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少年期[418]意外、では無い
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暗殺者が扉の前で合言葉を言うと、もう一つの扉が現れる。
「こっちが客用の扉ってことか」
「そんなところだ。ちなみに隣はバーになっている」
「へっ? そうなの? でも何も知らない奴が入ってきたりとかしそうじゃね」
「その対策はしている。そもそも魔力の認識がされている客以外はバーの方にも入る事は出来ない。無理矢理入ろうとすれば気絶する」
この暗殺者達が所属する組織のアジトは目玉が飛び出るほどの大金を使って造られており、部外者に対する対策は万全の者になっている。
仮に無理やり入ろうとすれば男の言う通り作動したシステムにより気絶させられ、それがアジトの中にいる人間にも知れ渡り、結果碌な目に合わない。
依頼客専用に合言葉を作っているのは阿呆な権力者に対するシステム。
この言葉はそれ相応の財力を持つ者以外には知られていない。
「セーコ・ルギーズの奴、よく合言葉なんて知ってたな。侯爵家ぐらいの連中は皆知ってるの?」
「いいや、ピンからキリだ。俺の記憶が正しければそいつの親はセコセコと金を稼いでいるから財力を考えれば合言葉を知っていても可笑しくは無い。美味しい客は大歓迎だからな。まっ、当主はセコイ性格をしているがこういった物事に関しての線引きはしっかりできる奴、な筈だったんだが・・・・・・その息子が偶々知ってしまったという偶然の可能性が高い。さて、着いたぞ」
ある一室に連れてこられたゼルートは怯える事無く暗殺者達に続いて中に入る。
ラームも一切緊張していない。
部屋の中はゼルートが予想していたよりも暗くは無く、いたって組織のリーダー格が使う部屋といた内装。
しかし一番奥にある机に座っていたのは女性だという事にゼルートは驚く。
(へぇーーーー、でもこの世界では男だから女だからってのはあんまり関係無いよな)
個人の実力はその者の才能と努力によって決まる。
それを考えれば実力と結果が全ての世界で女性がトップということは何も不思議な事では無い。
「いらっしゃい、お客さん。立ったまま話すのはあれだからそこのソファーに座って。隣の子もね。あっ、何か好みの飲み物はあるかしら?」
「えっと・・・・・・果実水です」
「僕も同じです!」
「そ、そうなのね」
女性は意外だという表情をしながらも傍にいた男に目で指示を送り、ゼルートの反対側に座る。
「さて、さっそくだけどあなたの依頼について話し合いましょうか。ゼルート・ゲインルート君」
「俺のフルネームまで知ってるんですね」
「あなたはこの王都ではそこそこ有名よ。一般的にはあまり知られていないけど、権力者たちにはかなり知れているの。権力を全く恐れずに潰す怪童ってね。一部では大魔法使いなんて七年前ぐらいに呼ばれていたけど、ついこの間の決闘やあなたの武勇伝でそれらの評価はがらりと変わっている筈よ」
(か、怪童に大魔法使い・・・・・・俺、裏ではそんな風に呼ばれていたのか。てか、七年前からそんな認識で俺の名が知れていたのか)
こういった場所に来なければ絶対に聞く事のない自身の非公式な二つ名を聞き、ゼルートは思わず引き攣った笑みを浮かべてしまう。
隣にいるラームは女の話す内容を聞いて主であるゼルートが裏でも兎に角凄いと噂になっているとわかり、自身の事の様に誇らしく思い、ドヤ顔になる。
「そういえば名前を教えていなかったわね。私はルーシュ。この組織、ヘルリッパ―のボスを務めているの。今はこんな立場に就いているけど、現場に行く事もあるから依頼したい内容があれば請け負うわ」
「わ、分かりました。えっと、今回の依頼についてなんですけど」
「あなたの姉を狙っている発情した坊ちゃん貴族の暗殺だったかしら。あっ、あたしに依頼を頼んでも良いって言ったけど、依頼を実行する人によって値段は変わるからその辺りは考慮してね」
「はい。それで依頼に関してなんですけど暗殺では無く、セーコ・ルギーズの利き腕と効き足にあとは耳を片方切り落とし死なない様にお願いします」
ゼルートから直接依頼の内容を聞いたルーシュは見る者が見れば自然と目線が惹かれる笑みを、裏に精通している者が見れば一歩後ろに下がってしまう笑みを浮かべている。
「こっちが客用の扉ってことか」
「そんなところだ。ちなみに隣はバーになっている」
「へっ? そうなの? でも何も知らない奴が入ってきたりとかしそうじゃね」
「その対策はしている。そもそも魔力の認識がされている客以外はバーの方にも入る事は出来ない。無理矢理入ろうとすれば気絶する」
この暗殺者達が所属する組織のアジトは目玉が飛び出るほどの大金を使って造られており、部外者に対する対策は万全の者になっている。
仮に無理やり入ろうとすれば男の言う通り作動したシステムにより気絶させられ、それがアジトの中にいる人間にも知れ渡り、結果碌な目に合わない。
依頼客専用に合言葉を作っているのは阿呆な権力者に対するシステム。
この言葉はそれ相応の財力を持つ者以外には知られていない。
「セーコ・ルギーズの奴、よく合言葉なんて知ってたな。侯爵家ぐらいの連中は皆知ってるの?」
「いいや、ピンからキリだ。俺の記憶が正しければそいつの親はセコセコと金を稼いでいるから財力を考えれば合言葉を知っていても可笑しくは無い。美味しい客は大歓迎だからな。まっ、当主はセコイ性格をしているがこういった物事に関しての線引きはしっかりできる奴、な筈だったんだが・・・・・・その息子が偶々知ってしまったという偶然の可能性が高い。さて、着いたぞ」
ある一室に連れてこられたゼルートは怯える事無く暗殺者達に続いて中に入る。
ラームも一切緊張していない。
部屋の中はゼルートが予想していたよりも暗くは無く、いたって組織のリーダー格が使う部屋といた内装。
しかし一番奥にある机に座っていたのは女性だという事にゼルートは驚く。
(へぇーーーー、でもこの世界では男だから女だからってのはあんまり関係無いよな)
個人の実力はその者の才能と努力によって決まる。
それを考えれば実力と結果が全ての世界で女性がトップということは何も不思議な事では無い。
「いらっしゃい、お客さん。立ったまま話すのはあれだからそこのソファーに座って。隣の子もね。あっ、何か好みの飲み物はあるかしら?」
「えっと・・・・・・果実水です」
「僕も同じです!」
「そ、そうなのね」
女性は意外だという表情をしながらも傍にいた男に目で指示を送り、ゼルートの反対側に座る。
「さて、さっそくだけどあなたの依頼について話し合いましょうか。ゼルート・ゲインルート君」
「俺のフルネームまで知ってるんですね」
「あなたはこの王都ではそこそこ有名よ。一般的にはあまり知られていないけど、権力者たちにはかなり知れているの。権力を全く恐れずに潰す怪童ってね。一部では大魔法使いなんて七年前ぐらいに呼ばれていたけど、ついこの間の決闘やあなたの武勇伝でそれらの評価はがらりと変わっている筈よ」
(か、怪童に大魔法使い・・・・・・俺、裏ではそんな風に呼ばれていたのか。てか、七年前からそんな認識で俺の名が知れていたのか)
こういった場所に来なければ絶対に聞く事のない自身の非公式な二つ名を聞き、ゼルートは思わず引き攣った笑みを浮かべてしまう。
隣にいるラームは女の話す内容を聞いて主であるゼルートが裏でも兎に角凄いと噂になっているとわかり、自身の事の様に誇らしく思い、ドヤ顔になる。
「そういえば名前を教えていなかったわね。私はルーシュ。この組織、ヘルリッパ―のボスを務めているの。今はこんな立場に就いているけど、現場に行く事もあるから依頼したい内容があれば請け負うわ」
「わ、分かりました。えっと、今回の依頼についてなんですけど」
「あなたの姉を狙っている発情した坊ちゃん貴族の暗殺だったかしら。あっ、あたしに依頼を頼んでも良いって言ったけど、依頼を実行する人によって値段は変わるからその辺りは考慮してね」
「はい。それで依頼に関してなんですけど暗殺では無く、セーコ・ルギーズの利き腕と効き足にあとは耳を片方切り落とし死なない様にお願いします」
ゼルートから直接依頼の内容を聞いたルーシュは見る者が見れば自然と目線が惹かれる笑みを、裏に精通している者が見れば一歩後ろに下がってしまう笑みを浮かべている。
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