転移したらダンジョンの下層だった

Gai

文字の大きさ
1,012 / 1,259

千五十三話 巡って争いに

しおりを挟む
「目的を果たし終えた後の人生、か」

「なんだか、前にも考えたことがある内容だな」

「そうだったか? …………確かにそうだな」

目的を果たし終えた後……ソウスケ的に考えると、冒険者としての人生が終わった後。

自分はその時何をしてるのかと考えると……直ぐに思い付いた。

「錬金術師と鍛冶師、その両方をしながら暮らしてるな」

「ソウスケさんの場合は、錬金術や鍛冶に必要な材料を自力で揃えられるだろ」

「そうだな。歳を取って体力は落ちるだろうけど、魔力量はあまり減らないらしいし、きっちり筋肉を付けてればパワーの心配もそこまでしなくて良い筈」

「……拠点を構えるだけで、あまり今の生活と変わらなさそうですね」

今現在は貴族の子供に指導を行っているが、普段は冒険者として活動しながら、時たま鍛冶を行ったり錬金術で未だに仕事が届くエアホッケーを造っている。

(そういば、ヌレールア様の指導期間が終わる時に、武器を上げても良いな)

亜空間の中には大量の素材が収納されているため、使用する素材に関して悩むことはない。

「どこに拠点を置きますか?」

「あまり人がいない場所だと、お客さんが来ないよなぁ……でも、あまり人が多過ぎるところもなぁ」

「ソウスケさん、販売する時はこれまでと違って、適正価格で販売した方がよろしいかと」

「そうだな~~。偶に販売する時の値段で売れば、絶対に同業者たちから恨まれるもんな」

ソウスケはわざわざ材料を仕入れずとも、自分で調達できる。
その為、販売する時にわざわざ材料費や人件費などを気にせず販売することが可能。

「……悩むな。王都とか、そこら辺は拠点にしたくないけど…………へ、へっへっへ。なぁ、どうせならダンジョンを持ってる街の方が良いと思わないか」

完全に思考が冒険者のそれである。

「はっはっは!!! それは良いな。モンスターと戦いたくなれば、直ぐに強い個体と戦える。そして素材の調達にもなる……うむ、最高ではないか!!」

「ダンジョンを有する街であれば、需要があるので客もそれなりに来るでしょう」

ただ、この場には誰もそれに関してツッコむ者がいない。

「しかしソウスケさん。そうなると、冒険者ギルドの方からルーキーたちの指導を頼まれたりするのではありませんか?」

「あぁ…………本当に来るのか分からないけど、偶になら良いんじゃないか?」

「ソウスケさんが良いなら、私も構いませんが……っ」

ここでふと、ミレアナは重要なことを思い出してしまった。

(……ソウスケさんは、どの国に拠点を構えるつもりなのでしょうか)

ソウスケは……これまで出会って来た者たちに尋ねられた場合、山の中で育てられたと伝えていた。

一応、一応エイリスト王国の生まれではあるが、ソウスケは特にエイリスト王国に強い思い入れがある訳ではない。

(やはりエイリスト王国でしょうか? 仮に他国を選んだ場合…………ソウスケさんを狙って、争いが起きるかもし得ません。いえ、確実に起こるでしょう)

ソウスケは既に冒険者として多くの名声を得ており、現在Bランクではあるが、その実力だけではなく得た功績を含めてAランク相当であるのは間違いない。

それはミレアナ……従魔のザハークも同じであり、その国に存在するだけで抑止力となる存在。
加えて、他国への牽制にもなる。

少し前にソウスケはエイリスト王国の冒険者として戦い、エイリスト王国所属の冒険者という印象が強いが……ソウスケは冒険する為なら、今回の様に遠慮なく他国へ向かう。

(……どれだけ馬鹿な事をしないか、何がソウスケさんの逆鱗を触れることになるか。それを理解した国が……老後の拠点として選ばれるかもしれませんね)

ミレアナとしては……多少なりともエイリスト王国に思い入れはあるが、最優先するのはソウスケの意志。
自分としては、この国が……と、意見するつもりは全くなかった。
しおりを挟む
感想 253

あなたにおすすめの小説

無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった! 「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」 主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

虹色のプレゼントボックス

紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。 安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。 わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。 余計わけのわからない人物に進化します。 作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。 本当に尋常じゃないほど早いです。 残念ながらハーレムは無いです。 全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。 未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。 行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。 なかなかに最悪な気分になりました。 お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。 というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。 お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ

柚木 潤
ファンタジー
 薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。  そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。  舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。  舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。  以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・ 「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。  主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。  前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。  また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。  以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。  

追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました

KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」 勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、 ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。 追放すらできない規約のせいで、 “事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。 だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。 《超記録》―― 敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。 生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。 努力で《成長》スキルを獲得し、 記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。 やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。 対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、 記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。 一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。 さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。 街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。 優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。 捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。 爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

処理中です...