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私の位置が盗まれていた……
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あの後、混乱する私を院長先生が部屋に呼んでくれた。
「クレッサ、これから話す事を冷静になって聞きなさい……、私はとんでもない過ちを犯してしまいました」
院長先生が申し訳なさそうに話し始めた。
「あなたが寝込んだ翌日にビオラント公爵様が来られて『愛人が私の娘を身籠っていた。妻が亡くなりその愛人を新たな妻として迎えたいのだが娘がいるのを聞いて是非引き取りたい』と言ってきたのよ。その証拠がペンダントで私はすぐに貴女の事だと思ったわ」
……理由がゲスすぎる。
要は浮気していて奥さんが亡くなったから愛人と一緒になる、ってハッキリ言ってその公爵はクズだ。
「ところが肝心の貴女は寝込んでいて会わせる訳にもいかない。その時、シスターユアンがペンダントを持っている子を知っている、と言って公爵様を連れて行ったのよ。それがクライアだったの。公爵はペンダントを確認して娘だと確認してクライア、そしてお世話係としてユアンを連れて行ったわ」
いや、そこはちゃんと確認するべきじゃないだろうか、面影とか。ペンダントを持っていたから、とかで娘認定なんてハッキリ言って甘すぎる。
「私が対応すればよかったんだけどどうしても外せない用事があったからユアンに任せたのだけど……、別のシスターから話を聞いて血が引いたわ」
そう言って院長先生は溜息を吐いた。
私もため息を吐きたい気分だ……。
「院長先生、謝らないでください。つまり私が本来はビオラント公爵に引き取られる筈だったんですよね?」
「えぇ、私はそう思っているわ」
「今の話で疑問があるんですが私のペンダントは何処で盗まれて何故クライアが持っていたんでしょうか?」
「正確に言うと持っていたのはユアンだったらしいわ。もしかしたらユアンが盗んだかもしれないわ。あの子は元々侯爵令嬢だったんだけど我儘が強すぎて侯爵様からのお願いで『根性を叩き直してほしい』て言われていたのよ」
そういえばユアンとクライアは結構一緒にいたのを目撃している。
クライアは所謂いじめっ子タイプで私も嫌がらせを受けた事がある。
ユアンもまじめなシスターっていう感じがしなかった。
つまり二人が何処かでこの孤児院に公爵様の隠し子がいる、という情報をつかんでそれが私である、と思ってペンダントを盗んだ、という事かもしれない。
「公爵様からは援助金を頂いていて今更間違いでした、なんて言えないしそもそも証拠もない……、貴女には本当に申し訳ない古都をしてしまったわ……」
院長先生は頭を下げた。
「頭を下げないでください、先生。私、今の話を聞いていたら多分公爵様の申し出を断っていたかもしれません。余りにも自分勝手な言い分で引き取ろう、なんて不愉快です」
うん、こういうバックグラウンドがあったなんてゲームでは言ってなかったから正直ショックだ。
そして、此処はゲームではなく現実だと感じた。
貴族の道はスッパリと諦めよう。
「クレッサ、これから話す事を冷静になって聞きなさい……、私はとんでもない過ちを犯してしまいました」
院長先生が申し訳なさそうに話し始めた。
「あなたが寝込んだ翌日にビオラント公爵様が来られて『愛人が私の娘を身籠っていた。妻が亡くなりその愛人を新たな妻として迎えたいのだが娘がいるのを聞いて是非引き取りたい』と言ってきたのよ。その証拠がペンダントで私はすぐに貴女の事だと思ったわ」
……理由がゲスすぎる。
要は浮気していて奥さんが亡くなったから愛人と一緒になる、ってハッキリ言ってその公爵はクズだ。
「ところが肝心の貴女は寝込んでいて会わせる訳にもいかない。その時、シスターユアンがペンダントを持っている子を知っている、と言って公爵様を連れて行ったのよ。それがクライアだったの。公爵はペンダントを確認して娘だと確認してクライア、そしてお世話係としてユアンを連れて行ったわ」
いや、そこはちゃんと確認するべきじゃないだろうか、面影とか。ペンダントを持っていたから、とかで娘認定なんてハッキリ言って甘すぎる。
「私が対応すればよかったんだけどどうしても外せない用事があったからユアンに任せたのだけど……、別のシスターから話を聞いて血が引いたわ」
そう言って院長先生は溜息を吐いた。
私もため息を吐きたい気分だ……。
「院長先生、謝らないでください。つまり私が本来はビオラント公爵に引き取られる筈だったんですよね?」
「えぇ、私はそう思っているわ」
「今の話で疑問があるんですが私のペンダントは何処で盗まれて何故クライアが持っていたんでしょうか?」
「正確に言うと持っていたのはユアンだったらしいわ。もしかしたらユアンが盗んだかもしれないわ。あの子は元々侯爵令嬢だったんだけど我儘が強すぎて侯爵様からのお願いで『根性を叩き直してほしい』て言われていたのよ」
そういえばユアンとクライアは結構一緒にいたのを目撃している。
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「頭を下げないでください、先生。私、今の話を聞いていたら多分公爵様の申し出を断っていたかもしれません。余りにも自分勝手な言い分で引き取ろう、なんて不愉快です」
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そして、此処はゲームではなく現実だと感じた。
貴族の道はスッパリと諦めよう。
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