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少年期[698]ゴーレムだけに
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「なぁ、ゼルート。それは戦争の際に使わないのか?」
「……いや、似た様な理由でアウトじゃないか?」
戦争に参加すれば、大勢の者と戦うことになる。
しかし、普段の戦いとは違って一応味方の者が大勢るのだ。
誤って殺してしまったら、取り返しがつかない……こともない。
ゼルートの正真正銘の切り札、創造を使えばなんとか出来ないこともない。
だが、何とかしてしまう今後ゼルートに安息と言える日常が訪れなくなるので、誤って味方を殺してしまう様なミスはしたくない。
「だが、開戦したばかりはまだ混戦状態とは言えないはずだ。ゼルートの瞬足を活かして敵の中心部に入り込み、思う存分暴れ回る。それだけで敵国には大ダメージを与えられると思うが」
「そりゃあ、とんでもない大ダメージを与えられるだろうな」
裂土豪災は素人が持つにはかなり重いが、ゼルートの見た目からは分からない怪力があれば、容易に操れる。
そこにスキルや技による脚力強化が加われば、開戦直後に敵群の中心部に潜り込むことぐらい、朝飯前。
「でもさ、あんまりやり過ぎると敵国が直ぐに降参したりしないか?」
「それはないだろう。侵略戦争でないとはいえ、両国のプライドを懸けた戦い? なのだろう。であれば、そう簡単に降参は出来ないのが普通だ」
「アレナの言う通りね。相手側の冒険者に一人だけ強過ぎる猛者がいるからといって、それだけの理由で降参するのは無理よ」
「……確かに面子を考えれば、直ぐに白旗上げるのは無理な話か……」
絶対に自分たち側が勝つという前提で話しを進めているゼルートたちだが、相手側も自分たちが負けると分かりながら戦争を行う訳ではない。
「でもさ、俺らは一応開戦直後に大技をぶっ放すつもりだから、あんまり他の人の獲物を盗るのは良くないんじゃないか?」
「そういえばそんな話をしてたわね。他の人の獲物、ねぇ……貴族ならではの悩みというところね」
ゼルートを良く知らない人たちからは眼玉が飛び出るほど驚くことかもしれないが、一応貴族の令息なのだ。
前世という記憶もあるので、あまり自分だけが暴れ回ればどうなるか予想できる。
「しかしゼルート、大技をぶっ放した後……普通に敵陣に突っ込んで倒して倒して倒しまくるのだろ。なら、別に裂土豪災を使っても問題無いと思うが」
「……一応そういう予定だったな」
貴族にとっては勲章を貰う良い機会かもしれないが、戦争なんて基本的に起こらない方が民の為。
ゼルートはとりあえず自分の体力や魔力が尽きるまでどんどん敵を倒す、それは変わらない。
「確かにそんなこと言ってたわね。なら、今更考えても仕方ないじゃない」
「だな……でも、うっかり被害が与えそうだからもし、相手側が錬金術で造ったゴーレムを何体も出してきたりしたら、その時はこいつでささった潰してしまおう」
「良いわね。どんなに堅いゴーレムでも、人の手で造られたゴーレムであればこのハンマーで一撃でしょうね……って、ちょっと待って。ゼルート……もしかして今度の戦争で、あれを使うつもりなの?」
「あれって……もしかして錬金獣のことか?」
「そうよ、そのとんでもない兵器よ」
ゼルートが持てる知識や技術をフル活用したゴーレム、通称錬金獣。
他の錬金術師が造るゴーレムより多才の動きができ、身体能力も並ではない。
ゴーレムではあるが、まさに獣……そして人の様な動きをする。
「あれはさすがに使わないって。安心してくれ、いくら家族に知り合いが死んでほしくないからっていっても、ヤバさが半端じゃないあれを使ったりしないって。一応な」
今のところ、ゼルートに現在持っている錬金獣を戦力として使わなければいけないほど、相手側の戦力が高いという話は入ってきていない。
「んじゃ、次の宝箱にいくぞ」
さくっと話を切り上げたゼルート。
しかしアレナはどれだけ錬金獣がマジックアイテムとしてレア度……そして危険度が高いのかを知っているので、ゼルートが持っている手札の中でトップスリーぐらいに入るほど、他者には知られたくない物だった。
「……いや、似た様な理由でアウトじゃないか?」
戦争に参加すれば、大勢の者と戦うことになる。
しかし、普段の戦いとは違って一応味方の者が大勢るのだ。
誤って殺してしまったら、取り返しがつかない……こともない。
ゼルートの正真正銘の切り札、創造を使えばなんとか出来ないこともない。
だが、何とかしてしまう今後ゼルートに安息と言える日常が訪れなくなるので、誤って味方を殺してしまう様なミスはしたくない。
「だが、開戦したばかりはまだ混戦状態とは言えないはずだ。ゼルートの瞬足を活かして敵の中心部に入り込み、思う存分暴れ回る。それだけで敵国には大ダメージを与えられると思うが」
「そりゃあ、とんでもない大ダメージを与えられるだろうな」
裂土豪災は素人が持つにはかなり重いが、ゼルートの見た目からは分からない怪力があれば、容易に操れる。
そこにスキルや技による脚力強化が加われば、開戦直後に敵群の中心部に潜り込むことぐらい、朝飯前。
「でもさ、あんまりやり過ぎると敵国が直ぐに降参したりしないか?」
「それはないだろう。侵略戦争でないとはいえ、両国のプライドを懸けた戦い? なのだろう。であれば、そう簡単に降参は出来ないのが普通だ」
「アレナの言う通りね。相手側の冒険者に一人だけ強過ぎる猛者がいるからといって、それだけの理由で降参するのは無理よ」
「……確かに面子を考えれば、直ぐに白旗上げるのは無理な話か……」
絶対に自分たち側が勝つという前提で話しを進めているゼルートたちだが、相手側も自分たちが負けると分かりながら戦争を行う訳ではない。
「でもさ、俺らは一応開戦直後に大技をぶっ放すつもりだから、あんまり他の人の獲物を盗るのは良くないんじゃないか?」
「そういえばそんな話をしてたわね。他の人の獲物、ねぇ……貴族ならではの悩みというところね」
ゼルートを良く知らない人たちからは眼玉が飛び出るほど驚くことかもしれないが、一応貴族の令息なのだ。
前世という記憶もあるので、あまり自分だけが暴れ回ればどうなるか予想できる。
「しかしゼルート、大技をぶっ放した後……普通に敵陣に突っ込んで倒して倒して倒しまくるのだろ。なら、別に裂土豪災を使っても問題無いと思うが」
「……一応そういう予定だったな」
貴族にとっては勲章を貰う良い機会かもしれないが、戦争なんて基本的に起こらない方が民の為。
ゼルートはとりあえず自分の体力や魔力が尽きるまでどんどん敵を倒す、それは変わらない。
「確かにそんなこと言ってたわね。なら、今更考えても仕方ないじゃない」
「だな……でも、うっかり被害が与えそうだからもし、相手側が錬金術で造ったゴーレムを何体も出してきたりしたら、その時はこいつでささった潰してしまおう」
「良いわね。どんなに堅いゴーレムでも、人の手で造られたゴーレムであればこのハンマーで一撃でしょうね……って、ちょっと待って。ゼルート……もしかして今度の戦争で、あれを使うつもりなの?」
「あれって……もしかして錬金獣のことか?」
「そうよ、そのとんでもない兵器よ」
ゼルートが持てる知識や技術をフル活用したゴーレム、通称錬金獣。
他の錬金術師が造るゴーレムより多才の動きができ、身体能力も並ではない。
ゴーレムではあるが、まさに獣……そして人の様な動きをする。
「あれはさすがに使わないって。安心してくれ、いくら家族に知り合いが死んでほしくないからっていっても、ヤバさが半端じゃないあれを使ったりしないって。一応な」
今のところ、ゼルートに現在持っている錬金獣を戦力として使わなければいけないほど、相手側の戦力が高いという話は入ってきていない。
「んじゃ、次の宝箱にいくぞ」
さくっと話を切り上げたゼルート。
しかしアレナはどれだけ錬金獣がマジックアイテムとしてレア度……そして危険度が高いのかを知っているので、ゼルートが持っている手札の中でトップスリーぐらいに入るほど、他者には知られたくない物だった。
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