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Ⅱ 遅かった
#8 発端
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西崎家の血は、代々受け継がれてきた、由緒ある血統だった。しかし、とある「事件」をきっかけに、その一族は1人しか残る事が出来なかった。
「死なない体」。そのままの意味だが、その血は大きい意味を持っていた。
何をされても絶対に滅びはしない体。そして血。
不老は存在しないが、その不死の体を求める者は数多く存在した。
西崎家にとって襲撃を受けることは日常茶飯事だった。そのため、西崎家の多くの人間は戦闘能力が高く、慣れていた。
「事件」においても、西崎家と周りの人間はあまり気にせず、対処もあまり手厚なものではなかった。
それもあって、「事件」の結果は悲惨に終わった。
「失敗、したそうじゃないの」
俺にそう告げた。
何言ってんだお前。失敗してないし。計画通りだったし。勝ってたし。
「あら、不機嫌そうね」
「そりゃそうだ。大体は予想してた通りだったろ」
「………あなたなら、やってくれると思ったのだけど」
「………次は、必ず」
「ふふ…その意気よ。」
お褒めに預かり光栄…と、いつもなら言っているが。失敗しちまったし、そうもいえない。しかし、感謝をしないのは、それはそれでどうしよう。
この方に、最善な方法は…
「そこまで深く考えなくても…」
ん、そこまで言われちゃしょうがない。
考えるのをやめた。
「結局やめちゃうのね…」
なぜバレたし。
「……声に出てるわよ」
自らバラしていたとはな。
「……迷い込んだ人が、また来たみたいね」
「今…か」
不穏な時間帯だ。夜23時に“暗闇”に迷い込むとは、なんだか不気味だな…
「私は寝たいし、8時間はお出迎え出来ないわね」
「なら、俺が」
「いいわよ。様子見っていうのもありじゃあない?」
「…そう言うのであれば」
なにここ。死んだ?心不全的なそれかな?
いや、でも、呼吸してるしな…走ってみようかな…
はあ~………疲れた。
ってことは死んでない。よかったぁ。
それはわかったとしても、ここはどこなんだろう?
てか、そろそろ死んでも良かった希ガス…
さすがに1人は寂しい。他に人はいないかな…もう1回走るかあ…
何時間経ったん…?そろそろ見つかっても良くないか…寂しぞ…
そういえば時計してたじゃん!
…………………2時間ねえ…
というか、やけに広くないか?エレベーターの中とかなら、このくらいの暗さは分かるけども…
窒息は苦しそうだし、エレベーターの中ではないだけよかった。
そういえば、ここにはどうやってきたんだろう…?
ただ、バイト帰りで歩いてたら急に視界が…ってだけなんだけど。
「待たせたわね。何してるの?」
!!!!!!!!
人だ!!!!!これほどまでに喜びを感じたことはないぞ!!!!!!
「こんにちは。ん?いや、こんばんは?」
「ここには時間なんて存在しないから、挨拶もフリーでいいわよ。」
「へー…時間ないんですね、ここには…」
!?!?!?!?
と、とんでもねぇー…やべーこと言ったな、こいつ。
あまりにもここに居すぎたせいで、頭がついに…
「おかしくなってないわよ…」
「!?!?!?!?」
まさか、あまりにもここに居すぎたせいで、心を読む能力をも習得したというのか…
「……………もう、その、変な私の偏見やめなさい…」
「あっ、すみません」
いや、でも、第一印象って大事だからなあ~。
「そうね……まずは自己紹介、でもしましょうか。」
「あ、そうですね。」
あ………偽名考えないと。
流石にあの一族の人だよ~なんて一般の人にバレたら大変なことになっちゃうからなあ。
………………………………………
…相手の女の人の…目付きが、変わった。
「…なんか、言ったら…どう?」
「どうやら、心を読めるってのは本当ぽいですねぇ。」
「何言ってるの?あなた、小さい声で呟いてたわよ?」
「mjdsk…」
まさか、自らバラしていたとは…無自覚で。
「それで…そうね。私は嘉慈盟奈。よろしくね。」
「嘉慈さん、ですか。お願いします。それで、自分は…………」
「……どうしたのかしら?自分の名前も言えない、なんてことはないわよね?」
「ええ…もちろん。」
この為の時に、ちゃんと考えてきたからね!
「西荻すばるです。よろです。」
「あら、イメージと違うわね。あなたみたいな長髪の子は女の子だと思ったんだけど。」
「いやあ…すばるってて名前はどっちの性別にもありますから…」
偽名とはいえ、上手く行けたのでは?
西荻、なんて苗字よく出てきたぞ。やるぅ。
下の名前はまんまだけど。
「………そう。ところで、私。ここの出口知ってるんだけど。」
「へえ…出口…」
!?!?(ry
「そろそろそれやめない?」
「すみません。でも、ここから出してくれるんですか?」
「もちろんよ。当然でしょ?」
「ありがたや…」
やったあ!帰れる!!!!!
……………いや、この人………
それ以前に、怪しすぎん?
続く
「死なない体」。そのままの意味だが、その血は大きい意味を持っていた。
何をされても絶対に滅びはしない体。そして血。
不老は存在しないが、その不死の体を求める者は数多く存在した。
西崎家にとって襲撃を受けることは日常茶飯事だった。そのため、西崎家の多くの人間は戦闘能力が高く、慣れていた。
「事件」においても、西崎家と周りの人間はあまり気にせず、対処もあまり手厚なものではなかった。
それもあって、「事件」の結果は悲惨に終わった。
「失敗、したそうじゃないの」
俺にそう告げた。
何言ってんだお前。失敗してないし。計画通りだったし。勝ってたし。
「あら、不機嫌そうね」
「そりゃそうだ。大体は予想してた通りだったろ」
「………あなたなら、やってくれると思ったのだけど」
「………次は、必ず」
「ふふ…その意気よ。」
お褒めに預かり光栄…と、いつもなら言っているが。失敗しちまったし、そうもいえない。しかし、感謝をしないのは、それはそれでどうしよう。
この方に、最善な方法は…
「そこまで深く考えなくても…」
ん、そこまで言われちゃしょうがない。
考えるのをやめた。
「結局やめちゃうのね…」
なぜバレたし。
「……声に出てるわよ」
自らバラしていたとはな。
「……迷い込んだ人が、また来たみたいね」
「今…か」
不穏な時間帯だ。夜23時に“暗闇”に迷い込むとは、なんだか不気味だな…
「私は寝たいし、8時間はお出迎え出来ないわね」
「なら、俺が」
「いいわよ。様子見っていうのもありじゃあない?」
「…そう言うのであれば」
なにここ。死んだ?心不全的なそれかな?
いや、でも、呼吸してるしな…走ってみようかな…
はあ~………疲れた。
ってことは死んでない。よかったぁ。
それはわかったとしても、ここはどこなんだろう?
てか、そろそろ死んでも良かった希ガス…
さすがに1人は寂しい。他に人はいないかな…もう1回走るかあ…
何時間経ったん…?そろそろ見つかっても良くないか…寂しぞ…
そういえば時計してたじゃん!
…………………2時間ねえ…
というか、やけに広くないか?エレベーターの中とかなら、このくらいの暗さは分かるけども…
窒息は苦しそうだし、エレベーターの中ではないだけよかった。
そういえば、ここにはどうやってきたんだろう…?
ただ、バイト帰りで歩いてたら急に視界が…ってだけなんだけど。
「待たせたわね。何してるの?」
!!!!!!!!
人だ!!!!!これほどまでに喜びを感じたことはないぞ!!!!!!
「こんにちは。ん?いや、こんばんは?」
「ここには時間なんて存在しないから、挨拶もフリーでいいわよ。」
「へー…時間ないんですね、ここには…」
!?!?!?!?
と、とんでもねぇー…やべーこと言ったな、こいつ。
あまりにもここに居すぎたせいで、頭がついに…
「おかしくなってないわよ…」
「!?!?!?!?」
まさか、あまりにもここに居すぎたせいで、心を読む能力をも習得したというのか…
「……………もう、その、変な私の偏見やめなさい…」
「あっ、すみません」
いや、でも、第一印象って大事だからなあ~。
「そうね……まずは自己紹介、でもしましょうか。」
「あ、そうですね。」
あ………偽名考えないと。
流石にあの一族の人だよ~なんて一般の人にバレたら大変なことになっちゃうからなあ。
………………………………………
…相手の女の人の…目付きが、変わった。
「…なんか、言ったら…どう?」
「どうやら、心を読めるってのは本当ぽいですねぇ。」
「何言ってるの?あなた、小さい声で呟いてたわよ?」
「mjdsk…」
まさか、自らバラしていたとは…無自覚で。
「それで…そうね。私は嘉慈盟奈。よろしくね。」
「嘉慈さん、ですか。お願いします。それで、自分は…………」
「……どうしたのかしら?自分の名前も言えない、なんてことはないわよね?」
「ええ…もちろん。」
この為の時に、ちゃんと考えてきたからね!
「西荻すばるです。よろです。」
「あら、イメージと違うわね。あなたみたいな長髪の子は女の子だと思ったんだけど。」
「いやあ…すばるってて名前はどっちの性別にもありますから…」
偽名とはいえ、上手く行けたのでは?
西荻、なんて苗字よく出てきたぞ。やるぅ。
下の名前はまんまだけど。
「………そう。ところで、私。ここの出口知ってるんだけど。」
「へえ…出口…」
!?!?(ry
「そろそろそれやめない?」
「すみません。でも、ここから出してくれるんですか?」
「もちろんよ。当然でしょ?」
「ありがたや…」
やったあ!帰れる!!!!!
……………いや、この人………
それ以前に、怪しすぎん?
続く
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