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Ⅰ 舞い戻る
#2 改造
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#2
「暗闇」という空間は、閉じ込められてしまえば終わり。餓死やら窒息死やらで亡くなってしまうだろう…と思うかもしれないが、とある噂では空腹感もなく、空気も常に澄んでいて、むしろ環境は素晴らしい、理想の場所だといわれていた。
しかしその一方で、「暗闇」はそんな甘々な場所ではなく、むしろ飢えに飢えて、酸素もどんどん枯渇していく厳しい空間ではないか、という説もあった。
真実は定かではないが、この二人はどの真実を目にするのか?
目の前で、魁斗が死んだ。
私が死ぬことは無い…ということを知られてしまったから、だと思う。
震えが止まらなかった。唯一の友人が死んだ。生命を終えた。
言葉が出なかった。
…というのは嘘。
魁斗は生きてる。絶対的な気配を感じる。ずっと長く一緒にいたせいか、1発で魁斗がいると分かるようになってしまった…
まずは、ここが何処なのか知らないと。私は今回も死ななかった。
闇の中にいるような場所。視界を奪われているわけでもなさそうだから、本当に暗い場所なんだと思う。方角も分からない。
とりあえず、そこら辺を歩いてみよう。
ここどこ!?
数分くらい歩いたけど、本当に闇の中だとは…
そういえば、確認するのを忘れた。
ちゃんと殺せたか、確認するまでが暗殺だから。
もし普通の人間だったら絶対に死んでいた。誘拐するにしてもあんなに強引だとさすがにびっくりするから、今回は「穴」を空けて時間を置くと窒息をして死ぬ暗殺を行った。
魁斗がタイミングを上手く作ってくれたのに、また一気に殺ることが出来なかった。
悔しい。
今の私には積極性っていうのがないのかもしれない。
次はもっと早く仕留められるように…
「起きたか?」
びっくりして咄嗟に持っていたピストルを構えてしまった。
「まあまあ、そんなに緊張するな…よ」
確かに「穴」を空けたはずなのに、目の前のターゲットは死んでいない。
「知ってるさ。お前……失礼、お前たちの戦い方は全て把握しているからな。」
「てことは、まさか、分かってたって、こと、なの?」
過呼吸になってしまった…自分の手の内が知られるほど恐ろしいことはない。
ピストルを下げ、腕がだらんと垂れ下がる。
「…もちろん。お前がその血を受け継いでいたのもちゃんと知っていたさ。」
「…まだ、死ねない…のね、私」
こうなったら、新たに戦法を練るしかない。そのためには相手をまず観察する所から。
そういえば、なぜ「穴」を空けたはずなのに血が出ていないのだろう?刺したままにはしていないはずだからなあ…
「……お前、あんまりジロジロこっちを見るもんじゃあないぞ。」
バレてた。
今は迂闊に動けない。相手は私の手の内を知っていて、しかも「穴」をあけても血が出てこない。
今、殺そうとしたら、殺されるだろう。
「とりあえず、堂崎魁斗はすぐにやってくるからな。それまで待っていろよ。」
…どういうこと?
「お前の標的は堂崎魁斗だ。」
突然、後ろから聞こえた声。女?でも、変声機を使っているようだ。男かもしれない。
………標的……?
標的…堂…崎…魁斗…
プツン…
「……出来が悪そうね、この子は。手応えはあったんだけれど…」
「出来ってあるのか?」
「もちろんよ。どれだけ私に従順になってくれるかっていうのは、とても大切なこと…」
「…へー。“改造”か…かっこいいな」
「…ター…ゲット………」
つづく
「暗闇」という空間は、閉じ込められてしまえば終わり。餓死やら窒息死やらで亡くなってしまうだろう…と思うかもしれないが、とある噂では空腹感もなく、空気も常に澄んでいて、むしろ環境は素晴らしい、理想の場所だといわれていた。
しかしその一方で、「暗闇」はそんな甘々な場所ではなく、むしろ飢えに飢えて、酸素もどんどん枯渇していく厳しい空間ではないか、という説もあった。
真実は定かではないが、この二人はどの真実を目にするのか?
目の前で、魁斗が死んだ。
私が死ぬことは無い…ということを知られてしまったから、だと思う。
震えが止まらなかった。唯一の友人が死んだ。生命を終えた。
言葉が出なかった。
…というのは嘘。
魁斗は生きてる。絶対的な気配を感じる。ずっと長く一緒にいたせいか、1発で魁斗がいると分かるようになってしまった…
まずは、ここが何処なのか知らないと。私は今回も死ななかった。
闇の中にいるような場所。視界を奪われているわけでもなさそうだから、本当に暗い場所なんだと思う。方角も分からない。
とりあえず、そこら辺を歩いてみよう。
ここどこ!?
数分くらい歩いたけど、本当に闇の中だとは…
そういえば、確認するのを忘れた。
ちゃんと殺せたか、確認するまでが暗殺だから。
もし普通の人間だったら絶対に死んでいた。誘拐するにしてもあんなに強引だとさすがにびっくりするから、今回は「穴」を空けて時間を置くと窒息をして死ぬ暗殺を行った。
魁斗がタイミングを上手く作ってくれたのに、また一気に殺ることが出来なかった。
悔しい。
今の私には積極性っていうのがないのかもしれない。
次はもっと早く仕留められるように…
「起きたか?」
びっくりして咄嗟に持っていたピストルを構えてしまった。
「まあまあ、そんなに緊張するな…よ」
確かに「穴」を空けたはずなのに、目の前のターゲットは死んでいない。
「知ってるさ。お前……失礼、お前たちの戦い方は全て把握しているからな。」
「てことは、まさか、分かってたって、こと、なの?」
過呼吸になってしまった…自分の手の内が知られるほど恐ろしいことはない。
ピストルを下げ、腕がだらんと垂れ下がる。
「…もちろん。お前がその血を受け継いでいたのもちゃんと知っていたさ。」
「…まだ、死ねない…のね、私」
こうなったら、新たに戦法を練るしかない。そのためには相手をまず観察する所から。
そういえば、なぜ「穴」を空けたはずなのに血が出ていないのだろう?刺したままにはしていないはずだからなあ…
「……お前、あんまりジロジロこっちを見るもんじゃあないぞ。」
バレてた。
今は迂闊に動けない。相手は私の手の内を知っていて、しかも「穴」をあけても血が出てこない。
今、殺そうとしたら、殺されるだろう。
「とりあえず、堂崎魁斗はすぐにやってくるからな。それまで待っていろよ。」
…どういうこと?
「お前の標的は堂崎魁斗だ。」
突然、後ろから聞こえた声。女?でも、変声機を使っているようだ。男かもしれない。
………標的……?
標的…堂…崎…魁斗…
プツン…
「……出来が悪そうね、この子は。手応えはあったんだけれど…」
「出来ってあるのか?」
「もちろんよ。どれだけ私に従順になってくれるかっていうのは、とても大切なこと…」
「…へー。“改造”か…かっこいいな」
「…ター…ゲット………」
つづく
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