冒険がしたい創造スキル持ちの転生者

Gai

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少年期[633]メンタルケアが心配

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「はい、次の人」

風の斬撃を全て躱し、顎に綺麗なフックを決めてKO。

「ほい、終わり。次々」

三つのファイヤーランスを一つのウォーターランスで粉砕し、首筋に魔力の刃を突き付けて終了。

「よっ!! はい、次」

手甲を身に着けた男の右ストレートに右ストレートを合わせ、拳を砕いて戦闘不能。

「ほい、ほい、ほい! 次の人どうぞ」

槍を使う女性に対し、石の棒を使って同じ土俵に立ち、連撃で追い詰めて喉に棒先を当てて終わり。

次々にルーキー達がボコボコにされていく。
そんな光景を離れた場所から観ているアルゼルガはルーキーたちのメンタルが心配だった。

(やっぱりこうなるか……いや、やる前から解っていた事実だ。うちのルーキーたちがゼルート殿に掠り傷すら与えられないなんてな)

最初こそ威勢が良かったルーキーたちは、自分の順番が近くなるにつれて表情が硬くなっていた。

絶対に負けない、ぶっ潰す。
うちのギルドに嘗めた態度を取ったルーキーを、ガキに現実を突き付ける。

そんな強気な態度は消えていないが、勝気よりも恐怖の方が心を占める割合が多くなっていた。

(それにしても、三つのファイヤーランスをウォーターランス一本で砕くか……いや、あの芸当を考えるに、不可能ではないか)

脳裏には昨日、ゼルートが各属性魔力を使って生み出した猛獣たちが浮かんでいた。

(接近戦ができて、魔法の技術も尋常ではない……だが、悪獣は主に素手で倒したという情報があるのだが……どちらにしろ、傑物に変わりはないな)

どれか一つを極めるにも莫大な時間が掛かる。
だが、目の前で自分のクランのルーキーたちを次々にボコっている男はどの技術も高レベルの水準を誇る。

(……ゼルート殿に苦手なことなどあるのか?)

絶対にない。知り合ってまだ期間は間もないが、絶対に弱点などない。

アルゼルガはそう確信していたが、一つ……大きな場面に居たにも拘わらず、見落としている点がある。

それは……ゼルートが少々短気な点だ。
絶対的な力で理不尽を潰すことによって弱点に思えないかもしれないが、短気というのは立派な穴だ。

これを知れば、その点を突いてゼルートから何かしら搾り取ろうと、首輪を付けようとする人物が現れるだろう。
だが、そういった人物たちが行き着く先は全て決まっている……地獄一択。

どう足掻いても、ゼルートから逃げられる術はない。

(さて、この模擬戦が終わった後のメンタルケアをどうするのか、一応考えてはいたが……今のところ、全員がバキバキに心を折られているな)

既に数十人というルーキーがゼルートに挑み、自身の攻撃を全て躱されたうえで決定打を浴びる、もしくは急所に武器を突き付けられていた。

己の全力を真正面から潰された。
心の中でどれだけ言い訳をしようとも、ゼルートに……年齢的にはまだまだ子供の冒険者に負けたという事実は変わらない。

(全員の奥の手、切り札を潰す。これが心を大きな要因になっていると思うが……もしかして狙っているのか? いや、それとも戦いが終わってから言い訳をさせない為か……何はともあれ、数日は立ち直れないであろうな)

アルゼルガの考えは正しく、ゼルートが今までどれだけ努力してきたなどを知らないルーキーたちからすれば、現状は冒険者になって一年程度のルーキーにボコボコにされている。

という認識で間違いないのだ。

そう簡単に立ち直れる状況ではない。

「ほら、詰めが甘い」

軽口を叩きながら足を払い、武器を奪って顔の直ぐ傍に突き刺す。

「ひっ!!」

「次、さっさと来い」

流れ作業の様にばったばったとルーキーたちをボコボコにしていき、二時間程でようやく全員を倒し終えた。

「ふぅ~~~、ようやく終わったな。にしても……まっ、ルーキーって感じだな」

冒険者歴的には圧倒的にルーキーのゼルートの口から出た言葉が止めとなり、膝を付いて息をしていたルーキー達が一斉に倒れた。
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