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少年期[799]過去の英雄か否か
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(さすが皆日頃から鍛えてるだけあって、まだ余裕がありそうだな)
「死ね!!!」
「くそっ! まずはこいつから殺すんだ!!!」
「数が足りない!! もっと戦力を集めろ」
戦争が始まり、前方ではゼルートたちが思いっきり暴れているが、それでも敵国側はゼルートたちだけに戦力を集中して良い訳がない。
当然、ガレンの様な貴族としての強者にも戦力を投入しなければならない。
(それなりに腕が立つ者が多くなってきたが……まだこれぐらいなら、抜かなくても問題無い)
ゼルートがガレンの為に用意した奥の手……風の聖剣、ホルガスト。
風魔法が得意なガレンにピッタリの聖剣であり、戦争が始まる前に偶々領地の近くに現れたBランクの魔物を相手にした時に使用したが、何年も使ってきたような手の馴染み。
圧倒的な鋭さで現役の時よりも短時間でBランクの魔物を討伐に成功。
それからもホルガストを使った訓練を行い、戦場で全力を出しても味方に被害を出さないぐらいにはまともに扱えるようになった。
「くたばれ!!!!」
「それは無理だ」
「がっ、は……」
一番のメインウェポンを考えれば接近戦型なのだが、サラッと三属性の魔法を扱えるハイブリットタイプ。
まさに魔剣士と呼べる技量を持っている。
そしてゼルートから魔力操作向上の術を教えてもらい、魔力操作は現役の頃と比べて確実に上がっていた。
その技量を駆使すれば、少ない魔力消費量で風の刃を敵の喉元に突き刺すことも難しくない。
ガレンも兵士や騎士たちと同じく、今回の戦争が短期決戦になるのは解っている。
それを考えれば魔力の消費などをあまり気にせずとも良いという考えも解るが……一定以上の力を持つ強敵と遭遇してしまった場合、まずはガレンが先頭に立って戦わなければならない。
その点を考えると、強敵と遭遇するするまではあまり魔力を消費したくなかった。
(……そう簡単に、物事は上手く進まないな)
現時点でのガレンの動きを考えると、そこまで大して暴れてはいなかった。
適切に動きながらも着実に前に進み、相対する敵は確実にキルしていた。
だが、解る者には解かってしまう。
派手さはないが、無駄なく動き……魔力を大きく消費することなく、巧みな技術で次々に敵を葬る強者がいると……実力がある者や、視る目がある者にはバレてしまう。
「あんた……確か元Aランクの旋風を纏いし剣豪……もしくは、神速の騎士だったか?」
「……懐かしい二つ名だな」
ガレンとしては特別変だとは思っていないが……神速の騎士という二つ名に関しては、何故冒険者だったのに騎士なのだ……と、思いはした。
だが、その二つ名が生まれたのには一応理由があった。
「君は、AランクかBランクの冒険者だな」
「ご名答。残念ながら今はまだBランクだけど、現役を退いて貴族になったおっさんぐらいは相手に出来るぜ」
「ほぅ、それはまたずいぶん強気だな」
ガレンの目の前に現れた男の年齢は十代後半。
真っ赤に燃えるような髪を持ち、若干若い頃のガレンに似たワイルドな容姿を持つ。
得物は火属性の大剣……ランクはそれなりに高く、装備しているマジックアイテムの質も高い。
冒険者として……戦闘者としての才能が有り、真っ当に成長して……これから更に強くなれる可能性を秘めている。
もしかしたら、これから先誰かの英雄になれる器を持っているかもしれない。
だが……ガレンをそこら辺の引退した冒険者と一緒にしてはならない。
冒険者を引退して貴族になり、書類作業などに追われて体を動かす時間が減ったとはいえ……その力は全く衰えていない。
寧ろ総合的には現役時代と比べて強くなっているまである。
赤髪の男に実力を見分ける眼がない訳ではない。
ただ、一番乗りに乗っている時に限って……普段通りに実力を判断出来なくなってしまうことがある。
そしてガレンは男の才能を見抜いており、ほんの少しの間ではあるが、セーブすることを止めた。
「死ね!!!」
「くそっ! まずはこいつから殺すんだ!!!」
「数が足りない!! もっと戦力を集めろ」
戦争が始まり、前方ではゼルートたちが思いっきり暴れているが、それでも敵国側はゼルートたちだけに戦力を集中して良い訳がない。
当然、ガレンの様な貴族としての強者にも戦力を投入しなければならない。
(それなりに腕が立つ者が多くなってきたが……まだこれぐらいなら、抜かなくても問題無い)
ゼルートがガレンの為に用意した奥の手……風の聖剣、ホルガスト。
風魔法が得意なガレンにピッタリの聖剣であり、戦争が始まる前に偶々領地の近くに現れたBランクの魔物を相手にした時に使用したが、何年も使ってきたような手の馴染み。
圧倒的な鋭さで現役の時よりも短時間でBランクの魔物を討伐に成功。
それからもホルガストを使った訓練を行い、戦場で全力を出しても味方に被害を出さないぐらいにはまともに扱えるようになった。
「くたばれ!!!!」
「それは無理だ」
「がっ、は……」
一番のメインウェポンを考えれば接近戦型なのだが、サラッと三属性の魔法を扱えるハイブリットタイプ。
まさに魔剣士と呼べる技量を持っている。
そしてゼルートから魔力操作向上の術を教えてもらい、魔力操作は現役の頃と比べて確実に上がっていた。
その技量を駆使すれば、少ない魔力消費量で風の刃を敵の喉元に突き刺すことも難しくない。
ガレンも兵士や騎士たちと同じく、今回の戦争が短期決戦になるのは解っている。
それを考えれば魔力の消費などをあまり気にせずとも良いという考えも解るが……一定以上の力を持つ強敵と遭遇してしまった場合、まずはガレンが先頭に立って戦わなければならない。
その点を考えると、強敵と遭遇するするまではあまり魔力を消費したくなかった。
(……そう簡単に、物事は上手く進まないな)
現時点でのガレンの動きを考えると、そこまで大して暴れてはいなかった。
適切に動きながらも着実に前に進み、相対する敵は確実にキルしていた。
だが、解る者には解かってしまう。
派手さはないが、無駄なく動き……魔力を大きく消費することなく、巧みな技術で次々に敵を葬る強者がいると……実力がある者や、視る目がある者にはバレてしまう。
「あんた……確か元Aランクの旋風を纏いし剣豪……もしくは、神速の騎士だったか?」
「……懐かしい二つ名だな」
ガレンとしては特別変だとは思っていないが……神速の騎士という二つ名に関しては、何故冒険者だったのに騎士なのだ……と、思いはした。
だが、その二つ名が生まれたのには一応理由があった。
「君は、AランクかBランクの冒険者だな」
「ご名答。残念ながら今はまだBランクだけど、現役を退いて貴族になったおっさんぐらいは相手に出来るぜ」
「ほぅ、それはまたずいぶん強気だな」
ガレンの目の前に現れた男の年齢は十代後半。
真っ赤に燃えるような髪を持ち、若干若い頃のガレンに似たワイルドな容姿を持つ。
得物は火属性の大剣……ランクはそれなりに高く、装備しているマジックアイテムの質も高い。
冒険者として……戦闘者としての才能が有り、真っ当に成長して……これから更に強くなれる可能性を秘めている。
もしかしたら、これから先誰かの英雄になれる器を持っているかもしれない。
だが……ガレンをそこら辺の引退した冒険者と一緒にしてはならない。
冒険者を引退して貴族になり、書類作業などに追われて体を動かす時間が減ったとはいえ……その力は全く衰えていない。
寧ろ総合的には現役時代と比べて強くなっているまである。
赤髪の男に実力を見分ける眼がない訳ではない。
ただ、一番乗りに乗っている時に限って……普段通りに実力を判断出来なくなってしまうことがある。
そしてガレンは男の才能を見抜いており、ほんの少しの間ではあるが、セーブすることを止めた。
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