放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ

文字の大きさ
4 / 14

妹が聖女になったそうですが……

しおりを挟む
「アイネスちゃん、この新聞見て」

 いつもの様におばちゃんの家に行ったら私に新聞を見せてくれた。

「え~と……、『エミリア・カンラダ嬢が聖女に内定』、あれ?私と同じ姓という事は」

「アイネスちゃんの妹よ」

「へぇ~、私の妹が聖女になったんですか、凄いですねぇ」

 チラッと見た妹らしき人物の姿を思い出した。

 ウェーブのかかった金髪に可愛らしい顔、そりゃあ聖女に選ばれるだろうなぁ、と思った。

「しかも王太子様の婚約者にも決まったそうだよ」

「王太子様の婚約者!?至れり尽くせりですね」

「でもね、何が基準かどうかはわからないけど私は見る目が無いと思うよ」

「なんでですか?」

「見た目は美人だけど性格が悪いんだよ、私らを見下すし我儘だし……、領民で良い感情を持ってる輩はいないよ」

 う~ん、私の妹評判が悪いみたい。

「でも聖女に選ばれた、という事は素質があるという事ですもんね」

「世の中ホント不平等だよ、アイネスちゃんの方が聖女に相応しいよ」

「いやいや、私なんて」

「そういう謙虚な所が良いんだよ」

 そう言っておばちゃんは笑った。

 そんな話があった数日後、私は衝撃的な話を聞く事になった。

「えっ!?妹が王家に対する不敬罪で捕まった?」

「みたいだよ、王妃様に失礼な態度取ったみたいで牢屋に入れられているみたいだね」

 なんでも王家主催のパーティーでやらかしたそうだ。

「あの子は『自分が一番!』だと思っている節があったから聖女に選ばれて暴走しちゃったんだろうねぇ、王妃様に睨まれたとなるとこれからが大変だよ」

「王妃様ってそんなに怖い方なんですか?」

「いや、普段は優しい方なんだよ、私もかつては王城で働いていた事があってね、凄くお世話になったんだけど怒らせたら国王様よりも怖いね」

 ……妹の幸先が不安になった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。  マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

愛しい義兄が罠に嵌められ追放されたので、聖女は祈りを止めてついていくことにしました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。  グレイスは元々孤児だった。孤児院前に捨てられたことで、何とか命を繋ぎ止めることができたが、孤児院の責任者は、領主の補助金を着服していた。人数によって助成金が支払われるため、餓死はさせないが、ギリギリの食糧で、最低限の生活をしていた。だがそこに、正義感に溢れる領主の若様が視察にやってきた。孤児達は救われた。その時からグレイスは若様に恋焦がれていた。だが、幸か不幸か、グレイスには並外れた魔力があった。しかも魔窟を封印する事のできる聖なる魔力だった。グレイスは領主シーモア公爵家に養女に迎えられた。義妹として若様と一緒に暮らせるようになったが、絶対に結ばれることのない義兄妹の関係になってしまった。グレイスは密かに恋する義兄のために厳しい訓練に耐え、封印を護る聖女となった。義兄にためになると言われ、王太子との婚約も泣く泣く受けた。だが、その結果は、公明正大ゆえに疎まれた義兄の追放だった。ブチ切れた聖女グレイスは封印を放り出して義兄についていくことにした。

王太子に婚約破棄されてから一年、今更何の用ですか?

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しいます。 ゴードン公爵家の長女ノヴァは、辺境の冒険者街で薬屋を開業していた。ちょうど一年前、婚約者だった王太子が平民娘相手に恋の熱病にかかり、婚約を破棄されてしまっていた。王太子の恋愛問題が王位継承問題に発展するくらいの大問題となり、平民娘に負けて社交界に残れないほどの大恥をかかされ、理不尽にも公爵家を追放されてしまったのだ。ようやく傷心が癒えたノヴァのところに、やつれた王太子が現れた。

悪役令嬢は処刑されないように家出しました。

克全
恋愛
「アルファポリス」と「小説家になろう」にも投稿しています。 サンディランズ公爵家令嬢ルシアは毎夜悪夢にうなされた。婚約者のダニエル王太子に裏切られて処刑される夢。実の兄ディビッドが聖女マルティナを愛するあまり、歓心を買うために自分を処刑する夢。兄の友人である次期左将軍マルティンや次期右将軍ディエゴまでが、聖女マルティナを巡って私を陥れて処刑する。どれほど努力し、どれほど正直に生き、どれほど関係を断とうとしても処刑されるのだ。

癒しの聖女を追放した王国は、守護神に愛想をつかされたそうです。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 癒しの聖女は身を削り激痛に耐え、若さを犠牲にしてまで五年間も王太子を治療した。十七歳なのに、歯も全て抜け落ちた老婆の姿にまでなって、王太子を治療した。だがその代償の与えられたのは、王侯貴族達の嘲笑と婚約破棄、そして実質は追放と死刑に繋がる領地と地位だった。この行いに、守護神は深く静かに激怒した。

病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』 メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不当な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような状況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機会を捉えて復讐を断行した。

奈落を封印する聖女ですが、可愛い妹が追放されたので、国を見捨てる事にしました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 ファンケン公爵家の長女クラリスは本来家を継ぐ立場だった。だが奈落の底に住む魔族を封印する奈落の聖女に選ばれてしまった。聖なる役目を果たすため、クラリスは聖女となり、次女のエレノアが後継者となった。それから五年、両親が相次いで亡くなり、エレノアは女性ながら公爵となり莫大な資産を引き継いだ。その財産に目をつけたのが、日頃から素行の悪い王太子アキーレヌだった。愛人のキアナと結託し、罠を仕掛けた。まず国王を動かし、エレノアを王太子の婚約者とした。その上で強引に婚前交渉を迫り、エレノアが王太子を叩くように仕向け、不敬罪でお家断絶・私財没収・国外追放刑とした。それを奈落を封じる神殿で聞いたクラリスは激怒して、国を見捨てエレノアと一緒に隣国に行くことにしたのだった。

処理中です...