転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai

文字の大きさ
126 / 500

第126話 認めるしかない

「世の中、全員が全員上を目指せる訳じゃねぇ。そりゃ仕方ねぇことではあると思うけど、そのしわ寄せが平民に来ないように努力する……ぐらいはあんたらが背負うべきあれになるかもな」

「眼を背けちゃならない現実ってやつだなぁ…………仮によ、仮にだぜ? イシュドがどうこうしようって思ったら、どうするんだ?」

「はっはっは!!! フィリップ~~~、それを聞いちまうか?」

人が見れば、悪魔……鬼とも思える顔になるイシュド。

「俺個人の金は結構あるんだよ。それで裏の連中を雇って情報を集めて、片っ端からぶっ殺していく。場合によっては、裏の連中に追加で金を払って、死んでしまいたくなるような地獄を見せてから、ぶっ殺すのもありだな」

「そいつはぁ……あれだな、血の海ができるな」

「まさにそうなるだろうな。ん? なんだよ、デカパイ。やり過ぎだってか?」

「……半々、ですわね」

「へぇ~~~。そりゃ結構だ。ここでお前が俺の考えを全否定してたら、今後の付き合いを考えなきゃいけねぇところだったよ」

過激すぎる思考?
確かに一般的な貴族たちからすれば、確証足り得る情報を得れば、後は暴力で解決。
それはなんとも野蛮であり、蛮族と呼ばれても仕方ない。

ただ、貴族という存在の全てが善でないことを……この場にいる全員が知っている。

「これまで散々平民や、自分よりも立場が弱い連中に理不尽を押し付け、地獄を味合わせて来たんだ。なら、それが自分に跳ね返って来ても、なんらおかしくはねぇだろ」

「……立場的に、私はその考えを控えるように口にしなければならないのだろうけど……被害を受けた者たちは、それを望むのだろうね」

「…………王子様よ~。俺、割とお前がそういう考えが出来るところ嫌いじゃねぇけどよ、実家とか学園に戻ってから、うっかりそんな言葉を零すなよ。どうせ周りのバカはうちに原因があるんだ~~~!!! って騒ぎだすんだからよ」

被害妄想が過ぎないか? とツッコみたくなる内容ではあるものの、それが容易に想像出来てしまい、アドレアスは苦笑いしながら頷くしかなかった。

「勿論、気を付けるよ……けど、君の言う通りそれは私たちがこれからも眼を逸らしてはいけない問題なのは間違いない」

「……イシュド。あなた、それに関しても何か解決策が思い浮かんでるのはなくて?」

「デカパイ……てめぇなぁ、俺をなんだと思ってんだ。神や仏、仙人じゃねぇんだぞ」

「狂戦士の皮を被った、非常識な狂戦士ではなくて?」

狂戦士でありながら、狂戦士らしくない一面もある……という点を考えると、ミシェラの言葉は割と間違ってはおらず、その狂戦士であるイシュドも返す言葉が直ぐには浮かばなかった。

「チっ……現実的がどうかはしらねぇ。つか、どう考えてもアドレアス、お前ら王家に…………つか、貴族も含めて喧嘩売ってる発言になるけど……お前ら、元を辿ればただそれなりに優秀な人間ってだけだからな」

元を辿れば……それは禁忌とも言える発言。
現在イシュドたちがいる場所はレグラ家の領地内。
ここでは言い返したければ実力で捻じ伏せろ!!! といった感じの文化があるため、誰も反論することはないが…………ガルフを除き、全員渋く……苦々しい表情を浮かべていた。

「イシュドよ。お前の言いたい事は……肯定してはダメなのだろうが、ここは敢えて解ると言わせてもらおう。しかし、貴族は有している土地一帯を治め、王族は国を治めている。この点に関しては、どう考える」

「そりゃ生まれた時から長男とかは、そういった教育を受けるわけだろ。教育を受けたなら、出来なきゃダメだろ。絶望的に魔法の才がない戦士職の奴に、魔戦士や魔剣士になれって言ってる訳じゃないんだからよ。そりゃあ、実際に出来るか云々は置いといて、平民でも教育を受ければ領地でこういった問題が起きた時はこうして、普段はどういった業務から進めてとか、問題に対して答えは出せるようになるだろ」

命を懸けた実戦と同じく、絶対的な答えがあるとは言えない。
複数の正解がある場合も考えれば、決して簡単な仕事とは言えない。

しかし……おおよその正解というのはある。

「なっはっは!!!!!! いやぁ~~、マジで最高過ぎるぜイシュド!!」

「だろだろ。まっ、さすがに学園とかで口にしたら、レグラ家対他で全面戦争待ったなしだろうから、言わねぇけどな」

負ける気はしないが、それはそれ。
本当にそんな事になれば、レグラ家側から参戦する者たちが……必ず誰かは死ぬ。

戦う者としてそこを気にする者はいないかもしれないが、イシュドは少なくとも自分の行動が発端となってそうなるのは一応避けたい。

「そうしてくれると助かります、イシュド君」

「わぁ~ってるよ、会長パイセン。後は……これもさっき言ったが、自分たちが魔力とか実力とか、そういう面で平民より優れてるのは、優秀な血に優秀な血を混ぜてきて、子供の頃から良い教育を受けてきてるんだから、それは当たり前で誇りはしても威張る事ではないんだよって理解するこったな」

「……あのさ、イシュドもこう……自分の実力に自信? みたいなのはないの?」

「自信はあるぜ、ガルフ。けど…………あれだなぁ、ロベルト爺ちゃんともうちょい戦いらしい戦いが出来るようになったら、ちょっとは胸を張れるだろうな」

ロベルト爺ちゃんという人物名を聞き、その人物を知らない約二名以外は……何故か急に体が震えた。

「ロベルト爺ちゃんとは、イシュドの祖父かな?」

「曾祖父だ。面倒だから爺ちゃんって呼んでるだけだ」

「なるほど。ところで……その、話の口ぶりからして、イシュドがその方と戦っても、まともな戦いにならないといった様に聞こえたのだが……」

チラッとガルフたちの方に視線を向けるアドレアス。

すると、同級生や先輩たちは揃って首を縦に動かした。

「「っ!!!!!?????」」

ディムナもエキシビションマッチの内容は今でも脳裏に焼き付いており、思わずフィリップが笑ってしまうぐらいクールな表情が崩れた。

「えっと、あの時イシュドは本気で戦ってました。それこそ、武器は木製ではなく刃が付いた一品で、スキルや魔力も惜しむことなく使っていました」

「そんでやっとこそ、ちょっと切って……後は軽い内出血ぐらいだったか? そんぐらいのダメージしか当たられなかったからな~。後何十年かかる事やら」

曾祖父の方はあと数十年も生きるのか? というツッコミすら浮かばないほど、がっちりと固まってしまっていた。
感想 55

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

畑の隣にダンジョンが生えたので、農家兼ダンチューバーになることにした件について〜隠れ最強の元エリート、今日も野菜を育てながら配信中〜

グリゴリ
ファンタジー
 木嶋蒼、35歳。表向きは田舎で農業を始めて1年目の、どこにでもいる素朴な農家だ。しかし実態は、内閣直轄の超エリート組織・ダンジョン対策庁において「特総(特別総括官)」という非公開の最高職を務める、日本最高峰の実力者である。その事実を知る者は内閣総理大臣を含む極少数のみ。家族でさえ、蒼が対策庁を早々に退庁したと信じて疑わない。  SSSランクのテイムスキルと攻撃スキル、SSランクの支援スキルと農業スキルを18歳時に鑑定され、誰もが「化け物」と称えたその実力を、蒼は今日も畑仕事に注ぎ込んでいる。農作物の品質は驚異的に高く、毎日の収穫が静かな喜びだ。少し抜けているところはあるが、それもご愛嬌——と思っていた矢先、農業開始から1年が経ったある朝、異変が起きた。  祖父母の旧宅に隣接する納屋の床に、漆黒に金の縁取りをしたゲートリングが突如出現したのだ。通常の探索者には認識すらできないそれは、蒼だけが見えるシークレットプライベートダンジョン——後に「蒼天の根」と呼ばれることになる、全100階層の特異空間だった。  恐る恐る潜ったダンジョンの第1層で、蒼は虹色に輝くベビースライム「ソル」と出会い、即座に従魔として契約。さらに探索を進める中でベビードラゴンの「ルナ」、神狼種のベビーシルバーウルフ「クロ」を仲間に加えていく。そしてダンジョン初潜入の最中、蒼の体内に「究極進化システム」が覚醒する。ダンジョン内の素材をエボリューションポイント・ショップポイント・現金へと変換し、自身や従魔、親しい者を際限なく強化・進化させるこのシステムは、ガチャ機能・ショップ機能・タスク機能まで備えた、あまりにもチートじみた代物だった。  蒼は決める。「せっかくだから配信もしよう」と。農家兼ダンチューバーという前代未聞のスタイルで探索者ライセンスを取得し、「農家のダンジョン攻略配信」を開始した彼の動画はじわじわと注目を集め始める。  そんな中、隣のダンジョンの取材にやってきたのが、C級探索者ライセンスを持つ美人記者兼ダンチューバー・藤宮詩織だった。国際探索者協会の超エリート一家に生まれながら自らの道を切り開いてきた彼女は、蒼の「農家なのになぜかとても強い」という矛盾に鋭い鑑定眼を向ける。  隠れ最強の農家配信者と、本質を見抜く美人記者。チート級の従魔たちが賑やかに囲む日常の中で、二人の距離は少しずつ縮まっていく。ダンジョン攻略・農業・配信・ガチャ・そして予期せぬ大事件——波乱と笑いと感動が交錯する、最強農家の新米配信者ライフが、今幕を開ける。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

虐げられた前王の子に転生しましたが、マイペースに規格外でいきます!

竜鳴躍
ファンタジー
気が付いたら転生していました。 でも王族なのに、離宮に閉じ込められたまま。学校も行けず、家庭教師もつけてもらえず、世話もされず。社交にも出られず。 何故なら、今の王様は急逝した先代の陛下……僕の父の弟だから。 王様夫婦には王子様がいて、その子が次期王太子として学校も行って、社交もしている。 僕は邪魔なんだよね。分かってる。 先代の王の子を大切に育てたけど、体が弱い出来損ないだからそのまま自分の子が跡を継ぎますってしたいんだよね。 そんなに頑張らなくても僕、王位なんていらないのに~。 だって、いつも誰かに見られていて、自分の好きなことできないんでしょ。 僕は僕の好きなことをやって生きていきたい。 従兄弟の王太子襲名の式典の日に、殺されちゃうことになったから、国を出ることにした僕。 だけど、みんな知らなかったんだ。 僕がいなくなったら困るってこと…。 帰ってきてくれって言われても、今更無理です。 2026.03.30 内容紹介一部修正

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。