1,153 / 1,259
千九十四話 普通に危ないから
しおりを挟む
「…………ソウスケさん」
「なんだ、ザハーク。ミレアナが言った通り、お前はもう今日戦うだけ戦ったんだから、あのドラゴンとは戦ったらダメだぞ」
「それは解っている。ただ……あのドラゴンと、魔法だけで戦うのは相性が悪いのではないか」
戦い過ぎだバカ野郎とザハークがミレアナに叱られた後、三人は一体の雷竜に遭遇。
風竜と同様に素早く、全体的な攻撃力が高い。
そして……あまり知られてはいないが、ドラゴンの中では他の属性のドラゴンと比べて、やや魔法に対する抵抗力が高い。
「……っぽいね。まぁ、そもそも素早い相手に魔法だけで挑むって時点で、相性が悪過ぎるんだけどね」
世の中にはそこら辺の百凡の魔法使いたちとは違い、前衛やサポートの狩人などがいなくとも、一人で強敵を討伐出来る魔法使いがいる。
だが、そんな彼等であっても、雷竜や風竜の様な素早く攻撃力も半端ではないモンスターを一人で対応するのは難しい。
「けど、ミレアナだからね……大丈夫だよ」
現在そんな雷竜と戦闘中のミレアナはウィンドステップを発動し、脚力を強化。
戦場を駆け回りながら雷竜の攻撃を避け、杖で強化した魔法を叩き込んでいた。
「……あれは、魔法使いに相応しい戦い方なのか?」
「そこに関してはツッコミどころありそうだけど、今ミレアナが発動してるウィンドステップは風魔法スキルの魔法なわけだから、他の魔法使いたちでも出来ないわけじゃない」
「単に、他の魔法使いどもが努力をしていないだけだと」
「固定概念に囚われてるのか、勝手に限界を決め付けてるのか……それとも魔法だけ尖るべきだと思ってるのかは解らないけど…………まぁ、そもそも一人で戦おうとする魔法使いがいないし、周りもそれは危険だって止めるからかな」
「そうか…………確かに、それが普通なのか」
ザハークはモンスターではあるが、ソウスケたちと共に旅をする中で、多くの冒険者たちをちらちらと見てきた。
だからこそ、ミレアナが中々に頭のおかしい戦闘力を、魔法だけで戦える力を持っていることぐらいは解っていた。
「話は戻るけど、今回は杖の質を確かめてるわけだから、ミレアナの戦い方はそんなに関係無いよ。ザハークが試していたハンマーに関しても、あれだけ結構雑に使ったのに壊れなかったっていうのが一番の利点だって解ったわけだしさ」
「……ハンマーを使う力自慢たちは、あぁいった戦い方をしないのか」
「状況によっては、思いっきり真正面から戦り合うかもしれないけど……うん、普通はしないんじゃないかな」
普通じゃない自分が普通を語るのはどうなんだと思いつつ話すソウスケだが、その考え自体は間違ってはいない。
ただ、ソウスケは忘れていた。
主にBランクドラゴンの素材を使って三人が造ったロングソードや大剣、ハンマーに杖などは……三人の研鑽もあって、並みの強さではない。
それらの武器を購入する者たちは、果たして普通の冒険者や騎士たちなのか。
「ふぅーーーー、お待たせしました」
「お疲れ様。どうだった、自作の杖の使い心地は」
「……悪くはない、といったところでしょうか」
普段は杖を使って魔法を発動しないミレアナ。
だが、自作の杖を使うことで魔力の消費量を抑えられ、発動した攻撃魔法を強化出来たりと、確実に杖を使って魔法を発動するメリットは感じた。
それでも製作者だからか、中々褒めることはなかった。
「辛口だね」
「そうでしょうか。なるべく素材を破壊をしてしまわないようにと気を付けていましたが、討伐するのに五分以上かかりましたので、妥当な評価かと」
サラッと縛りを設けて戦っていたと口にするミレアナ。
ソウスケとザハークもなんとなく気付いてはいた。
「魔法だけで倒したんだから、もっと評価を上げても良いと思うけど……まっ、それを決めるのはミレアナだしね」
ソウスケはソウスケで自作のロングソードや双剣の評価を付けるため、解体と見張りを二人に任せ、適当なドラゴンを探し始めた。
「なんだ、ザハーク。ミレアナが言った通り、お前はもう今日戦うだけ戦ったんだから、あのドラゴンとは戦ったらダメだぞ」
「それは解っている。ただ……あのドラゴンと、魔法だけで戦うのは相性が悪いのではないか」
戦い過ぎだバカ野郎とザハークがミレアナに叱られた後、三人は一体の雷竜に遭遇。
風竜と同様に素早く、全体的な攻撃力が高い。
そして……あまり知られてはいないが、ドラゴンの中では他の属性のドラゴンと比べて、やや魔法に対する抵抗力が高い。
「……っぽいね。まぁ、そもそも素早い相手に魔法だけで挑むって時点で、相性が悪過ぎるんだけどね」
世の中にはそこら辺の百凡の魔法使いたちとは違い、前衛やサポートの狩人などがいなくとも、一人で強敵を討伐出来る魔法使いがいる。
だが、そんな彼等であっても、雷竜や風竜の様な素早く攻撃力も半端ではないモンスターを一人で対応するのは難しい。
「けど、ミレアナだからね……大丈夫だよ」
現在そんな雷竜と戦闘中のミレアナはウィンドステップを発動し、脚力を強化。
戦場を駆け回りながら雷竜の攻撃を避け、杖で強化した魔法を叩き込んでいた。
「……あれは、魔法使いに相応しい戦い方なのか?」
「そこに関してはツッコミどころありそうだけど、今ミレアナが発動してるウィンドステップは風魔法スキルの魔法なわけだから、他の魔法使いたちでも出来ないわけじゃない」
「単に、他の魔法使いどもが努力をしていないだけだと」
「固定概念に囚われてるのか、勝手に限界を決め付けてるのか……それとも魔法だけ尖るべきだと思ってるのかは解らないけど…………まぁ、そもそも一人で戦おうとする魔法使いがいないし、周りもそれは危険だって止めるからかな」
「そうか…………確かに、それが普通なのか」
ザハークはモンスターではあるが、ソウスケたちと共に旅をする中で、多くの冒険者たちをちらちらと見てきた。
だからこそ、ミレアナが中々に頭のおかしい戦闘力を、魔法だけで戦える力を持っていることぐらいは解っていた。
「話は戻るけど、今回は杖の質を確かめてるわけだから、ミレアナの戦い方はそんなに関係無いよ。ザハークが試していたハンマーに関しても、あれだけ結構雑に使ったのに壊れなかったっていうのが一番の利点だって解ったわけだしさ」
「……ハンマーを使う力自慢たちは、あぁいった戦い方をしないのか」
「状況によっては、思いっきり真正面から戦り合うかもしれないけど……うん、普通はしないんじゃないかな」
普通じゃない自分が普通を語るのはどうなんだと思いつつ話すソウスケだが、その考え自体は間違ってはいない。
ただ、ソウスケは忘れていた。
主にBランクドラゴンの素材を使って三人が造ったロングソードや大剣、ハンマーに杖などは……三人の研鑽もあって、並みの強さではない。
それらの武器を購入する者たちは、果たして普通の冒険者や騎士たちなのか。
「ふぅーーーー、お待たせしました」
「お疲れ様。どうだった、自作の杖の使い心地は」
「……悪くはない、といったところでしょうか」
普段は杖を使って魔法を発動しないミレアナ。
だが、自作の杖を使うことで魔力の消費量を抑えられ、発動した攻撃魔法を強化出来たりと、確実に杖を使って魔法を発動するメリットは感じた。
それでも製作者だからか、中々褒めることはなかった。
「辛口だね」
「そうでしょうか。なるべく素材を破壊をしてしまわないようにと気を付けていましたが、討伐するのに五分以上かかりましたので、妥当な評価かと」
サラッと縛りを設けて戦っていたと口にするミレアナ。
ソウスケとザハークもなんとなく気付いてはいた。
「魔法だけで倒したんだから、もっと評価を上げても良いと思うけど……まっ、それを決めるのはミレアナだしね」
ソウスケはソウスケで自作のロングソードや双剣の評価を付けるため、解体と見張りを二人に任せ、適当なドラゴンを探し始めた。
314
あなたにおすすめの小説
異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』
アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた
【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。
カクヨム版の
分割投稿となりますので
一話が長かったり短かったりしています。
虹色のプレゼントボックス
紀道侑
ファンタジー
安田君26歳が自宅でカップ麺を食ってたら部屋ごと異世界に飛ばされるお話です。
安田君はおかしな思考回路の持ち主でわけのわからないことばっかりやります。
わけのわからない彼は異世界に転移してからわけのわからないチート能力を獲得します。
余計わけのわからない人物に進化します。
作中で起きた事件の真相に迫るのが早いです。
本当に尋常じゃないほど早いです。
残念ながらハーレムは無いです。
全年齢対象で男女問わず気軽に読めるゆるいゆる~いストーリーになっていると思いますので、お気軽にお読みください。
未公開含めて30話分くらいあったのですが、全部行間がおかしくなっていたので、再アップしています。
行間おかしくなっていることに朝の4時に気づいて右往左往して泣く泣く作品を削除しました。
なかなかに最悪な気分になりました。
お気に入りしてくださった方、申し訳ありません。
というかしょっちゅう二行も三行も行間が空いてる小説をよくお気に入りしてくださいましたね。
お気に入りしてくださった方々には幸せになってほしいです。
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました
KABU.
ファンタジー
「お前の《記録》なんて役に立たない。もうついてくるな」
勇者パーティの“お荷物”扱いに耐えてきたライトは、
ついにダンジョン最深部で置き去りにされる。
追放すらできない規約のせいで、
“事故死”に見せかけて排除しようとしたのだ。
だがその死地で、ライトのスキル《記録》が進化した。
《超記録》――
敵のスキルや魔法、動きまですべてを記録し、即座に使えるようになる最強格の能力。
生き延びたライトはレグナの街で冒険者として再出発。
努力で《成長》スキルを獲得し、
記録したスキルや魔法は使うほど強化されていく。
やがて《超記録》は最終進化《アカシックレコード》へ。
対象を見ただけでステータスや行動パターンが分かり、
記録した力を即座に上位化し、さらに合成して新たな力まで生み出す究極スキル。
一方、勇者パーティはライトを失った途端に依頼成功率が大幅に低下。
さらに魔王軍四天王の暗躍によって状況は悪化し、ついには洗脳されてライトに牙をむく。
街を襲うドラゴン、仲間それぞれの過去、四天王との連戦。
優しく努力家のライトは、出会った仲間と共に確実に強くなっていく。
捨てられた記録係が、世界最強へと進化する。
爽快無双×成長ドラマの大長編ファンタジー開幕。
神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。
彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。
シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。
それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。
すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。
〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟
そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。
同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる