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第60話 強制引き上げ
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「いよ~~~し!! かなり体がほぐれてきたな。んじゃ、準備運動は終わりにして、そろそろ本番といこうか!!!」
イシュドが口にした言葉に対し……誰もが耳を疑った。
これまでの戦いが準備運動?
その簡単なら言葉を理解するのに、数十秒は必要だった。
現場で戦っている三人に関しては……これから本格的にスキルを使い始めるのかと思い、観客席で観ている一般市民たち程は混乱していなかった。
ただ……この戦いは、ここまでやるのか? という疑問と、多少の恐れを感じ始めていた。
「まだまだ……戦れるだろ?」
次の瞬間、三人の視界に移るイシュドの姿がブレた。
「ぬぅううううっ!!!???」
姿がブレ、まるで突然消えたかのような動きではあったが、それでもダスティンたちの耳はしっかり地を蹴る音を拾っていた。
「良い反応だッ!!!!!!!」
ダスティンは何も考えず、ほぼ反射的に後ろに振り向き、大斧を盾のように展開。
自分が防御態勢を取った……と自覚した瞬間には強烈な衝撃が襲い掛かり、リングの端ギリギリまで吹き飛ばされた。
「「ッ!!!!!!!」」
速過ぎる。スキルを使った? それとも魔力を纏って強化?
そう考える思考すら与えられるず、二人に迫るイシュド。
(待て、待て待て待て、待ちやがれ!! 素の状態、で、ここまで上がるのかよ!!!!)
(くっ!!?? 彼を、形容する、言葉が、見当たりません、ね!!!!)
碌に思考する間を与えられない。
ただ迫りくる手刀に対応する為だけに体を動かす。
これまでイシュドは確かに素の身体能力を生かして戦っていたが、攻撃に関してはパワーをメインに攻めることが殆ど。
その脚力、スピードを活かして攻めることはなかったが……ここにきて、ギアを一つ上げた。
全く見えない、反応出来ない速さではないのだが、思考する間も与えない……そこが重要なポイントだった。
(はっはっは!!!!! さっすが会長さんとフィリップ!!! ちゃんと反応出来るじゃねぇか!!!!!)
次どう動くかを考えるのではなく、これまでの戦闘経験、センスを総動員させて反射と言える速度で正解の選択肢を取り続ける。
考えずに動く。
戦闘者として、それが出来てこそ一人前だと考える者は決して少なくない。
思考し続けて的確な選択を選び続けることは決して悪い行動ではないが、極限の戦いを強いられる場面では、その思考を体に反射させる。
それが出来なければ追い詰められる状況が続き、最後は殺されて食われてしまう。
イシュドは過去にモンスターとの激闘でその感覚を掴んだ。
二人は今、無意識に最善の選択肢を取り続けられるようになっていた。
いや…………正確に言えば、イシュドが二人にその選択肢を取れるように追い込んだ。
「ぜぇええああああッ!!!!」
「ッ、っと!」
「ぬ、ぐっ!! ぬぁらッ!!!!」
(こっちの二年生のトップも、流石トップに立つだけのことはある、って感じだな!!!!)
ダスティンは重戦士という職業の性質上、フィリップやクリスティールほどの速さはない。
それでもイシュドの素早い打撃に対し、大斧の持ち手を短く持ち、なんとか吹き飛ばされることなく耐え続け、タンクの役割を見事果たしていた。
(長いこと学生の戦いを観てきたが……こんな事が出来る学生は、この先現れないだろうな)
審判の男は騎士として働いていた経験があり、三次転職まで済ませている猛者。
彼がいれば、リングの上で間違いが起こることはあり得ない。
学園のトップや令息、令嬢たちの親からも一定の信頼を得ている多くの意味で優れた審判。
そんな彼は世間一般では野蛮な蛮族と呼ばれている貴族の令息、レグラに対して……一人の戦闘者として、敬意を感じていた。
(各学年の優勝者三人を相手にスキルや武器を使わずに圧倒。それだけでも十分過ぎるほどの戦闘力なのだが、あの青年……間違いなく、自ら彼らを引き上げようとしている)
指導、と見て取れる場合もあるだろう。
イシュドにとってはただただ、更にこの試合を楽しむ為のエゴをぶつけているだけなのだが、見方によっては指導しているように見える。
「最高だ、最高だぜお前らぁああああああああ!!!!!」
四つの斬撃、強烈な大斬……全てを回避しながら宙を舞い、踏ん張りを必要としない打撃、空打を叩き込んで三人を後方へと押し飛ばす怪物。
「~~~~~~~~~~ッ!!!!! 二人共、余力が残っているのであれば、ここで仕留めましょう」
「ッ……奴が避けるという可能性は」
「ダスティンぱい先、そりゃ愚問ってやつっすよ」
「…………そうみたいだな」
クリスティールたちが何を考えているのか即座に見抜いたイシュドはニヤニヤと笑いながら……何が飛んでくるのかと、ワクワクしながら待っていた。
「やりますよ」
事前に練習など一切行っていない。
だが、そんなの知ったことではない。
三人の心にはあの怪物に一泡吹かせる……ではなく、この一撃で倒すという考えしかなかった。
「良いぜ……良いぜ、良いぜ!!!!!!! こいやあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
「ぬぅうううううぉおおおおらああああああああアアアアアアッ!!!!!」
「せぇええええええああああああアアアアアアアッ!!!!!!」
「持ってけクソったれがぁああああああああアアアアアアアッ!!!!!!」
メインはダスティンが放った斧技スキルレベル四、轟斧両断。
そのまま叩き込む、もしくは遠距離攻撃としても使える破壊の一撃。
そこにスキル魔斧が加わり、巨大な岩斧が放たれた。
この岩斧だけでも強烈な一撃なのは変わらないのだが、そこに無数の氷刃と雷閃が加わった。
氷刃は当然クリスティールが放出したものであり、雷閃という岩斧のブーストに関してはフィリップが人々の記憶から薄れさせていた奥の手。
三種の別属性の攻撃が交わった一撃。
本来、別属性の攻撃魔法、もしくは属性が付与された攻撃を混ぜ合わせるのは非常に技術と経験が必要。
長い期間タッグを組んでいる戦友同士、もしくは双子、親子や兄弟などであれば無意識に合わせることも出来なくはないが、三人には互いに面識こそあるが、深く関わり合ってはいない。
「うぅおおおおらぁああああアアアアアア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!!」
だが、イシュドがトップギア(巣の身体能力状態)に入って強制的に三人のレベルを
引き上げたことで、集中力が極限に近い状態になったことで、奇跡の一撃と言っても過言ではない一撃を放つことに成功。
そんな一撃に対し……イシュドは右拳に魔力を纏い、全力で吼えながら拳を繰り出した。
イシュドが口にした言葉に対し……誰もが耳を疑った。
これまでの戦いが準備運動?
その簡単なら言葉を理解するのに、数十秒は必要だった。
現場で戦っている三人に関しては……これから本格的にスキルを使い始めるのかと思い、観客席で観ている一般市民たち程は混乱していなかった。
ただ……この戦いは、ここまでやるのか? という疑問と、多少の恐れを感じ始めていた。
「まだまだ……戦れるだろ?」
次の瞬間、三人の視界に移るイシュドの姿がブレた。
「ぬぅううううっ!!!???」
姿がブレ、まるで突然消えたかのような動きではあったが、それでもダスティンたちの耳はしっかり地を蹴る音を拾っていた。
「良い反応だッ!!!!!!!」
ダスティンは何も考えず、ほぼ反射的に後ろに振り向き、大斧を盾のように展開。
自分が防御態勢を取った……と自覚した瞬間には強烈な衝撃が襲い掛かり、リングの端ギリギリまで吹き飛ばされた。
「「ッ!!!!!!!」」
速過ぎる。スキルを使った? それとも魔力を纏って強化?
そう考える思考すら与えられるず、二人に迫るイシュド。
(待て、待て待て待て、待ちやがれ!! 素の状態、で、ここまで上がるのかよ!!!!)
(くっ!!?? 彼を、形容する、言葉が、見当たりません、ね!!!!)
碌に思考する間を与えられない。
ただ迫りくる手刀に対応する為だけに体を動かす。
これまでイシュドは確かに素の身体能力を生かして戦っていたが、攻撃に関してはパワーをメインに攻めることが殆ど。
その脚力、スピードを活かして攻めることはなかったが……ここにきて、ギアを一つ上げた。
全く見えない、反応出来ない速さではないのだが、思考する間も与えない……そこが重要なポイントだった。
(はっはっは!!!!! さっすが会長さんとフィリップ!!! ちゃんと反応出来るじゃねぇか!!!!!)
次どう動くかを考えるのではなく、これまでの戦闘経験、センスを総動員させて反射と言える速度で正解の選択肢を取り続ける。
考えずに動く。
戦闘者として、それが出来てこそ一人前だと考える者は決して少なくない。
思考し続けて的確な選択を選び続けることは決して悪い行動ではないが、極限の戦いを強いられる場面では、その思考を体に反射させる。
それが出来なければ追い詰められる状況が続き、最後は殺されて食われてしまう。
イシュドは過去にモンスターとの激闘でその感覚を掴んだ。
二人は今、無意識に最善の選択肢を取り続けられるようになっていた。
いや…………正確に言えば、イシュドが二人にその選択肢を取れるように追い込んだ。
「ぜぇええああああッ!!!!」
「ッ、っと!」
「ぬ、ぐっ!! ぬぁらッ!!!!」
(こっちの二年生のトップも、流石トップに立つだけのことはある、って感じだな!!!!)
ダスティンは重戦士という職業の性質上、フィリップやクリスティールほどの速さはない。
それでもイシュドの素早い打撃に対し、大斧の持ち手を短く持ち、なんとか吹き飛ばされることなく耐え続け、タンクの役割を見事果たしていた。
(長いこと学生の戦いを観てきたが……こんな事が出来る学生は、この先現れないだろうな)
審判の男は騎士として働いていた経験があり、三次転職まで済ませている猛者。
彼がいれば、リングの上で間違いが起こることはあり得ない。
学園のトップや令息、令嬢たちの親からも一定の信頼を得ている多くの意味で優れた審判。
そんな彼は世間一般では野蛮な蛮族と呼ばれている貴族の令息、レグラに対して……一人の戦闘者として、敬意を感じていた。
(各学年の優勝者三人を相手にスキルや武器を使わずに圧倒。それだけでも十分過ぎるほどの戦闘力なのだが、あの青年……間違いなく、自ら彼らを引き上げようとしている)
指導、と見て取れる場合もあるだろう。
イシュドにとってはただただ、更にこの試合を楽しむ為のエゴをぶつけているだけなのだが、見方によっては指導しているように見える。
「最高だ、最高だぜお前らぁああああああああ!!!!!」
四つの斬撃、強烈な大斬……全てを回避しながら宙を舞い、踏ん張りを必要としない打撃、空打を叩き込んで三人を後方へと押し飛ばす怪物。
「~~~~~~~~~~ッ!!!!! 二人共、余力が残っているのであれば、ここで仕留めましょう」
「ッ……奴が避けるという可能性は」
「ダスティンぱい先、そりゃ愚問ってやつっすよ」
「…………そうみたいだな」
クリスティールたちが何を考えているのか即座に見抜いたイシュドはニヤニヤと笑いながら……何が飛んでくるのかと、ワクワクしながら待っていた。
「やりますよ」
事前に練習など一切行っていない。
だが、そんなの知ったことではない。
三人の心にはあの怪物に一泡吹かせる……ではなく、この一撃で倒すという考えしかなかった。
「良いぜ……良いぜ、良いぜ!!!!!!! こいやあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
「ぬぅうううううぉおおおおらああああああああアアアアアアッ!!!!!」
「せぇええええええああああああアアアアアアアッ!!!!!!」
「持ってけクソったれがぁああああああああアアアアアアアッ!!!!!!」
メインはダスティンが放った斧技スキルレベル四、轟斧両断。
そのまま叩き込む、もしくは遠距離攻撃としても使える破壊の一撃。
そこにスキル魔斧が加わり、巨大な岩斧が放たれた。
この岩斧だけでも強烈な一撃なのは変わらないのだが、そこに無数の氷刃と雷閃が加わった。
氷刃は当然クリスティールが放出したものであり、雷閃という岩斧のブーストに関してはフィリップが人々の記憶から薄れさせていた奥の手。
三種の別属性の攻撃が交わった一撃。
本来、別属性の攻撃魔法、もしくは属性が付与された攻撃を混ぜ合わせるのは非常に技術と経験が必要。
長い期間タッグを組んでいる戦友同士、もしくは双子、親子や兄弟などであれば無意識に合わせることも出来なくはないが、三人には互いに面識こそあるが、深く関わり合ってはいない。
「うぅおおおおらぁああああアアアアアア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!!」
だが、イシュドがトップギア(巣の身体能力状態)に入って強制的に三人のレベルを
引き上げたことで、集中力が極限に近い状態になったことで、奇跡の一撃と言っても過言ではない一撃を放つことに成功。
そんな一撃に対し……イシュドは右拳に魔力を纏い、全力で吼えながら拳を繰り出した。
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