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大聖堂にて

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 私は今、王都にある大聖堂に来ている。
 私だけじゃなくて孤児院の仲間達も一緒なんだけど。
 今日は月に1回、大聖堂の司祭様のありがた~い話を聞く日である。
 正直な話、小難しい話で右から左に通り抜けて行ってしまう。
 隣にいるミランカなんてほぼ夢の中だもん。
 いびきが聞こえないだけマシだと思う。
 まぁ、みんなこの後のデザートが楽しみで来てるみたいなもんだから現金である。
 司祭様のお話が終わり院長先生に連れられて私達は大聖堂の別室へとやって来た。
 お楽しみのデザートの時間だ。
 甘い紅茶と苺のショートケーキがテーブルに人数分置いてある。
 そういえばクライアがいた頃は知らない内にデザートが無くなっていてちょっとした騒動になった事もあったなぁ。
 アレは間違いなくクライアが盗み食いしていたに違いない。
 そう考えると本当に出ていってくれて良かった。
 こうして落ち着いて紅茶とケーキが食べれるんだからね。
「そういえばシスター、ご存じですか? ビオラント公爵家の噂を?」
「ビオラント公爵というと半年前にクライアを引き取っていた? 我が孤児院に多額な寄付を頂いて感謝しております」
「そのビオラント公爵家が今貴族の中で余り評判が良くないのです」
 院長先生と司祭様の話を私は聞き耳を立てていた。
「前の奥様が亡くなりすぐに再婚されましたが・・・・・・、その再婚相手と連れ子が我が物顔で威張り尽くしているのです」
「でも、彼処には先妻の娘がいらっしゃるのではないですか?」
「なんでも苛められているらしくて・・・・・・、公爵家で働いているメイドが訴えに来て知りまして、内情を調査しますと・・・・・・」
 え? クラウディアが苛められている?
 私はゲームの画面でしかその姿は見た事無いけど、常に強きでプライドの高いクラウディアがそんな目に会っているなんて・・・・・・。
 って言うか、その私のお母さんらしい女性は何をやっているんだろうか?
 後妻というのはもっと地味にしなきゃいけないんでは無かろうか?
 貴族になった事ではっちゃけてしまったのか。
 そんな人の血を継いでいるなんて恥ずかしい・・・・・・。
「公爵様は何も言わないんですか?」
「えぇ、我関せずみたいで・・・・・・」
「それはちょっと見逃せない案件ですわね・・・・・・」
 そう言って院長先生は何やら思案顔をしていた。
  
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