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albino
しおりを挟むエルという町に、ぬいぐるみを作る工場がありました。
あなたはそこで生まれました。
その年、工場は、まいにち黒い猫のぬいぐるみを作っていました。
ところが。
工場で事故がおきました。
あなただけが、黒猫のぬいぐるみに、なれませんでした。
機械があなたを黒くぬる前に、壊れてしまったのです。
あなたは、黒猫として生まれたのに、白い猫になってしまいました。
おもちゃ屋さんは、一匹だけ白いあなたを置いてはくれません。
あなたは、工場で働く人に、引き取られました。
胸には「黒猫」という名札がついているのに、あなたは、白い猫のぬいぐるみ。
そんなあなたのことを好きになってくれる人はいません。
デキソコナイと呼ばれました。
フリョウヒンと呼ばれました。
白猫と呼ばれることはあっても、だれも黒猫とは呼んでくれません。
やがてあなたは、ごみ箱に捨てられました。
あなたは、たくさんのごみと一緒に運ばれました。
しかし途中で車から落ちてしまいました。
女の子が拾ってくれました。
女の子は、あなたのことを大切にしてくれました。
あなたは、女の子とせかいを旅しました。
でも、女の子は、あなたのことを、黒猫とは呼んでくれません。
そして。
あなたは、また捨てられました。
今度はだれもあなたのことを拾ってくれません。
あなたは、踏まれました。
あなたは、川に投げられました。
雨が降りました。
雪が降りました。
たくさんの、せんそうがありました。
あなたは、どんどん汚くなっていきました。
だれも拾ってくれません。
ようやくあなたは、おとなに拾われました。
おとなは、あなたのことを黒猫と呼んでくれました。
白くて綺麗だった毛は、ひどく汚れて真っ黒になっていました。
とうとうあなたは、黒猫になれたのです。
あなたは嬉しくてぽろぽろと涙をこぼしました。
やっと、あなたは、黒猫と呼んでくれる人に出会うことができたのです。
とても寒い日でした。
おとなは、あなたのことを火の中に投げ入れました。
あなたは、いなくなりました。
◇ ◆ ◇
神さまは、可哀相なあなたに、
命を与えることにしました。
遥かな時が過ぎたのち、
あなたは、目を覚ますでしょう。
今度は、ぬいぐるみではなく、
あなただけの色をもった、
ひとりの人間として。
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