Darkness.

ささささのは

文字の大きさ
上 下
8 / 23
Ⅱ 遅かった

#8 発端

しおりを挟む
西崎家の血は、代々受け継がれてきた、由緒ある血統だった。しかし、とある「事件」をきっかけに、その一族は1人しか残る事が出来なかった。

「死なない体」。そのままの意味だが、その血は大きい意味を持っていた。

何をされても絶対に滅びはしない体。そして血。
不老は存在しないが、その不死の体を求める者は数多く存在した。

西崎家にとって襲撃を受けることは日常茶飯事だった。そのため、西崎家の多くの人間は戦闘能力が高く、慣れていた。

「事件」においても、西崎家と周りの人間はあまり気にせず、対処もあまり手厚なものではなかった。

それもあって、「事件」の結果は悲惨に終わった。













「失敗、したそうじゃないの」

俺にそう告げた。
何言ってんだお前。失敗してないし。計画通りだったし。勝ってたし。

「あら、不機嫌そうね」

「そりゃそうだ。大体は予想してた通りだったろ」

「………あなたなら、やってくれると思ったのだけど」

「………次は、必ず」

「ふふ…その意気よ。」

お褒めに預かり光栄…と、いつもなら言っているが。失敗しちまったし、そうもいえない。しかし、感謝をしないのは、それはそれでどうしよう。

この方に、最善な方法は…

「そこまで深く考えなくても…」

ん、そこまで言われちゃしょうがない。

考えるのをやめた。

「結局やめちゃうのね…」

なぜバレたし。

「……声に出てるわよ」

自らバラしていたとはな。



「……迷い込んだ人が、また来たみたいね」

「今…か」

不穏な時間帯だ。夜23時に“暗闇”に迷い込むとは、なんだか不気味だな…

「私は寝たいし、8時間はお出迎え出来ないわね」

「なら、俺が」

「いいわよ。様子見っていうのもありじゃあない?」

「…そう言うのであれば」





















なにここ。死んだ?心不全的なそれかな?
いや、でも、呼吸してるしな…走ってみようかな…



はあ~………疲れた。
ってことは死んでない。よかったぁ。
それはわかったとしても、ここはどこなんだろう?

てか、そろそろ死んでも良かった希ガス…

さすがに1人は寂しい。他に人はいないかな…もう1回走るかあ…








何時間経ったん…?そろそろ見つかっても良くないか…寂しぞ…

そういえば時計してたじゃん!


…………………2時間ねえ…
というか、やけに広くないか?エレベーターの中とかなら、このくらいの暗さは分かるけども…

窒息は苦しそうだし、エレベーターの中ではないだけよかった。

そういえば、ここにはどうやってきたんだろう…?
ただ、バイト帰りで歩いてたら急に視界が…ってだけなんだけど。








「待たせたわね。何してるの?」

!!!!!!!!

人だ!!!!!これほどまでに喜びを感じたことはないぞ!!!!!!

「こんにちは。ん?いや、こんばんは?」

「ここには時間なんて存在しないから、挨拶もフリーでいいわよ。」

「へー…時間ないんですね、ここには…」

!?!?!?!?

と、とんでもねぇー…やべーこと言ったな、こいつ。

あまりにもここに居すぎたせいで、頭がついに…

「おかしくなってないわよ…」

「!?!?!?!?」

まさか、あまりにもここに居すぎたせいで、心を読む能力をも習得したというのか…

「……………もう、その、変な私の偏見やめなさい…」

「あっ、すみません」

いや、でも、第一印象って大事だからなあ~。

「そうね……まずは自己紹介、でもしましょうか。」

「あ、そうですね。」

あ………偽名考えないと。

流石にあの一族の人だよ~なんて一般の人にバレたら大変なことになっちゃうからなあ。

………………………………………




…相手の女の人の…目付きが、変わった。




「…なんか、言ったら…どう?」

「どうやら、心を読めるってのは本当ぽいですねぇ。」

「何言ってるの?あなた、小さい声で呟いてたわよ?」

「mjdsk…」

まさか、自らバラしていたとは…無自覚で。

「それで…そうね。私は嘉慈カジ盟奈メイナ。よろしくね。」

「嘉慈さん、ですか。お願いします。それで、自分は…………」

「……どうしたのかしら?自分の名前も言えない、なんてことはないわよね?」

「ええ…もちろん。」

この為の時に、ちゃんと考えてきたからね!

西荻ニシオギすばるです。よろです。」

「あら、イメージと違うわね。あなたみたいな長髪の子は女の子だと思ったんだけど。」

「いやあ…すばるってて名前はどっちの性別にもありますから…」

偽名とはいえ、上手く行けたのでは?

西荻、なんて苗字よく出てきたぞ。やるぅ。
下の名前はまんまだけど。

「………そう。ところで、私。ここの出口知ってるんだけど。」

「へえ…出口…」

!?!?(ry

「そろそろそれやめない?」

「すみません。でも、ここから出してくれるんですか?」

「もちろんよ。当然でしょ?」

「ありがたや…」

やったあ!帰れる!!!!!

……………いや、この人………


それ以前に、怪しすぎん?







続く
しおりを挟む

処理中です...