Darkness.

ささささのは

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Ⅱ 遅かった

#6 過去

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堂崎魁斗は心を読む「能力」を持っている。

彼とはお互いに信頼し合っていた(と思う)。しかし、積み上げた信頼を一気に崩す大事件が起こった。


小さいが大きい…規模は小さいが、「能力者」の秩序を狂わせた事件だった。

嘉寺 盟奈。彼女の存在、「能力」が、社会に潜む特別な者達を狂わした。

言葉1つで、彼女の思い通りになってしまう能力。

永久に続く「能力」の効果。

強い自意識が無ければ、抗うことは出来なかった。








見えない壁が確かにここにある。見えてるけど。
また作ってしまった…
「能力」で作り出してしまった。半自動的に使ってしまうから、微調整が中々むずかしい。
ここはどこなんだろう?真っ暗で何も見えない。どこにいるかも分からない。
でも、楽しそうな場所。だけど…
何が印とかが無いと進めなさそう。印とかあっても進めなさそうだけど。

「……そうなの。なら、私と一緒に行かないかしら?」

びっくりした。え、誰?

「その顔は、あなたは何者か?なんて聞き出そうな顔ね。」

なぜバレたし。

「あ、ども、こんにちは…」

なんだ急に、この人は。あれ?聞き覚えのある声…

「挨拶なんていいのよ。とりあえず、私についてきてみたらいいわ。」

怪し………でも、この人以外に行く手立てとかないしなあ…

気のせいかな…どこかで…

「わ、わかりました…」

「私語でもいいのよ。」

「そんな、失礼…なので…」

「………そう。じゃあ、“私についてきなさい”。」

………!?
なんだろう、今の、意識が遠のく感じ…
この人に“ついて行かなくてはならない”と思ったのかな…

別に、当然かな。








数分後………

「ねえ、あなたはどうやってこの「暗闇」へ来たの?」

「え…えっと…まあ、なんか、興味をそそられまして…」

「そうなの。なんだか不思議ね」

「え……あ…そうなんですか…」

「そんなに怯えなくていいのよ。出口まで連れて行ってあげるわ。」

「あ……ありがとうございます…」

なんだろ…この人、怪しさ満々なんだけど…とにかく“ついて行かないと”って思っちゃうんだよなあ…







またまた数分後…

「ついたわ。」

「え、ここが…?」

「そうよ。ここが出口。」

「風景とか、何も、変わってないんですけど……」

「当然よ。同じ「暗闇」の中だもの。」

「じゃあ、出口って…一体……?」

「もちろん、出てこれたのよ。彼の視界からね。」

「視界……?」

何を…言っているんだろう……

「“私に従いなさい”」

…………眠く、なってきた…










目覚めるのが遅かった。
計画して、実行して、失敗した時に一緒にいたあいつが、あっち側についてしまった。
まさか、俺みたいに…やられた、のか?

「もう、お前は必要ないってさ。」

そう一言告げられて、俺は現実世界に戻された。
もう一度行こうと思っても、見えない壁で行けなかった。

この「能力」は…間違いない。確信した。本人だな。

滝根…そもそも、なんでこんな所に。
行く手段なんてあったのか?
ああ、もうめんどくせぇ…

なんとか、試すしかなさそうだな。
刹那は…呼ぶ必要はなさそうだ。

いや、でも……一応、呼んどくか。











ピリリリリリリ…………

「もしもし、西崎です」
「よう。今度一緒に出かけないか?」
「でも、ずっと勤務続きだしなあ…」
「手伝ってやるから、な?」
「助かる~!じゃあ、この日にあの場所に来てね!」
「おk。じゃあまた。」

プツッ

…………まさか、お誘いがくるとは…

私もモテてるのかも♪







続く
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