転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai

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第12話 堂々と受け止める

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(いやぁ~~、本当に面白い程騒ぐな。つか、そんなに敵意を向けてくるなよ~~~……戦りたくなるだろうが)

向けられる超多数の視線に怖気づくことなく、堂々と……悠然とした足取りで壇上へと昇り、拡声器のマジックアイテムを手に取る。

「どうも、新入生代表のイシュド・レグラだ。今この場に居る者たちにとっては、初めましての者が殆どだろう」

言葉通り、イシュドと直接顔を合わせた者はほんの数人しかいない。

「元々俺はこの学園に入学するつもりはなかったが、訳あって入学することになった…………ふふ、はっはっはっはっは!!!!」

当然笑い出す新入生代表に対し、生徒や保護者から小声ではあるものの、陰口が零れ始める。

「全く、本当はもう少しそれらしい言葉を並べようと思っていたんだが……お前ら、いくらなんでもあからさまに敵意、もしくは殺気を放ち過ぎだ」

負の感情をぶつけてくる同級生たちに対し、イシュドは同じ圧で対抗……しようとはしなかった。

ただただ、まるで器の大きさを示すかのように彼らの感情を受け止める。

「まぁ、そういう気持ちになるのも解らなくはないが、あの結果に文句があるならまず学園に伝えてくれ。お前らが先程バカな真似をしていた屑と同じではないことを祈る」

そのバカな真似をした屑も一応この場にいるのだが、イシュドは一切態度を変えることなくあいつは屑だったと言い切った。

「では、互いに三年間もあるこの学園生活……卒業するまで、有意義に過ごそう。以上です」

生徒たち……特に内部進学生たちが暴動を起こしてもおかしくなかったが、彼らは決して鈍くはない。

イシュドが新入生代表の挨拶を終えた瞬間、両肩に重い何かが乗っかていると錯覚させる圧を学長が放ち、暴動を未然に抑えた。


「同じクラスだったみたいだな、ガルフ」

「君が同じクラスでホッと一安心だよ。顔を知ってる人がいると心強いというか……うん、兎に角安心出来るよ」

クラスへ移動してからというもの、既にクラス内にはグループが出来ており……二人は完全に孤立してた。

「というか、イシュドは貴族なのに……」

「なんで他の連中に嫌われてるか、ってか?」

「えっと……うん。なんでかなって思って」

確かに、立派な体躯と少々圧が強めの顔を持つイシュドは……ぱっと身少々怖そうに見える。

しかし、実際に話してみれば全くそんな事はなく、とても人から嫌われるタイプには見えない。
だが……その理由を示す馬鹿が直ぐに現れた。

「辺境の蛮族は声だけは大きいようだな」

「今こいつがサラッと説明しただろ。俺の実家のレグラ家ってのは、この国の辺境にあるんだけど、モンスターと戦って戦っての毎日を繰り返してて、貴族界に顔を出すことも殆どねぇから、こうやって他の連中からは辺境の蛮族って呼ばれてるんだよ」

絡んで来た同級生を利用し、なるべく解りやすくガルフに説明するが……それだけでは平民のガルフにとって、何故嫌われているのかは理解出来なかった。

「ッ……不正を働く屑が、あまり調子に乗るなよ」

「あぁ~~~、ったく。お前、もしかして入学式の時寝てたのか? いや、その気持ちは解らなくもねぇ。ぶっちゃけお偉いさん達の話を聞いたところで退屈なだけだからな。でも……俺が新入生代表の挨拶をしてる時に寝てた奴はいねぇと思うんだけどな?」

第二の輩がどれだけ圧を放とうとも、イシュドからすればゴブリンが頑張って威嚇しているのとなんら変わらない。

たかがゴブリン、されどゴブリンと言われるモンスターではあるものの、イシュドから見て目の前の輩は一ミリもそそられないそこら辺に転がっている石と同じだった。

「ッ!!!! どうやら自分の非を認めるつもりはないみたいだな!!!!」

「非を認めるとか以前に、俺は不正なんてしてねぇっての。試験監督を担当した教師に聞けば良いじゃねぇか。はぁ~~~……なぁ、どちらにしろそうやって俺に絡むなら、もうちょい強くなってからにしてくれねぇか」

「ッ!!!!!!!!!」

「手出るの早過ぎ君かよ」

「あばっ!!!???」

第二の輩も自分が正義の使者、絶対的な支配者と勘違いしているのか、場を用意することなくその拳を振り下ろした。

今回はその拳を一発は受けてあげることはなく、座った状態で拳を繰り出し、腹にめり込ませた。

第一の輩の時とは違い、吹っ飛ば差ない様に殴ったため、他の同級生たちに迷惑がかかる事はなく、第二の輩はその場に膝から崩れ落ちた。

「「「「「「「っ!!!???」」」」」」」

第一の輩が蹴り一発で沈められた光景を見てない者たちは、目の前の光景に驚き固まる。

「イシュド……この人も貴族、なんだよね」

「そうだな。でもな、ガルフ。俺も貴族なんだよ」

「あ、そっか。それなら大丈夫……なの?」

貴族だから同じ貴族を殴っても大丈夫だと思ってしまう程、ガルフの頭は緩くない。

「お前たち、席に着け。むっ、いったい何があった」

「先生、どうやらこいつはこの学園がたった十五の若造の不正も発見出来ないゴミ屑みたいな力しかないとほざいてました」

「っ!!?? ぞ、ぞんな事言っでな」

「俺がそんな事はないぞって訂正したら、いきなり殴りかかろうとしてきたんで、やられる前にやりました」

「ふむ…………そうか。窓や机などを壊していないのであれば、特に言うことはない。そこのお前、さっさと自分の席に戻れ」

「ッ……分かり、ました」

第二の輩としては、何故か……何故か教室にやって来る担任となる教師は絶対に自分の味方をしてくれると思っていたため、この結果に対して不服そうな表情を浮かべるも、渋々自身の席へと戻った。

(全く、早速問題を起こしてくれたな……レグラ家の人間ということを考えれば当然なのかもしれないが……どうやら噂通りの狂人という訳ではなさそうだな)

信じられない結果ではあった。
一人の外部受験生により、フラベルト学園の歴史が変わった。

到底信じられない話ではあるものの、戦闘試験を担当した教師や他の教師たちはその実力を絶賛。
加えて……イシュドたちの担任教師となった男は、イシュドの言い分は全て信じていない。
全ては信じていないが……それでも考えが愚かな生徒が彼に咬みつくことは容易に想像できる。

そんな馬鹿を徹底的に追い詰める為に、少々盛った考えを伝えてきた。
それらの言動から、男はイシュドに対する評価を改めるも……やはり問題を起こさないでほしいという思いは強い。
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