い!! 私は昔からあんたが大っ嫌いだったんだよ!!」
唾をまき散らしながら般若のような顔で叫ぶ。湊斗がすっと愛理の前に立ち、背中で庇うようにした。周りはあまりにドン引きし、自然と少しずつ後退して千紗から距離を置く。
「私は悪くない! 鈍感で性格悪い愛理が全部悪い!!」
「千紗……」
「私の方がずっと可愛いしモテるのに、湊斗をずっと独り占めしててほんとキモイ!」
そう言い捨てると、千紗は愛理に殴りかかろうとした。だがもちろん湊斗にあっさり止められ、逆に勢いあまって自分が床に倒れこんでしまう。
冷たい地面に倒れた千紗は、強く歯ぎしりをするとようやくどうしようも出来ないと悟ったのか、立ち上がって人混みをかき分けて飛び出した。それを見た湊斗は愛理にこそっと耳打ちする。
「俺たちも行くよ」
「えっ」
湊斗は愛理の手を握ると、すぐにその場から駆け出した。逃げるようにその場を後にしながら、湊斗は無事千紗の裏の顔を公にできたことにほっとしていた。
(思ったより騒ぎが大きくなっちゃったけどなー……)
湊斗は走りながら頭を搔く。だが仕方ない。そもそも初めに違う場所で、と言ったのに千紗があの場で進めることを決めたのだ。
あちらは殴りかかってきたから暴力を振るおうとしてきたのだし、圧倒的に向こうが悪い。
「ね、ねえ湊斗……凄く大きな騒ぎになったけど大丈夫なのかな」
手を引く愛理が心配そうに尋ねてきた。湊斗は振り返り、笑って見せる。
「愛理がされたことに比べたら全然平気でしょ。しかも、愛理は冤罪。向こうは悪事をばらされたってことだから比べるのもおかしいよ」
「そうじゃなくて、いろいろ動いてくれたのは湊斗だから……湊斗に迷惑がかからない?」
こんなときに自分の心配をしてくれる愛理を、湊斗は愛しく思った。足を止めて微笑んで見せる。
「大丈夫。それに俺、愛理にかけられる迷惑なら大歓迎なんだけど」
「なにそれ……だって、いろんな人に見られたし大騒ぎになって。湊斗も注目されちゃったし」
「愛理のためなら、どうなっても構わないんだよ。ほんとに」
そう言った湊斗に、愛理は言い返す。
「じゃあ、私もその分湊斗に迷惑を掛けてもらわないと困る」
湊斗は一瞬きょとんとしたが、すぐに笑った。
「これからずっと一緒にいるんだから、きっと迷惑はかけるよ。夫婦ってそんなもんでしょ?」
その言葉を聞いた愛理も、優しく笑った。
「くそ、くそ、くそ!!」
自分のアパートに帰った千紗は、持っていたカバンを思い切り投げつけた。朝使ったままのグラスが倒れ、中に入っていたお茶が零れる。今度はそのまま、グラスを地面に叩きつけた。
近くに置いてあった観葉植物を手に取り、それを壁に投げつける。
「なんでこんなことになんのよ! どいつもこいつも役に立たないし、愛理愛理ってうるさい……! あの偽善者が。ブスが調子乗ってんなよ!!」
息を乱しながら叫び、喉に痛みを覚えた。
よりによって会社の玄関であんなことになったら、これから働いていくなんてできっこない。好奇の目で見られるなんて耐えられない。
せっかくそれなりの条件の会社に入れたのに。あとはそれなりの男を捕まえて寿退社でもすれば全部終わりだったのに……!
「転職するしかないじゃん……このままで終わると思うなよ。絶対もっと愛理を苦しませて……」
一人でそうぶつぶつと言っていると、カバンの中に入ったままのスマホが鳴った。一旦は無視したが、少ししてまた鳴り響く。そういえば、帰ってくる途中にも何度か鳴ってたっけ。
「んだよこの忙しい時に……!」
千紗はイラついたままカバンからスマホを取り出し、届いた通知を見て息が止まった。
「……なに、これ」
『これ、千紗じゃない?』
『めっちゃSNSで流れてるよ……?』
『もう本名も流れてるけど、大丈夫なの?』
知り合いや同僚からいくつもそんなメッセージが届いている。震える手でタップすると、SNSに先ほどの騒ぎの動画が載せられていた。
一応加工はしてあるので、顔そのものはアップされていない。だが、会社のロビーなので、どこの会社かすでに特定が進んでしまっているようだった。
さらには、千紗の名前まで載っており、個人のアカウントも特定されメッセージが山のように来ていた。
「……嘘でしょ……」
千紗が愛理に吐いた暴言も全て残されている。不倫の証拠を偽装して、友人夫婦を陥れようとしたことも文章で書かれてしまっていた。
がくがくと体が震える。
「こんなはずじゃ……」
なかったのに。
これじゃあ転職どころの騒ぎじゃない。湊斗は訴えると言っていたし、外を歩くことすらままならない。
がくっとその場に膝をつく。
「……私、どうなるの……」
愕然と呟いた。
乾いた声が千紗の口から漏れる。
『何よ、馬鹿にして! そうよ、この写真はわざとそういうふうに見えるように撮影したわよ! いつまでもだらだら一緒にいるあんたたちを何とかしようとしてあげただけじゃない!』
一気に全身から血の気が引く。
その発言には身に覚えがあった。湊斗を呼び出して愛理と別れさせようとした時、失礼な発言をしてくる彼に言い返したのだ。あの時確かに、自分はわざと愛理と山本がキスをしているような写真を撮ったと言ってしまった。
たらりとこめかみに汗が伝う。
一体どうして、こんな音声が。
顔面蒼白になった千紗を見て湊斗がにやりと口角を上げた。
「自分で言ってたじゃん。わざと写真を撮ったって。山本だってそれを証言してる。言い逃れしようとするには無理があるでしょう?」
「……なん、で……」
ざわざわと周りが騒ぎ始める。『友達を嵌めようとしたってこと?』『あの人って営業部の松永千紗って人でしょ?』『友達に対してさっきの発言って……』
千紗は顔を引きつらせて二人に言う。
「ま、待って。別室で話そうか。ここじゃ……」
「愛理のことで話したいって言われたから、いろんな可能性を考えて一応音声を録音しておいたんだ。それに、千紗と二人で会うとなれば愛理に勘違いされるリスクがあるからね。ラッキーだったよ。一部始終全部録音してあるから」
「……」
「あのまま大人しくしておけば、この音声がこんな形で公開されることなんてなかったのに……。俺たち夫婦の家に友達の顔して遊びに来て、避妊具の空袋を忍ばせておくとか、やることえぐいよね」
まあ、これに関しては状況証拠しかないんだけど。湊斗は心の中で呟いた。
周りのざわめきが一層大きくなる。『え、やばくない?』『避妊具の空袋を友達夫婦の家にわざと置いといたってこと?』『えぐっ!』
面白おかしくそう言う人々が、千紗に向けてスマホを向けていることに気が付いた。千紗はカッとなって怒鳴る。
「やめて、撮んなよ!!」
必死になって顔を隠す千紗を、隣の同僚は完全に引いた目で見ている。それを湊斗は冷たい目で見下ろしながら言う。
「千紗。いろいろと脇が甘い。こっちはもうしかるべき場所に相談してどんどん話は進んでる。山本は全部を話したし、もう愛理の無実は証明されてる。お前は逃げられないんだよ」
それを聞いて、千紗の体が徐々にがくがくと震え始める。
「え……しかるべき場所、って……」
背後ではいまだ小さくないざわめきが聞こえる。
山本が全部ばらして、あの音声が存在して、それをこんな場所で全部言われて、私は一体どうなるの? これから……。
ぐるぐると頭が混乱する千紗の正面に、愛理がすっと立った。愛理はまっすぐな目で千紗を見つめ、はっきりと声を出す。
「私はずっと友達だと思ってた。定期的にご飯だって言ってたし、千紗だから新居にも呼んだ。千紗が湊斗を好きだったことに気づかなかったのは悪かったけど、でもこんなことをされるなんて思ってなかった。……ショックだったよ」
そんな愛理に、千紗はふらふらと近づいてすり寄った。
「あ、愛理? ちょっと出来心でしちゃっただけなの。ほんと……本当はずっと親友だって思ってたよ! ただ、愛理が羨ましくなっちゃっただけなの。お願い、許して? 愛理から湊斗に言ってよ。楽しかった時のことも思い出して! 晴れ屋の会も気まずくなっちゃうよ?」
必死に愛理に縋って見せるので、湊斗は呆れて言葉も出なかった。
ここまで人を陥れておいて、出来事だから許してほしいとは。
愛理は冷静な目で千紗を見つめている。
「愛理……お、お願い。謝るから……」
「友達だからこそ許せない」
愛理はきっぱりと言い放った。千紗は目を見開て固まる。
「私だけじゃなくて湊斗も巻き込んだ。山本くんはもう素直に認めて謝ってくれてる。処分でも何でも受け入れますって言ってる。千紗は違うの?」
「ま、待ってよ。反省はしてるから。でもまさか、こんな大事になるなんて……」
「大学の頃からずっと一緒で、社会人になっても定期的に遊んでた。私、千紗に悩みもたくさん聞いてもらったよ。感謝してる。でもだからこそ悲しくて許せないの。あなたはもう私の友達じゃない」
愛理の声は苦しそうで、悲しみに溢れていた。その声がまたさらに周囲の人々の気持ちを高ぶらせ、千紗になお強い非難の視線が浴びせられる。それに気づいた千紗は一気に顔を歪めてぶちぎれた。
「……被害者ぶってんじゃねーよ! そうやって同情集めて、ほんと性格悪い!! 私は昔からあんたが大っ嫌いだったんだよ!!」
唾をまき散らしながら般若のような顔で叫ぶ。湊斗がすっと愛理の前に立ち、背中で庇うようにした。周りはあまりにドン引きし、自然と少しずつ後退して千紗から距離を置く。
「私は悪くない! 鈍感で性格悪い愛理が全部悪い!!」
「千紗……」
「私の方がずっと可愛いしモテるのに、湊斗をずっと独り占めしててほんとキモイ!」
そう言い捨てると、千紗は愛理に殴りかかろうとした。だがもちろん湊斗にあっさり止められ、逆に勢いあまって自分が床に倒れこんでしまう。
冷たい地面に倒れた千紗は、強く歯ぎしりをするとようやくどうしようも出来ないと悟ったのか、立ち上がって人混みをかき分けて飛び出した。それを見た湊斗は愛理にこそっと耳打ちする。
「俺たちも行くよ」
「えっ」
湊斗は愛理の手を握ると、すぐにその場から駆け出した。逃げるようにその場を後にしながら、湊斗は無事千紗の裏の顔を公にできたことにほっとしていた。
(思ったより騒ぎが大きくなっちゃったけどなー……)
湊斗は走りながら頭を搔く。だが仕方ない。そもそも初めに違う場所で、と言ったのに千紗があの場で進めることを決めたのだ。
あちらは殴りかかってきたから暴力を振るおうとしてきたのだし、圧倒的に向こうが悪い。
「ね、ねえ湊斗……凄く大きな騒ぎになったけど大丈夫なのかな」
手を引く愛理が心配そうに尋ねてきた。湊斗は振り返り、笑って見せる。
「愛理がされたことに比べたら全然平気でしょ。しかも、愛理は冤罪。向こうは悪事をばらされたってことだから比べるのもおかしいよ」
「そうじゃなくて、いろいろ動いてくれたのは湊斗だから……湊斗に迷惑がかからない?」
こんなときに自分の心配をしてくれる愛理を、湊斗は愛しく思った。足を止めて微笑んで見せる。
「大丈夫。それに俺、愛理にかけられる迷惑なら大歓迎なんだけど」
「なにそれ……だって、いろんな人に見られたし大騒ぎになって。湊斗も注目されちゃったし」
「愛理のためなら、どうなっても構わないんだよ。ほんとに」
そう言った湊斗に、愛理は言い返す。
「じゃあ、私もその分湊斗に迷惑を掛けてもらわないと困る」
湊斗は一瞬きょとんとしたが、すぐに笑った。
「これからずっと一緒にいるんだから、きっと迷惑はかけるよ。夫婦ってそんなもんでしょ?」
その言葉を聞いた愛理も、優しく笑った。
「くそ、くそ、くそ!!」
自分のアパートに帰った千紗は、持っていたカバンを思い切り投げつけた。朝使ったままのグラスが倒れ、中に入っていたお茶が零れる。今度はそのまま、グラスを地面に叩きつけた。
近くに置いてあった観葉植物を手に取り、それを壁に投げつける。
「なんでこんなことになんのよ! どいつもこいつも役に立たないし、愛理愛理ってうるさい……! あの偽善者が。ブスが調子乗ってんなよ!!」
息を乱しながら叫び、喉に痛みを覚えた。
よりによって会社の玄関であんなことになったら、これから働いていくなんてできっこない。好奇の目で見られるなんて耐えられない。
せっかくそれなりの条件の会社に入れたのに。あとはそれなりの男を捕まえて寿退社でもすれば全部終わりだったのに……!
「転職するしかないじゃん……このままで終わると思うなよ。絶対もっと愛理を苦しませて……」
一人でそうぶつぶつと言っていると、カバンの中に入ったままのスマホが鳴った。一旦は無視したが、少ししてまた鳴り響く。そういえば、帰ってくる途中にも何度か鳴ってたっけ。
「んだよこの忙しい時に……!」
千紗はイラついたままカバンからスマホを取り出し、届いた通知を見て息が止まった。
「……なに、これ」
『これ、千紗じゃない?』
『めっちゃSNSで流れてるよ……?』
『もう本名も流れてるけど、大丈夫なの?』
知り合いや同僚からいくつもそんなメッセージが届いている。震える手でタップすると、SNSに先ほどの騒ぎの動画が載せられていた。
一応加工はしてあるので、顔そのものはアップされていない。だが、会社のロビーなので、どこの会社かすでに特定が進んでしまっているようだった。
さらには、千紗の名前まで載っており、個人のアカウントも特定されメッセージが山のように来ていた。
「……嘘でしょ……」
千紗が愛理に吐いた暴言も全て残されている。不倫の証拠を偽装して、友人夫婦を陥れようとしたことも文章で書かれてしまっていた。
がくがくと体が震える。
「こんなはずじゃ……」
なかったのに。
これじゃあ転職どころの騒ぎじゃない。湊斗は訴えると言っていたし、外を歩くことすらままならない。
がくっとその場に膝をつく。
「……私、どうなるの……」
愕然と呟いた。
あなたにおすすめの小説
ベンチャーCEOの想い溢れる初恋婚 溺れるほどの一途なキスを君に
犬上義彦
恋愛
『御更木蒼也(みさらぎそうや)』
三十歳:身長百八十五センチ
御更木グループの御曹司
創薬ベンチャー「ミサラギメディカル」CEO(最高経営責任者)
祖母がスイス人のクオーター
祖父:御更木幸之助:御更木グループの統括者九十歳
『赤倉悠輝(あかくらゆうき)』
三十歳:身長百七十五センチ。
料理動画「即興バズレシピ」の配信者
御更木蒼也の幼なじみで何かと頼りになる良き相棒だが……
『咲山翠(さきやまみどり)』
二十七歳:身長百六十センチ。
蒼也の許嫁
父:咲山優一郎:国立理化学大学薬学部教授
『須垣陸(すがきりく)』
三十四歳:百億円の資金を動かすネット投資家
**************************
幼稚園教諭の咲山翠は
御更木グループの御曹司と
幼い頃に知り合い、
彼の祖父に気に入られて許嫁となる
だが、大人になった彼は
ベンチャー企業の経営で忙しく
すれ違いが続いていた
ある日、蒼也が迎えに来て、
余命宣告された祖父のために
すぐに偽装結婚をしてくれと頼まれる
お世話になったおじいさまのためにと了承して
形式的に夫婦になっただけなのに
なぜか蒼也の愛は深く甘くなる一方で
ところが、蒼也の会社が株取引のトラブルに巻き込まれ、
絶体絶命のピンチに
みたいなお話しです
絶交した幼馴染と大学の合コンで再会した。
孤独な蛇
恋愛
中学生の浅野春樹は上級生と喧嘩騒動を起こしたことがあった。
その上、目つきが悪く地毛は茶髪のため不良少年のような扱いを受けて学校では孤立していた。
そんな中、幼馴染の深瀬志穂だけは春樹のことをいつも気遣ってくれていた。
同じ高校に行こうと声を掛けてくれる志穂の言葉に応えたい一心で受験勉強にも力を入れていた。
春樹にとって、学校で孤立していることは問題ではなかった。
昔から志穂が近くにいてくれるから……。
しかし、3年生なってから志穂の態度がよそよそしくなってきた。
登下校も別々になり、学校で話しかけてくることも無くなった。
志穂の心が自分から離れていってしまっている気がした春樹は焦っていた。
彼女と話がしたい。笑った顔が見たい。
志穂と一緒に帰ろうと、彼女が部活動を行っている体育館へ向かったのだが……。
そこで春樹が耳にしたのは、自分の悪口を言って部活の友達と楽しそうにしている志穂の声だった。
その瞬間、春樹の中で志穂に対する想いや信頼は……消滅した。
兄妹じゃないとわかったのでお兄様と結婚したら、全部仕込みでした
こじまき
恋愛
【20260401読みやすいように話を分割しました】
伯爵令嬢ヘイゼルは、兄アリステアに恋をしている。叶わないと知りながら、それでも諦めきれなかった。
しかし子ども時代の「取り違え」が発覚し、子爵令嬢ロレッタとして“正しい場所”で生き直すことに。
そして妹ではなくなった彼女に、アリステアは求婚する。
運命のねじれは正されて、望んだとおりに最愛の人と結ばれた――
けれど――その「正しい運命」は、兄アリステアによって用意されたものだった――
※「小説家になろう」にも投稿しています。
【完結】泡になった約束
山田森湖
恋愛
三十九歳、専業主婦。
夫と娘を送り出し、静まり返ったキッチンで食器を洗う朝。
洗剤の泡が立っては消えるその繰り返しに、自分の人生を重ねながら、彼女は「ごく普通」の日常を受け入れている。
愛がないわけではない。けれど、満たされているとも言い切れない。
そんな午前中、何気なく出かけたスーパーで、背後から名前を呼ばれる。
振り返った先にいたのは、かつて確かに愛した男――元恋人・佐々木拓也。
平穏だったはずの毎日に、静かな波紋が広がり始める。
ヒロインになれませんが。
橘しづき
恋愛
安西朱里、二十七歳。
顔もスタイルもいいのに、なぜか本命には選ばれず変な男ばかり寄ってきてしまう。初対面の女性には嫌われることも多く、いつも気がつけば当て馬女役。損な役回りだと友人からも言われる始末。 そんな朱里は、異動で営業部に所属することに。そこで、タイプの違うイケメン二人を発見。さらには、真面目で控えめ、そして可愛らしいヒロイン像にぴったりの女の子も。
イケメンのうち一人の片思いを察した朱里は、その二人の恋を応援しようと必死に走り回るが……。
全然上手くいかなくて、何かがおかしい??