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Ⅰ 舞い戻る
#3 襲撃
しおりを挟むこの世界線では、「能力」が存在する。
人間が歩くのも、走るのも、全て「能力」のうちに入るのだ。
その中でも、特殊な「能力」を持つ者を「能力者」と呼んだ。
しかし、全ての「能力者」達は、人前で「能力」を使うことはしない。
全ての「能力者」達は、人前で「能力」を使っているところを視界に入らせてしまうと「没収」されてしまうからだ。
西崎刹那は「能力者」ではない。
暗殺業を幼児期に極めに極め、とある「能力者」を殺すために、今もその「能力者」を探している。
灯台下暗し、とも呼ばれているが…
………さて、と。
みょーに既視感があるところに来てしまった。本質的には、来るのは初めてだろう。例えるならば…5億年ボタンを押した先に飛ばされる空間的なとこ、だな。
実際にこんなところで5億年も過ごすとなると…ノイローゼどころじゃあ無さそうだな…
まずは刹那を探そう。話はそれからだな。方角とかは分からないがな…
まさか、な…
数分ぐらい歩いて、もう人と出会ってしまった。気絶してるのか?
それにしても…展開が早すぎると思うんだが…
暗くてよく見えない(大嘘)が、ここにいる人間は刹那と攫っていった奴しか候補は今のところいないが…
もう少し近づいてみようか。
「はあ…まさか、こんなにも早く見つかることがあるとはな…おい、大丈夫か?」
刹那の体を少し揺すり、起こすのを試みてみる。
むくっ
「ああ…起きたか。」
「………か…い、と…………」
意識はあるみたいだな。死ぬことは老衰以外無いだろうが、精神はかなりやられるからな…
正直安心した。
「………ろ…………こ」
ん?そういえば、攫われてたとき、こいつ刺されてたよな?
なんか忘れてたような…
「ろ…す………」
………まさか。
完全に……忘れてた…
刹那を連れていったやつは俺の知人だ。
「能力」ってのを持っていて、確かそいつの名前は…えーと…
「殺す」
思い出せない…そして。
非常にまずい!
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
相手はガチだ。なんとか目を覚ましてやらなければ…
この殺気は…どこかで知ってるな…
「起きてもらって早々悪いが、死んでもらうぞ!」
手加減は、出来ない。
………まさか、ピストルを持っていたとは…
疲れた…
「死んでもらうぞ…だってよ。流石に笑ったぜ、あれ」
「お前…!やっぱり居たのか…!」
厄介者が来てしまった。えっと、こいつの名前は………
「よく頑張ったじゃないか、お前にしては。」
「お褒めに預かり光栄です…って言えばいいのか?」
まあ、言うだけでもイラッとくるが…
「お前の能力は、やっぱりこれだったのか。」
「やったのは私じゃないが…まあ、ある意味あってるな。」
どういうことだよ…
あれ?刹那の体が消えた。
奴がまた攫っていったのか?
いや…
「西崎、お前…まだ生きてんのかよ…」
刹那が俺を見下している。俺は刹那を見上げている。トドメを刺しに来たんだ。
こんなところで死んじまうなんてな…
あー、いい人生だった…
「西崎刹那は役に立ってるか?」
「……ちょっとタンマ、西崎。さすがにそのキャラはダメだ」
「いや、別人」
マジかよ…
「堂崎魁斗、君の末路が知りたくなってしまったのでね…来てしまったよ。」
俺は…こいつのことを知らないが、恐らくというか絶対、俺にとっては「敵」という存在だろう。
死ぬ確率upだな。
続く
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