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五百四十四話 ゼロになってからグサグサ
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「まっ、当然こうなるよな」
訓練場に移り、生徒たちとゼルートが模擬戦を始めてから約三十分……ダイアスの目の前には疲労とプライドがズタボロに折られた生徒たちが倒れていた。
「大体こんなもんだよな。うんうん、学生らしくてなによりだ」
そしてソウスケが意識的に言葉のナイフを飛ばし、生徒たちの背中にグサリと刺さり、HPがゼロからマイナスになった。
自身の見た目と年齢、ランクのせいで弱く思われたりするのは仕方ない。
だが、そこかでストレス発散はしたいと思い、ついオーバーキルをかます。
「どうだ、自分で言うのもなんだけど、見た目で判断したら痛い目に合う強さだっただろ」
疲れがあるというのも一つの理由だが、それよりも自分が今まで積み上げてきた強さをプライドをへし折られた影響が強く、まともに頷くことが出来ない。
しかし、ソウスケにコテンパンに負けたのは紛れもない事実。
否定の声は一つも上がらなかった。
「それと、一つ言いたいんだが……お前ら誰も鑑定系のスキルを持ってないだろ。なのに俺が弱いって決めつけるのは良くないというか……馬鹿丸出しだと思うぞ」
もう一つナイフを投げた。
ただ、事前に鑑定でこっそりと生徒たちのステータスを除いたので、誰も鑑定系のスキルを持っていないというのは知っている。
そしてそれを知ってしまうと、少々言葉は厳しいが思わず注意せずにはいられなかった。
「そもそも外見で人の実力を判断するのも良くないが、まずは鑑定系のスキルを持っていないなら。戦う前から相手の実力を断定するのは良くないぞ」
まさしくその通りなので、ミレアナやザハークだけではなくダイアスも頷く。
「外見が幼い。でも自分たちは鑑定系のスキルを持っていない。だが、相手はダイアスが連れて来た冒険者。そういった情報が揃ってるんだから、ちょっとは警戒しながら戦えよ」
もう一発ナイフが投げられ、膝を付いていた生徒たちが耐え切れず、地面に倒れ込んだ。
ソウスケの鋭いナイフでダメージを受けている生徒が多数いるが、何一つ間違ったことは言っていない。
そして生徒たちが物理的なダメージよりも、精神的に大きなダメージを負っているのを見てもダイアスの心は痛んでおらず、寧ろ羨ましいと思っていた。
(こういった早い段階でソウスケ君の様な強者と戦えたことは、紛れもない幸運だ。ここで挫折を味わえるのも、な……)
ソウスケは冒険者の中でも例外中の例外の存在。
その体は、文字通り神の手によってつくり替えられた人間。
この世界ではエリートに分類されるSクラスの生徒たちであっても、敵わないのは至極当然。
「お前ら、Sクラスの生徒……つまり、エリートなんだろ。だったら、もう少しクール頭を持ったらどうだ。全員が暑苦しい猪突猛進なイノシシとは言わないけどさ。血に頭が上る奴が多いよ」
「ソウスケ君、それぐらいにしてやってくれ。それ以上言うと、生徒たちが立ち直れなくなってしまうからさ」
「ん? ……確かに、そうかもしれないな。でも、体力はまだあるだろうし……よし、まだ時間はあるんだから有効活用しよう」
まだ授業が終わるまで数十分はある。
幸いにも、ソウスケが上手く手加減していたので大怪我を負った生徒は一人もいない。
「お前ら、適当に半々に別れてミレアナとザハークと模擬戦だ」
「す、直ぐにですか」
「あぁ、直ぐにだ。俺と戦った時間なんてたった数分だろ。それに十数人で戦うんだ。そこら辺は考えて戦え。あっ、それと……十数人で戦うんだから簡単に倒せるとか、的外れなことを考えるんじゃねぇぞ。ザハークはこの前、ソロでAランクのモンスターを倒したんだ」
ポロっと発した言葉に、生徒全員が口をあんぐりと開けて驚いた。
「ミレアナも同じぐらいの実力を持ってるから、模擬戦って次元で戦うな。殺す気で戦っても問題無い。それじゃ……まずはミレアナからとだ」
「お任せください。あなたたち、一分だけ時間を上げます。その間に二チームに別れなさい」
ミレアナの少々冷たい声に怯えながら、生徒たちはチームのバランスを考えて別れ始めた。
訓練場に移り、生徒たちとゼルートが模擬戦を始めてから約三十分……ダイアスの目の前には疲労とプライドがズタボロに折られた生徒たちが倒れていた。
「大体こんなもんだよな。うんうん、学生らしくてなによりだ」
そしてソウスケが意識的に言葉のナイフを飛ばし、生徒たちの背中にグサリと刺さり、HPがゼロからマイナスになった。
自身の見た目と年齢、ランクのせいで弱く思われたりするのは仕方ない。
だが、そこかでストレス発散はしたいと思い、ついオーバーキルをかます。
「どうだ、自分で言うのもなんだけど、見た目で判断したら痛い目に合う強さだっただろ」
疲れがあるというのも一つの理由だが、それよりも自分が今まで積み上げてきた強さをプライドをへし折られた影響が強く、まともに頷くことが出来ない。
しかし、ソウスケにコテンパンに負けたのは紛れもない事実。
否定の声は一つも上がらなかった。
「それと、一つ言いたいんだが……お前ら誰も鑑定系のスキルを持ってないだろ。なのに俺が弱いって決めつけるのは良くないというか……馬鹿丸出しだと思うぞ」
もう一つナイフを投げた。
ただ、事前に鑑定でこっそりと生徒たちのステータスを除いたので、誰も鑑定系のスキルを持っていないというのは知っている。
そしてそれを知ってしまうと、少々言葉は厳しいが思わず注意せずにはいられなかった。
「そもそも外見で人の実力を判断するのも良くないが、まずは鑑定系のスキルを持っていないなら。戦う前から相手の実力を断定するのは良くないぞ」
まさしくその通りなので、ミレアナやザハークだけではなくダイアスも頷く。
「外見が幼い。でも自分たちは鑑定系のスキルを持っていない。だが、相手はダイアスが連れて来た冒険者。そういった情報が揃ってるんだから、ちょっとは警戒しながら戦えよ」
もう一発ナイフが投げられ、膝を付いていた生徒たちが耐え切れず、地面に倒れ込んだ。
ソウスケの鋭いナイフでダメージを受けている生徒が多数いるが、何一つ間違ったことは言っていない。
そして生徒たちが物理的なダメージよりも、精神的に大きなダメージを負っているのを見てもダイアスの心は痛んでおらず、寧ろ羨ましいと思っていた。
(こういった早い段階でソウスケ君の様な強者と戦えたことは、紛れもない幸運だ。ここで挫折を味わえるのも、な……)
ソウスケは冒険者の中でも例外中の例外の存在。
その体は、文字通り神の手によってつくり替えられた人間。
この世界ではエリートに分類されるSクラスの生徒たちであっても、敵わないのは至極当然。
「お前ら、Sクラスの生徒……つまり、エリートなんだろ。だったら、もう少しクール頭を持ったらどうだ。全員が暑苦しい猪突猛進なイノシシとは言わないけどさ。血に頭が上る奴が多いよ」
「ソウスケ君、それぐらいにしてやってくれ。それ以上言うと、生徒たちが立ち直れなくなってしまうからさ」
「ん? ……確かに、そうかもしれないな。でも、体力はまだあるだろうし……よし、まだ時間はあるんだから有効活用しよう」
まだ授業が終わるまで数十分はある。
幸いにも、ソウスケが上手く手加減していたので大怪我を負った生徒は一人もいない。
「お前ら、適当に半々に別れてミレアナとザハークと模擬戦だ」
「す、直ぐにですか」
「あぁ、直ぐにだ。俺と戦った時間なんてたった数分だろ。それに十数人で戦うんだ。そこら辺は考えて戦え。あっ、それと……十数人で戦うんだから簡単に倒せるとか、的外れなことを考えるんじゃねぇぞ。ザハークはこの前、ソロでAランクのモンスターを倒したんだ」
ポロっと発した言葉に、生徒全員が口をあんぐりと開けて驚いた。
「ミレアナも同じぐらいの実力を持ってるから、模擬戦って次元で戦うな。殺す気で戦っても問題無い。それじゃ……まずはミレアナからとだ」
「お任せください。あなたたち、一分だけ時間を上げます。その間に二チームに別れなさい」
ミレアナの少々冷たい声に怯えながら、生徒たちはチームのバランスを考えて別れ始めた。
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