5 / 34
第一章 娘の結婚
『村一番の美女』の失墜
しおりを挟む
月日は流れ、私は33歳、アリアは13歳になっていた。
この頃になるとアリアも職に就き始め、少しだが生活も楽になってきた。アリアとの親子水入らずの時間も増え、私はこの暮らしの中にようやく余裕を持って幸せを感じれるようになっていた。
だがそれでも貧困である事には変わりはなく、私は過重労働、アリアは短い時間での勤務の後は家事に専念と、相変わらず親子二人三脚で貧乏を凌ぐ日々は続いている。もう少し経済面で楽になれないものか……やっぱりジョンからの金銭的援助を断るべきではなかったか、と少しだけ後悔する時もあったり、無かったり。――いや、さすがにそれは無いか。
13歳になったアリアは巷間で評判の美少女になっていた。その評判は村の中だけでは留まらず、『絶世の美少女』としてギルバート領全土に知れ渡るほどだった。娘の事を褒められる事は親としても嬉しい限りだ。
そして何より痛快だったのは、『可愛い』、『まるで妖精のようだ』、『領国一の美少女』……等々の称賛を浴びせられるアリアの様子を物陰から『村一番の美女』――メアリーが嫉妬に駆られた、まるで鬼のような形相で睨む姿を目撃した時だ。まさにメアリー起因で溜まった鬱憤が見事に霧散していくのを覚えた瞬間だった。
――なお、今やメアリーを『村一番の美女』と讃える者はいない。
アリアの評判がそこまで広く知れ渡るとポツポツと娘へ向けた求婚の話が舞い降りてきた。その中には富裕層の者までいたがアリアは消極的な姿勢を示した。
まだ13歳だからというのももちろんあるだろうが、それ以上にアリアは結婚に対して良いイメージを持っていないようだった。
無論、それは私とジョンのせいである。
私自身は結婚に失敗したが、だからといって結婚しない事を娘に薦めるつもりはない。
愛する人と一緒になって子供を授かって幸せな家庭を築く。この幸せの形に何ら異論は無いのだから。
ただ、結婚する相手は吟味する事。私みたいになってはいけない。この事は自身の経験をもとに切実に思う事ではある。
「ねぇ、アリア?」
「ん? 何?」
「アリアは結婚についてどう思ってるの?」
「んー、別に」
「そう。」
15歳で成人。少なくはあるが13歳で結婚する者もいる。
女は大体15歳から20歳の間に結婚する者が多く、次いで20から上にいくにつれて段々少なくなっていく傾向にあり、男はその逆。20代が多く、次いで15~20の間。男女共に結婚適齢期は割と広い。
「もしもお母さんとお父さんのせいでアリアが結婚について悪いイメージを持っているのなら、それは間違いよ? 愛する人と結婚して幸せな家庭を作る事は素晴らしい事。お母さんはそれに失敗しただけ。しっかりと相手を見極めて良い人と結婚すればお母さんみたいにはならないはずよ」
アリアは私の言葉に違う、と首を振った。
「そんな事は関係無く、わたしは結婚しないよ。だって、わたしが結婚したらお母さんひとりぼっちになっちゃうじゃない。わたしはずっとお母さんの側にいる」
なんと、私の事を憐んでの事だったようだ。なんだか悲しい。
「お母さんの事は心配しないで? アリアの幸せがお母さんの幸せなんだから。」
「でもお母さん、わたしがお嫁に行って、寂しくならない?」
「そりゃ、もちろん寂しくはなるけど、アリアの幸せが何よりも一番大事。それに、親はずっといるわけじゃないの。いつかは必ず死ぬの。子供より先にね。そうなった時にひとりぼっちになってしまうのはアリアの方なのよ?だから、そうならない為にもアリアは結婚して家族を作るの。幸せな家庭を。 わかった?」
少し重い話になったが、これが真理だ。アリアは真面目な顔でコクリと頷く。
「だったらわたし、ものすごいお金持ちと結婚する! 貴族と!」
「き、貴族!?」
貴族と平民が結婚した事例が無いわけではない。
ここ、ロズウェル王国の先代王妃様が平民出身であった事から、この国では身分の高さに関係なく結婚が許されるようになっている。
とはいうものの、王族と平民、または貴族と平民が婚姻を結ぶ事例が極めて少ない事はもはや言うまでも無い。
私の驚いた反応にアリアが頷く。
「そう、貴族。 そしたらお母さんにも幾分かはお金の援助がいくようになるでしょ? わたしの幸せがお母さんにとっての幸せって、お母さんは言ったけど、お母さんの幸せだってわたしにとっての幸せなんだからね?」
確かにアリアの事を嫁にと、引く手数多ではある。しかし、まさか貴族と結婚とは……。大きく出たものだ。
「ふふ、ありがとうアリア。でも、結婚は誰かの為にするのではなく、自分の為にするものなの。その事を忘れないでね」
結婚相手に求む条件はとにかくお金持ち。そして貴族。そんな考えを持ち始めたアリア。私が最後に掛けた言葉など届いている様子はない。
そんなアリアとのやり取りから程なくして、まさかのとんでもない縁談がアリアに舞い込んできた。
いや……まさか、本当にこんな事があるなんて……
「私はこのギルバード領の隣、リデイン領で領主を務めているハワード・リデインと申す者である。今日はこの村にアリアという美しい少女がいると聞いてやって来た。アリア嬢はどなたであろうか?名乗り出てはくれないだろうか?」
村の中央の広場に立ち、全村人達へ呼びかけるように声を上げた、明らかに平民ではない服装をした40代と思しき男性。その傍には黒のタキシード姿の年配の男性とその他に護衛が2人。
間違い無い……貴族だ。
そんな、貴族と思しき一行の周りへと集まっていく村人達。その中から1人の女が声を上げた。
「はい。わたくしが、この村で『一番の美女』と謳われているメアリーと申す者です。今日はわたくしにどう言った御用件で?」
相手の身なりから貴族と判断。そこから直感的に利のある話だと、アリアの名前が上がったのにも関わらず無理矢理にでも自分を押し込めるあたりは、さすがはメアリーと感嘆する。
「うむ。メアリーと言ったか。 悪いが、用があるのはそなたでは無い。下がれ」
「ですが――」
すかさず食い下がろうとするメアリーに対し、貴族と思しき男性は視線を鋭くして睨みつけると、
「我らを有力者と見るや否や、呼ばれていない事を知りつつ、己を『村一番の美女』と謳い近づくたあたり、なんと低俗な事か。そしてそなたのその醜い心はそなたの顔にそのまま滲み出ているようだ。そなたが美女?笑わせるな!そなたは紛れもなく醜女だ! 下がれ!!目障りだ!!」
そう語気を強めて言い放った。
「あたしが……醜女?」
信じられない――そんな様子で呆然と立ち尽くすメアリー。
今や、メアリーの事を美しいと讃える者は誰一人としていない。
男を取っ替え引っ替えし、別れ際に起こるトラブルも絶えないと聞く。ジョンが大怪我をした時の素早い身の振り方にも非難の声が上がっていた。
より良い男を、よりお金持ちな男を、より名高い男を……と、男をまるで自分のステータスのように扱うメアリーは今や『悪女』として有名になりつつある。 あ……お金持ちな男を、これはアリアにも当てはまるわね……まぁ、それはさて置いとくとして……
悪事を働いた分だけそれが顔に刻まれる、そんな事が本当にあるのかは分からないが、確かに貴族と思しき男性が言い放ったようにメアリーの顔は今や醜悪そのもの。『美女』と言うにはあまりに遠い顔をしている。
「……ねぇ。あたしの顔ってそんなに、醜い?」
『顔が醜い』――初めて面と向かって言われたのだろう。あまりにショックだったのか、メアリーは涙を浮かべて貌を醜悪に歪めながら近くにいた男性村人に迫るように問い掛けた。
「ひぃ……ば、化け物……」
男性村人はメアリーのその剣幕に怯むように後退った。
『化け物』。女性が言われてこれ以上に傷つく言葉があるだろうか。ましてや、己の見目に絶対の自信を待っていたメアリーだ。計り知れない程の大きな傷を心に負ったに違いない。
メアリーは両手で顔を覆うようにしてその場に泣き崩れた。
自業自得だと思いつつも、私は同じ女としてさすがにこれは可哀想だと少しだけ同情の念を抱いてしまったのだった。
この頃になるとアリアも職に就き始め、少しだが生活も楽になってきた。アリアとの親子水入らずの時間も増え、私はこの暮らしの中にようやく余裕を持って幸せを感じれるようになっていた。
だがそれでも貧困である事には変わりはなく、私は過重労働、アリアは短い時間での勤務の後は家事に専念と、相変わらず親子二人三脚で貧乏を凌ぐ日々は続いている。もう少し経済面で楽になれないものか……やっぱりジョンからの金銭的援助を断るべきではなかったか、と少しだけ後悔する時もあったり、無かったり。――いや、さすがにそれは無いか。
13歳になったアリアは巷間で評判の美少女になっていた。その評判は村の中だけでは留まらず、『絶世の美少女』としてギルバート領全土に知れ渡るほどだった。娘の事を褒められる事は親としても嬉しい限りだ。
そして何より痛快だったのは、『可愛い』、『まるで妖精のようだ』、『領国一の美少女』……等々の称賛を浴びせられるアリアの様子を物陰から『村一番の美女』――メアリーが嫉妬に駆られた、まるで鬼のような形相で睨む姿を目撃した時だ。まさにメアリー起因で溜まった鬱憤が見事に霧散していくのを覚えた瞬間だった。
――なお、今やメアリーを『村一番の美女』と讃える者はいない。
アリアの評判がそこまで広く知れ渡るとポツポツと娘へ向けた求婚の話が舞い降りてきた。その中には富裕層の者までいたがアリアは消極的な姿勢を示した。
まだ13歳だからというのももちろんあるだろうが、それ以上にアリアは結婚に対して良いイメージを持っていないようだった。
無論、それは私とジョンのせいである。
私自身は結婚に失敗したが、だからといって結婚しない事を娘に薦めるつもりはない。
愛する人と一緒になって子供を授かって幸せな家庭を築く。この幸せの形に何ら異論は無いのだから。
ただ、結婚する相手は吟味する事。私みたいになってはいけない。この事は自身の経験をもとに切実に思う事ではある。
「ねぇ、アリア?」
「ん? 何?」
「アリアは結婚についてどう思ってるの?」
「んー、別に」
「そう。」
15歳で成人。少なくはあるが13歳で結婚する者もいる。
女は大体15歳から20歳の間に結婚する者が多く、次いで20から上にいくにつれて段々少なくなっていく傾向にあり、男はその逆。20代が多く、次いで15~20の間。男女共に結婚適齢期は割と広い。
「もしもお母さんとお父さんのせいでアリアが結婚について悪いイメージを持っているのなら、それは間違いよ? 愛する人と結婚して幸せな家庭を作る事は素晴らしい事。お母さんはそれに失敗しただけ。しっかりと相手を見極めて良い人と結婚すればお母さんみたいにはならないはずよ」
アリアは私の言葉に違う、と首を振った。
「そんな事は関係無く、わたしは結婚しないよ。だって、わたしが結婚したらお母さんひとりぼっちになっちゃうじゃない。わたしはずっとお母さんの側にいる」
なんと、私の事を憐んでの事だったようだ。なんだか悲しい。
「お母さんの事は心配しないで? アリアの幸せがお母さんの幸せなんだから。」
「でもお母さん、わたしがお嫁に行って、寂しくならない?」
「そりゃ、もちろん寂しくはなるけど、アリアの幸せが何よりも一番大事。それに、親はずっといるわけじゃないの。いつかは必ず死ぬの。子供より先にね。そうなった時にひとりぼっちになってしまうのはアリアの方なのよ?だから、そうならない為にもアリアは結婚して家族を作るの。幸せな家庭を。 わかった?」
少し重い話になったが、これが真理だ。アリアは真面目な顔でコクリと頷く。
「だったらわたし、ものすごいお金持ちと結婚する! 貴族と!」
「き、貴族!?」
貴族と平民が結婚した事例が無いわけではない。
ここ、ロズウェル王国の先代王妃様が平民出身であった事から、この国では身分の高さに関係なく結婚が許されるようになっている。
とはいうものの、王族と平民、または貴族と平民が婚姻を結ぶ事例が極めて少ない事はもはや言うまでも無い。
私の驚いた反応にアリアが頷く。
「そう、貴族。 そしたらお母さんにも幾分かはお金の援助がいくようになるでしょ? わたしの幸せがお母さんにとっての幸せって、お母さんは言ったけど、お母さんの幸せだってわたしにとっての幸せなんだからね?」
確かにアリアの事を嫁にと、引く手数多ではある。しかし、まさか貴族と結婚とは……。大きく出たものだ。
「ふふ、ありがとうアリア。でも、結婚は誰かの為にするのではなく、自分の為にするものなの。その事を忘れないでね」
結婚相手に求む条件はとにかくお金持ち。そして貴族。そんな考えを持ち始めたアリア。私が最後に掛けた言葉など届いている様子はない。
そんなアリアとのやり取りから程なくして、まさかのとんでもない縁談がアリアに舞い込んできた。
いや……まさか、本当にこんな事があるなんて……
「私はこのギルバード領の隣、リデイン領で領主を務めているハワード・リデインと申す者である。今日はこの村にアリアという美しい少女がいると聞いてやって来た。アリア嬢はどなたであろうか?名乗り出てはくれないだろうか?」
村の中央の広場に立ち、全村人達へ呼びかけるように声を上げた、明らかに平民ではない服装をした40代と思しき男性。その傍には黒のタキシード姿の年配の男性とその他に護衛が2人。
間違い無い……貴族だ。
そんな、貴族と思しき一行の周りへと集まっていく村人達。その中から1人の女が声を上げた。
「はい。わたくしが、この村で『一番の美女』と謳われているメアリーと申す者です。今日はわたくしにどう言った御用件で?」
相手の身なりから貴族と判断。そこから直感的に利のある話だと、アリアの名前が上がったのにも関わらず無理矢理にでも自分を押し込めるあたりは、さすがはメアリーと感嘆する。
「うむ。メアリーと言ったか。 悪いが、用があるのはそなたでは無い。下がれ」
「ですが――」
すかさず食い下がろうとするメアリーに対し、貴族と思しき男性は視線を鋭くして睨みつけると、
「我らを有力者と見るや否や、呼ばれていない事を知りつつ、己を『村一番の美女』と謳い近づくたあたり、なんと低俗な事か。そしてそなたのその醜い心はそなたの顔にそのまま滲み出ているようだ。そなたが美女?笑わせるな!そなたは紛れもなく醜女だ! 下がれ!!目障りだ!!」
そう語気を強めて言い放った。
「あたしが……醜女?」
信じられない――そんな様子で呆然と立ち尽くすメアリー。
今や、メアリーの事を美しいと讃える者は誰一人としていない。
男を取っ替え引っ替えし、別れ際に起こるトラブルも絶えないと聞く。ジョンが大怪我をした時の素早い身の振り方にも非難の声が上がっていた。
より良い男を、よりお金持ちな男を、より名高い男を……と、男をまるで自分のステータスのように扱うメアリーは今や『悪女』として有名になりつつある。 あ……お金持ちな男を、これはアリアにも当てはまるわね……まぁ、それはさて置いとくとして……
悪事を働いた分だけそれが顔に刻まれる、そんな事が本当にあるのかは分からないが、確かに貴族と思しき男性が言い放ったようにメアリーの顔は今や醜悪そのもの。『美女』と言うにはあまりに遠い顔をしている。
「……ねぇ。あたしの顔ってそんなに、醜い?」
『顔が醜い』――初めて面と向かって言われたのだろう。あまりにショックだったのか、メアリーは涙を浮かべて貌を醜悪に歪めながら近くにいた男性村人に迫るように問い掛けた。
「ひぃ……ば、化け物……」
男性村人はメアリーのその剣幕に怯むように後退った。
『化け物』。女性が言われてこれ以上に傷つく言葉があるだろうか。ましてや、己の見目に絶対の自信を待っていたメアリーだ。計り知れない程の大きな傷を心に負ったに違いない。
メアリーは両手で顔を覆うようにしてその場に泣き崩れた。
自業自得だと思いつつも、私は同じ女としてさすがにこれは可哀想だと少しだけ同情の念を抱いてしまったのだった。
130
あなたにおすすめの小説
さようなら、わたくしの騎士様
夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。
その時を待っていたのだ。
クリスは知っていた。
騎士ローウェルは裏切ると。
だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。
私の婚約者と駆け落ちした妹の代わりに死神卿へ嫁ぎます
あねもね
恋愛
本日、パストゥール辺境伯に嫁ぐはずの双子の妹が、結婚式を放り出して私の婚約者と駆け落ちした。だから私が代わりに冷酷無慈悲な死神卿と噂されるアレクシス・パストゥール様に嫁ぎましょう。――妹が連れ戻されるその時まで!
※一日複数話、投稿することがあります。
※2022年2月13日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
見知らぬ子息に婚約破棄してくれと言われ、腹の立つ言葉を投げつけられましたが、どうやら必要ない我慢をしてしまうようです
珠宮さくら
恋愛
両親のいいとこ取りをした出来の良い兄を持ったジェンシーナ・ペデルセン。そんな兄に似ずとも、母親の家系に似ていれば、それだけでもだいぶ恵まれたことになったのだが、残念ながらジェンシーナは似ることができなかった。
だからといって家族は、それでジェンシーナを蔑ろにすることはなかったが、比べたがる人はどこにでもいるようだ。
それだけでなく、ジェンシーナは何気に厄介な人間に巻き込まれてしまうが、我慢する必要もないことに気づくのが、いつも遅いようで……。
【完】隣国に売られるように渡った王女
まるねこ
恋愛
幼いころから王妃の命令で勉強ばかりしていたリヴィア。乳母に支えられながら成長し、ある日、父である国王陛下から呼び出しがあった。
「リヴィア、お前は長年王女として過ごしているが未だ婚約者がいなかったな。良い嫁ぎ先を選んでおいた」と。
リヴィアの不遇はいつまで続くのか。
Copyright©︎2024-まるねこ
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
病めるときも健やかなるときも、お前だけは絶対許さないからなマジで
あだち
恋愛
ペルラ伯爵家の跡取り娘・フェリータの婚約者が、王女様に横取りされた。どうやら、伯爵家の天敵たるカヴァリエリ家の当主にして王女の側近・ロレンツィオが、裏で糸を引いたという。
怒り狂うフェリータは、大事な婚約者を取り返したい一心で、祝祭の日に捨て身の行動に出た。
……それが結果的に、にっくきロレンツィオ本人と結婚することに結びつくとも知らず。
***
『……いやホントに許せん。今更言えるか、実は前から好きだったなんて』
【完結】すり替えられた公爵令嬢
鈴蘭
恋愛
帝国から嫁いで来た正妻キャサリンと離縁したあと、キャサリンとの間に出来た娘を捨てて、元婚約者アマンダとの間に出来た娘を嫡子として第一王子の婚約者に差し出したオルターナ公爵。
しかし王家は帝国との繋がりを求め、キャサリンの血を引く娘を欲していた。
妹が入れ替わった事に気付いた兄のルーカスは、事実を親友でもある第一王子のアルフレッドに告げるが、幼い二人にはどうする事も出来ず時間だけが流れて行く。
本来なら庶子として育つ筈だったマルゲリーターは公爵と後妻に溺愛されており、自身の中に高貴な血が流れていると信じて疑いもしていない、我儘で自分勝手な公女として育っていた。
完璧だと思われていた娘の入れ替えは、捨てた娘が学園に入学して来た事で、綻びを見せて行く。
視点がコロコロかわるので、ナレーション形式にしてみました。
お話が長いので、主要な登場人物を紹介します。
ロイズ王国
エレイン・フルール男爵令嬢 15歳
ルーカス・オルターナ公爵令息 17歳
アルフレッド・ロイズ第一王子 17歳
マルゲリーター・オルターナ公爵令嬢 15歳
マルゲリーターの母 アマンダ・オルターナ
エレインたちの父親 シルベス・オルターナ
パトリシア・アンバタサー エレインのクラスメイト
アルフレッドの側近
カシュー・イーシヤ 18歳
ダニエル・ウイロー 16歳
マシュー・イーシヤ 15歳
帝国
エレインとルーカスの母 キャサリン帝国の侯爵令嬢(前皇帝の姪)
キャサリンの再婚相手 アンドレイ(キャサリンの従兄妹)
隣国ルタオー王国
バーバラ王女
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる