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少年期[480]帰郷

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「はぁ~~~……うちの近くに盗賊がいると思うと超心配だ」

大きなオークションが開催される街に向かう前にゼルート一行はゼルートの実家へと向かっていた。
冬の間の街から街への移動。

そんな物好きは基本的にいない。
寒さは暑さと同様に体力を奪う。

一番違うのは夜の寒さだろう。
碌に対策をしていないパーティーでは寝るという行為が全く体力の回復に繋がらない場合もある。

しかしそこは小金持ちのゼルート、しっかりと買い揃えた魔道具で対策していた。
順調に実家へと距離を縮めていくゼルートだが、道中で盗賊に襲われた。

ゲイル達はすれ違う人達を脅かさないために人の姿で行動していたのだが、それでも人数は合計で六人。
パーティーの人数としては多く、道中ですれ違った者達もゼルート達相手に変な気を起こすことは無かった。

ただ、盗賊からすればそんなのは関係無く、寧ろゼルートやラームにラルといった見た目は完全に子供が所属する冒険者達なんて大したこと無いだろうというのが結論。

それでも結果は真逆で、ゼルート達に襲い掛かろうとした盗賊達は口上が終わる前に瞬殺され、一人だけ生かされた盗賊はゼルート闇魔法の餌食になり、あっさりとアジトの場所を吐いた。

今頃仲間達が良い獲物を見つけているか、もし今日の獲物が見つからなければ明日は自分達の番か、今から自分達の元にそこら辺の魔物が可愛いと思える程に強大な力を持った集団が襲いに来ているとは微塵も予想していなかった。

アジトの見張りも気を抜いており、三分と掛からずに盗賊団は壊滅。
そこまでゼルートが気にすような盗賊もおらず、殆ど一撃で絶命していった。

「今更だけど、本当はこんな感じで盗賊団を壊滅させたりしないんだけどね」

「分かってるよ。普通は幾つかのパーティーが集まって潰すものなんだろ。でも、俺達は一人一人が並じゃない力を持ってるんだ。六人での討伐はなんら問題では……てか、この程度の盗賊ならラーム一人で十分だし」

「そうだね。こいつら全然強く無かった。なのにあれだった、口だけは一丁前? だったね」

いきなりアジトを襲撃してきたゼルート達に対し、盗賊達が危険視したのは人間態のゲイルとアレナとルウナのみ。
寧ろゼルートとラームとラルは弱点だとさえ考えていた。
あの三人さえ押さえれば勝機はあると。

だが、そんなしょうもない考えは一瞬にして蹴散らされた。

「こいつらが貯め込んでいたお宝はどうするんだ?」

「父さんが治める領地にそこそこ近いし、全部父さんに渡そうと思う」

もしかしたら自身の故郷に届けられる何かが奪われていたかもしれない。
普段のゼルートなら討伐した盗賊団が貯め込んでいたお宝は全て自分の物にするのだが、今回に限ってはそうしなかった。

そして盗賊団の討伐を終えた翌日、ゼルートは自身の故郷へとたどり着いた。

門兵達は勿論ゼルートの事を知っているのでスムーズに仲へと入る。
しかし、すでに普段の姿へと戻っていたゲイル達には少し驚くも、アレナとルウナの様な美少女を仲間にしていたことで、多少なりともからかわれてしまう。

「相変わらず良い意味でのどかな雰囲気だ」

「ここがゼルートが十二歳まで住んでいた街、かぁ……平和って言葉が似合うわね。心が安らぐ」

「そう言ってくれると嬉しいよ。ただ、こっからある程度離れれば腰を抜かすほど強い魔物がいるけどな。なぁ、ラル」

「そうですね。ゼルートさんは興味の方が強かったのであまり恐怖は無かったと思いますが、一般的な方では見た瞬間に失禁するかもしれません」

「それって……あぁ、なるほど。そういう事ね。それはあれじゃない、戦いの経験がある人でも恐怖に負けて腰を抜かしちゃう人はいる筈よ」

この世界で超上位に入る実力と持つラルの母であるラガール。
偶に人の姿になって鉱山の頂上から離れることはあるが、基本的にはそこから動かずに一日を過ごすことが多い。

ゼルート達は道中、ゼルートを知る者達から多く声を掛けられ、それら一つ一つに応えながらようやく実家へと辿り着いた。
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