転移したらダンジョンの下層だった

Gai

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四百五十五話 流石に不用心が過ぎる

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「大丈夫か?」

「は、はい。大丈夫です。助けて頂いてありがとうございます」

助けた女性は少々キツイ見た目のわりには直ぐにソウスケに礼を言った。
その対応にソウスケは少々驚いたが、面倒な性格はしていないと分って安心する。

「おう、それなら良いんだ。ただ……なんで学生服を着てるんだ?」

まず一つ、それが大きな疑問だった。
歓楽街で学園の制服を着ていたら目立つのは間違いない。

ただ、女学生達がそういった欲がある様には思えない。

「その……これを着ていれば面倒な輩は寄ってこないと思いまして」

「あぁ~~~~……まぁ、言いたい事は解かる。でもな、ここはそんな甘いところじゃないと思うぞ。俺みたいに助けに入る人ばかりじゃないしな」

女学生達が普段暮らしている街では来ている制服に他者を圧倒させる効果があるのかもしれないが、こういった場所では基本的に意味を為さない。

「それと、多分だけど昨日……いや一昨日か? 先日ミレアナと会った学生達だろ」

「そうですが……もしかして一緒にパーティーを組んでる方ですか?」

「あぁ、一応リーダーのソウスケだ」

一応リーダー、その言葉を聞いて三人の表情は驚きに変わる。
しかしそれを予想出来ていたソウスケは特に何とも思わない。

(まっ、やっぱりそういう表情になるよな。まだまだ容姿が幼いって訳だ)

ある程度修羅場を潜り抜けてきたので多少は凛々しい顔つきになってきたが、それでもまだまだリーダーを任されているような冒険者には思えない。

「それで三人は……酒でも飲みに来たのか? というか、それ以外は無いと思うんだけど」

歓楽街には賭博場もあるが、この街の賭博場はそこまで大きくは無い。

(というか、そもそもここら辺にあるカジノなんてしっかりとした店じゃないと思うんだけどな。少なくとも女学生、JKが……いや、この世界じゃJKって言わないのか? とりあえず学生が入って無事に帰れるとは思えない)

「そうです。少し飲みたいと思いまして」

「……最近味を覚えたから呑むなとは言えないけど、こういうところに来る必要は無いと思うんだけどなぁ……あれか、もしかしてあんまり金は持ってないか」

図星を突かれた女学生達は少々苦い顔になる。
まさかの事実にソウスケは少々間抜けな顔になってしまう。

(・・・・・・おいおいおい、もしかしてそんな理由で歓楽街にある酒場に来ようと思ったのかよ。というか、表通りにある酒場で良くないか? それとも隠れ家的なバーを探してんのか?)

ソウスケの考えは見事に的中しており、女学生達はそういったバーを探していた。

(仮にそうだとしたら……単なる頭が固い学生じゃ無いのは良いと思うけど、どんだけ安全な領域で育ってきたんだよ……歓楽街なんて地元の貴族じゃないなら無法地帯みたいなものだろ)

「その、あまり高い物を呑んでしまうと調査に響きますので」

「あぁーーーー、なるほどねぇ……とりあえずその目的のバーに行こうぜ。後日受ける筈の依頼人に何かあったら大問題だからな」

契約書を交わした訳でも無いので実際のところ問題は無いが、だからといって危なっかしい女学生達を放置することは出来ない。

「わ、分かりました」

学生服を着た女の子三人に冒険者だが見た目は全く強そうには見えない男の子が一人。
もう一度ナンパされそうな面子だが、ソウスケが酔っていたとはいえCランクの冒険者を一蹴した件は野次馬達によって一瞬で広まった。

なので四人に手を出そうと思う人物は現れなかった。
そして女学生達の記憶通りに歩くと、確かに隠れ家的な雰囲気が漂うバーに到着した。

「まだあんまり飲んでないから弱いやつで」

「……それは構わないが、金は持っているのか?」

「こいつで十分だろ」

「ッ……見た目通りという訳だな」

「……はっはっは、そういう意味で言ってくれるのは嬉しいな。まぁ……あれだ、ダンジョンとかは儲かるからな」

躊躇なくカウンターのテーブルに座ってマスターに一杯頼むソウスケ。
マスターはソウスケがただの子供ではないという事は解かっていたが、金を持っているかは別問題。
しかしソウスケは直ぐに白金貨一枚をカウンターに置き、酒代は問題無いと伝える。

「ほら、飲みに来たんだろ。好きなの頼んで良いぞ」

「いや、しかし私達は後日あなたに依頼を」

「いーから、いーから。あっ、念のためあんまり強い酒は飲むなよ」

ソウスケから早く座って頼めと表情で伝えられた女学生達は恐る恐るイスに座り、マスターに酒を頼んだ。
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