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五話 華麗な攻守
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訓練を見てもらっている騎士から「低ランクで低レベルのモンスターなら倒せそうですね」というお言葉を貰ったクランドはその日のうちに父であるオルガの元に向かい、モンスターと戦ってみたいという恐ろしい要望を伝えた。
クランドからの要望を聞いたオルガは、思いっきり開きそうになった口を……ゆっくり閉じた。
普通なら、まだお前には早い! と口にするところだが、クランドは槍技のスキルを習得出来ずとも、低ランクのモンスターであれば十分に相手を出来る実力がある。
それは解かっている為、問題無用で断ることは出来なかった。
「……分かった」
数分ほど悩んだ末、オルガはクランドがモンスターと戦うことを許可した。
ただし、当然と言えば当然だが、護衛の騎士を同行させる。
それで構わないのであれば、モンスターを狩りに行くのを許可すると伝えた。
その内容に、クランドはあっさりと了承した。
そして……その日の翌日、早速クランドは狩りへと向かった。
オルガはせめて、クランド用に大きさなどを調整したマジの武器が届くまで待たないかと提案したが、クランドは「素手で大丈夫です!!」と自信満々な顔で応えた。
その良い笑顔を見て「そうか……」と返すしかなかったオルガ。
服装だけはキッチリと冒険者スタイルに着替え、仲の良い兵士や魔法使いを連れて早速狩りをスタート。
「カバディ」
数時間後、クランドはキャントによるバフに加えて、身体強化のスキルを発動し、数体のゴブリンに接近。
両手と両脚には魔力を纏っており、攻撃する時には刃に変形させて切断。
最初の戦闘でこそ、実際に人間に近い生き物を殺した感覚や、今まで一度見たことがなかった内容などを目にし、朝食を全て吐き出してしまった。
しかし、それを乗り越えてからのクランドはテンションマックスでモンスターを相手に暴れ回る。
「同年代の中では飛び抜けて強いと思ってたけど、想像以上だな」
「そ、そうだな……いや、本当に凄いな」
本日が初めてのモンスターとバトルを行うのだが、既に十秒も掛からずEランクのゴブリンを数体倒していた。
Eランクとは、下から二番目の強さのランク帯であり、森の深い部分には入っていなので、レベルも高くない。
しかし、数体もいれば戦闘初心者には少々厄介。
貴族の令息という事もあって戦闘自体は初めてではないが、森の中で戦うのは初。
多少の高低差もあるので、素人にとっては戦い辛い環境なのだが……クランドはサクッとゴブリン数体を倒し、モンスターにとった第二の心臓である魔石という素材を取り出していた。
「袋に入れといてください」
生活魔法、クリエイトウォーターを使い、血を落とした魔石を兵士たちに渡す。
「はい……それにしてもクランド様、戦い方が随分とこう……華麗ですね」
「華麗…………そうですか?」
褒められているというのは解る。
それは素直に嬉しい。
しかし、華麗に戦っているという自覚はなかった。
「えぇ、そうです。相手の攻撃を殆ど触れることすらなく、十に達していないとは思えない魔力操作で、敵の体を斬り裂き倒す。華麗な戦い方だと、強く感じました」
「自分も同じく」
「私もです」
「ふむ…………そうなってるんですね。外からの視点、ありがとうございます」
「い、いえ」
クランドは前世でカバディプレイヤーとして、試合ではレイダー……攻撃手としての仕事がメインだった。
仕事内容は、簡単に言ってしまえば相手コートにいる敵選手の体に触れ、自陣に指第一関節分だけでも触れていれば、点数ゲット。
つまり、触れる部分は最小限で構わない。
その癖が消えていなかったこともあり、実戦となると魔力の刃を上手く利用し、あまり派手ではない攻撃で仕留めていた。
(そうだよな……試合じゃないんだし、もっと思いっきり殴って良いんだよな)
思いっきり殴ったり蹴ったりしても、キャント効果が切れることはない。
(よし、やってみよう)
数十分後、今度はビッグラット……巨大なネズミと遭遇。
ランクはFと、先程戦ったゴブリンよりも弱い。
しかし、クランドにはそんなこと関係無く……キャントのみのバフで全力接近し、思いっきりフックをかました。
「……やり過ぎたか」
まだ子供の体ということもあり、拳には魔力を纏っていた。
その効果もあり、クランドに咬みつこうと飛び掛かったビッグラットは、フックを食らって横に吹っ飛び、木に激突。
鈍い音が響き、ズルっと地面に落ちた。
恐る恐る木に激突したビッグラットを見ると、完全に頭部がグシャっと潰れていた。
「あぁ~~……まっ、仕方ないよな」
中々ショッキングな光景かもしれないが、グロい光景は最初の戦闘で慣れてしまったので、ササっと体内から魔石を
抜けとり、先程と同じ流れで渡した。
「それじゃ、次のモンスターを探しましょう」
「「「はい」」」
ビッグラットとの一戦でがっつり戦う感覚を掴み、それ以降での戦いでは肉弾戦で戦闘にすっかり慣れ、初めての戦闘日にしては、上場過ぎる戦果を挙げた。
その報告を受けた父、オルガは流石だと思いながらも……これで槍技のスキルを習得していれば……と、やはりそう思わざるをえなかった。
クランドからの要望を聞いたオルガは、思いっきり開きそうになった口を……ゆっくり閉じた。
普通なら、まだお前には早い! と口にするところだが、クランドは槍技のスキルを習得出来ずとも、低ランクのモンスターであれば十分に相手を出来る実力がある。
それは解かっている為、問題無用で断ることは出来なかった。
「……分かった」
数分ほど悩んだ末、オルガはクランドがモンスターと戦うことを許可した。
ただし、当然と言えば当然だが、護衛の騎士を同行させる。
それで構わないのであれば、モンスターを狩りに行くのを許可すると伝えた。
その内容に、クランドはあっさりと了承した。
そして……その日の翌日、早速クランドは狩りへと向かった。
オルガはせめて、クランド用に大きさなどを調整したマジの武器が届くまで待たないかと提案したが、クランドは「素手で大丈夫です!!」と自信満々な顔で応えた。
その良い笑顔を見て「そうか……」と返すしかなかったオルガ。
服装だけはキッチリと冒険者スタイルに着替え、仲の良い兵士や魔法使いを連れて早速狩りをスタート。
「カバディ」
数時間後、クランドはキャントによるバフに加えて、身体強化のスキルを発動し、数体のゴブリンに接近。
両手と両脚には魔力を纏っており、攻撃する時には刃に変形させて切断。
最初の戦闘でこそ、実際に人間に近い生き物を殺した感覚や、今まで一度見たことがなかった内容などを目にし、朝食を全て吐き出してしまった。
しかし、それを乗り越えてからのクランドはテンションマックスでモンスターを相手に暴れ回る。
「同年代の中では飛び抜けて強いと思ってたけど、想像以上だな」
「そ、そうだな……いや、本当に凄いな」
本日が初めてのモンスターとバトルを行うのだが、既に十秒も掛からずEランクのゴブリンを数体倒していた。
Eランクとは、下から二番目の強さのランク帯であり、森の深い部分には入っていなので、レベルも高くない。
しかし、数体もいれば戦闘初心者には少々厄介。
貴族の令息という事もあって戦闘自体は初めてではないが、森の中で戦うのは初。
多少の高低差もあるので、素人にとっては戦い辛い環境なのだが……クランドはサクッとゴブリン数体を倒し、モンスターにとった第二の心臓である魔石という素材を取り出していた。
「袋に入れといてください」
生活魔法、クリエイトウォーターを使い、血を落とした魔石を兵士たちに渡す。
「はい……それにしてもクランド様、戦い方が随分とこう……華麗ですね」
「華麗…………そうですか?」
褒められているというのは解る。
それは素直に嬉しい。
しかし、華麗に戦っているという自覚はなかった。
「えぇ、そうです。相手の攻撃を殆ど触れることすらなく、十に達していないとは思えない魔力操作で、敵の体を斬り裂き倒す。華麗な戦い方だと、強く感じました」
「自分も同じく」
「私もです」
「ふむ…………そうなってるんですね。外からの視点、ありがとうございます」
「い、いえ」
クランドは前世でカバディプレイヤーとして、試合ではレイダー……攻撃手としての仕事がメインだった。
仕事内容は、簡単に言ってしまえば相手コートにいる敵選手の体に触れ、自陣に指第一関節分だけでも触れていれば、点数ゲット。
つまり、触れる部分は最小限で構わない。
その癖が消えていなかったこともあり、実戦となると魔力の刃を上手く利用し、あまり派手ではない攻撃で仕留めていた。
(そうだよな……試合じゃないんだし、もっと思いっきり殴って良いんだよな)
思いっきり殴ったり蹴ったりしても、キャント効果が切れることはない。
(よし、やってみよう)
数十分後、今度はビッグラット……巨大なネズミと遭遇。
ランクはFと、先程戦ったゴブリンよりも弱い。
しかし、クランドにはそんなこと関係無く……キャントのみのバフで全力接近し、思いっきりフックをかました。
「……やり過ぎたか」
まだ子供の体ということもあり、拳には魔力を纏っていた。
その効果もあり、クランドに咬みつこうと飛び掛かったビッグラットは、フックを食らって横に吹っ飛び、木に激突。
鈍い音が響き、ズルっと地面に落ちた。
恐る恐る木に激突したビッグラットを見ると、完全に頭部がグシャっと潰れていた。
「あぁ~~……まっ、仕方ないよな」
中々ショッキングな光景かもしれないが、グロい光景は最初の戦闘で慣れてしまったので、ササっと体内から魔石を
抜けとり、先程と同じ流れで渡した。
「それじゃ、次のモンスターを探しましょう」
「「「はい」」」
ビッグラットとの一戦でがっつり戦う感覚を掴み、それ以降での戦いでは肉弾戦で戦闘にすっかり慣れ、初めての戦闘日にしては、上場過ぎる戦果を挙げた。
その報告を受けた父、オルガは流石だと思いながらも……これで槍技のスキルを習得していれば……と、やはりそう思わざるをえなかった。
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