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番外編
完結話 この愛は永遠に……。
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旦那様と結婚してから早いもので35年が経った。
私は今70歳だ。
旦那様の働きにより、今やギルバード領は王国屈指の先進都市として栄え、昔のような貧富の格差も無く、領民達は皆笑顔に暮らしている。
アリアの夫、マルク様は陞爵した事で今はリデイン伯爵を名乗っており、アリアは伯爵夫人として忙しない日々を送っている。
私と旦那様との間に生まれた長女マリアは旦那様に似てそれはそれは美しく育った。
マリアのその美貌は当時の王太子をも魅了し、マリアは王太子妃として王家へ嫁いでいった。
そして今現在、その時の王太子は国王となり、今やマリアは国王妃。自分の娘ながら末恐ろしい。
ちなみに、マリアが王家へ嫁いだ事でギルバード家の爵位も『侯爵』から『公爵』へと陞爵している。
長男アルファはというと、ギルバード公爵家の現当主としてギルバード領の運営に奮闘している。
幼い頃より騎士になる事を夢見ていたアルファだったが、残念ながらその才能は無かったらしく、その夢が果たされる事は無かった。しかしその代わり頭脳明晰で人徳にも恵まれたアルファは統率力に長けていた。
正直、アルファの領主としての経営手腕は先代の旦那様よりも上とまで言われているほど。
事実、ギルバード領は経済都市として今尚成長を続けている。
ただ、アルファが旦那様以上と評される事について、私として正直疎ましく思っている。
何故なら私にとっての一番の『領主様』は旦那様であって、それを越え得る存在はあり得ない。例えその比較対象として我が子が挙げられても私は最愛の旦那様の事を真っ先に推す。
そんな私にとって最愛の人である旦那様と過ごした結婚生活は本当に甘く蕩けるような夢のひと時で、結局一度も喧嘩する事は無かった。
そんな旦那様も今はもうこの世にはいない。5年前に亡くなってしまったのだ。
でも、私は良かったと思っている。
もしも私が先に逝ってしまったらあの人は悲しみに暮れていた事だろう。
大切な人だからこそ、大切な人を失った時のあの辛さを感じさせる事なく先に逝かせてあげられた事、何より大切な人よりも長く生きた自分を褒めてやりたい。
私は頑張った。
6歳も年上なのに旦那様の最期を看取る事ができた。
旦那様が亡くなってから5年。
旦那様のいないこの世界でも強く生きてこれたのはそれまで一緒に紡いできた色鮮やかな思い出があったお陰だ。
本当に色々な事があった。
メイドとして働き始めた初日、初めて旦那様と出会った時の事。
偶然旦那様と会ったあの海での出来事。
旦那様に対して心惹かれている事に気付いて焦ってその想いに蓋をしようと必死だった頃。
思いがけず「愛してる」と言われた時の事。
結婚式でのあの幸せを絵にしたような光景。
旦那様の温もりと優しさに酔いしれた初夜。
アルファとマリアが生まれた時の事。
旦那様の隣で微笑みあって過ごし日々。
寂しくないと言えば嘘になる。
でも、数え切れない思い出達に囲まれていた事で私はなんとかやってこれた。
それに――
『全ては君のお陰だ。君がいるから俺は頑張れるんだ。俺はもはや君無しでは生きられない。一生、死ぬまで君の事を……いや、死んでも尚、俺は君の事を愛し続ける。だから君もまた永遠に俺の妻であってくれ』
『もちろんです。地獄でもどこへでも私は旦那様の後を追い続けます。いつか、お互いに死んでしまう日が来ても、私は来世で旦那様の事を探し求めます。だから、旦那様も私の事を探して捕まえて下さいね』
『ふっ。言われなくても、そうするさ』
またいつか、必ず会えると、そう信じているから……。
気が付けば私は綺麗なお花畑にいた。
少し離れたところに地面から空へ向かって伸びる白い線が見える。
私は吸い寄せられるようにその方向へと歩き出した。
近くなってきた頃、空へ伸びた白い線の全容が見えてきた。
『白い線』は階段だ。
その白い階段は綺麗な青空へ向かって延々と伸びている。
その階段の上り口に人影が見える。
「――あなた!!」
銀色の髪に青い瞳。若い頃の旦那様だ。
私は走った。
旦那様も私に気付いたのか駆け寄って来る。
「――エミリア!!」
私は旦那様の胸に飛び込んだ。
「……会いたかった」
「俺もだよエミリア。俺は君が来るのをずっと待っていたんだ。さぁ行こうか」
そう言って差し出された手を取ると、手を繋ぎ合い、私達は階段を上って行く。
「随分と寂しい思いをさせて悪かったな」
「本当ですよ、まったく。早く逝きすぎです」
私はそう言って膨れた顔をすると旦那様は「ははは……」と苦笑いをした。
「笑って誤魔化さないで下さい!」
「あぁ、悪かった悪かった」
「でも、本当に嬉しいです。また会えて」
「この先もずっと俺の妻でいてくれるか?」
「もちろんです。というか、今更そんな事聞かないで下さい!」
「まぁ、それもそうだな。ともあれ、これからもよろしく頼む」
「こちらこそ」
そんなやり取りを交わしながら私達は笑顔で階段を登っていくのだった。
Fin
――――――――――――――――――――――
【作者より】
ご愛読ありがとうございました。
私は今70歳だ。
旦那様の働きにより、今やギルバード領は王国屈指の先進都市として栄え、昔のような貧富の格差も無く、領民達は皆笑顔に暮らしている。
アリアの夫、マルク様は陞爵した事で今はリデイン伯爵を名乗っており、アリアは伯爵夫人として忙しない日々を送っている。
私と旦那様との間に生まれた長女マリアは旦那様に似てそれはそれは美しく育った。
マリアのその美貌は当時の王太子をも魅了し、マリアは王太子妃として王家へ嫁いでいった。
そして今現在、その時の王太子は国王となり、今やマリアは国王妃。自分の娘ながら末恐ろしい。
ちなみに、マリアが王家へ嫁いだ事でギルバード家の爵位も『侯爵』から『公爵』へと陞爵している。
長男アルファはというと、ギルバード公爵家の現当主としてギルバード領の運営に奮闘している。
幼い頃より騎士になる事を夢見ていたアルファだったが、残念ながらその才能は無かったらしく、その夢が果たされる事は無かった。しかしその代わり頭脳明晰で人徳にも恵まれたアルファは統率力に長けていた。
正直、アルファの領主としての経営手腕は先代の旦那様よりも上とまで言われているほど。
事実、ギルバード領は経済都市として今尚成長を続けている。
ただ、アルファが旦那様以上と評される事について、私として正直疎ましく思っている。
何故なら私にとっての一番の『領主様』は旦那様であって、それを越え得る存在はあり得ない。例えその比較対象として我が子が挙げられても私は最愛の旦那様の事を真っ先に推す。
そんな私にとって最愛の人である旦那様と過ごした結婚生活は本当に甘く蕩けるような夢のひと時で、結局一度も喧嘩する事は無かった。
そんな旦那様も今はもうこの世にはいない。5年前に亡くなってしまったのだ。
でも、私は良かったと思っている。
もしも私が先に逝ってしまったらあの人は悲しみに暮れていた事だろう。
大切な人だからこそ、大切な人を失った時のあの辛さを感じさせる事なく先に逝かせてあげられた事、何より大切な人よりも長く生きた自分を褒めてやりたい。
私は頑張った。
6歳も年上なのに旦那様の最期を看取る事ができた。
旦那様が亡くなってから5年。
旦那様のいないこの世界でも強く生きてこれたのはそれまで一緒に紡いできた色鮮やかな思い出があったお陰だ。
本当に色々な事があった。
メイドとして働き始めた初日、初めて旦那様と出会った時の事。
偶然旦那様と会ったあの海での出来事。
旦那様に対して心惹かれている事に気付いて焦ってその想いに蓋をしようと必死だった頃。
思いがけず「愛してる」と言われた時の事。
結婚式でのあの幸せを絵にしたような光景。
旦那様の温もりと優しさに酔いしれた初夜。
アルファとマリアが生まれた時の事。
旦那様の隣で微笑みあって過ごし日々。
寂しくないと言えば嘘になる。
でも、数え切れない思い出達に囲まれていた事で私はなんとかやってこれた。
それに――
『全ては君のお陰だ。君がいるから俺は頑張れるんだ。俺はもはや君無しでは生きられない。一生、死ぬまで君の事を……いや、死んでも尚、俺は君の事を愛し続ける。だから君もまた永遠に俺の妻であってくれ』
『もちろんです。地獄でもどこへでも私は旦那様の後を追い続けます。いつか、お互いに死んでしまう日が来ても、私は来世で旦那様の事を探し求めます。だから、旦那様も私の事を探して捕まえて下さいね』
『ふっ。言われなくても、そうするさ』
またいつか、必ず会えると、そう信じているから……。
気が付けば私は綺麗なお花畑にいた。
少し離れたところに地面から空へ向かって伸びる白い線が見える。
私は吸い寄せられるようにその方向へと歩き出した。
近くなってきた頃、空へ伸びた白い線の全容が見えてきた。
『白い線』は階段だ。
その白い階段は綺麗な青空へ向かって延々と伸びている。
その階段の上り口に人影が見える。
「――あなた!!」
銀色の髪に青い瞳。若い頃の旦那様だ。
私は走った。
旦那様も私に気付いたのか駆け寄って来る。
「――エミリア!!」
私は旦那様の胸に飛び込んだ。
「……会いたかった」
「俺もだよエミリア。俺は君が来るのをずっと待っていたんだ。さぁ行こうか」
そう言って差し出された手を取ると、手を繋ぎ合い、私達は階段を上って行く。
「随分と寂しい思いをさせて悪かったな」
「本当ですよ、まったく。早く逝きすぎです」
私はそう言って膨れた顔をすると旦那様は「ははは……」と苦笑いをした。
「笑って誤魔化さないで下さい!」
「あぁ、悪かった悪かった」
「でも、本当に嬉しいです。また会えて」
「この先もずっと俺の妻でいてくれるか?」
「もちろんです。というか、今更そんな事聞かないで下さい!」
「まぁ、それもそうだな。ともあれ、これからもよろしく頼む」
「こちらこそ」
そんなやり取りを交わしながら私達は笑顔で階段を登っていくのだった。
Fin
――――――――――――――――――――――
【作者より】
ご愛読ありがとうございました。
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