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十三話 弱くはなかったけど
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クランドはもしかしたら、自分を狙っている人物が店内にいるかもしれない。
その可能性を考え、なるべく体に文字を書き、護衛の騎士と会話を行う。
(父さんに恨みを持つ人物がいないとは言えないが……狙うとしたら、俺じゃなくロ二アス兄さんでは?)
高い槍の腕前を持つオルガ、自信を持って自分を超える逸材だと豪語している。
ライガー家以外にも槍使いの一族は存在し、そんな家にとって……ライガー家は競い合うライバルであると同時に、墜としたい相手でもある。
ライバルがいるからこそ成長できる……そういった考えは、おそらく正しい。
しかし、同年代の存在は、いつまで経っても比べられる障害となる。
ロ二アスには、そんじょそこらの天才に負けない才とセンスと向上心を有しており、同年代……上や下を見ても、今のところロ二アスと完璧に対を為す存在はいない。
(父さん絡みではないと考えると……リックが親に頼んだ。もしくは独断で誰かを雇ったのかもしれないな)
オルガが治める領地の警備が決して緩い訳ではないが、何かしらの手段でクランドに暗殺者を送ることが……出来ないこともない。
先日押し飛ばしたリック絡みだろうと予想し、クランドは騎士に対して自分が囮になるから、暗殺者が自分を襲いに来る隙に捉えてほしいと伝える。
護衛の騎士は即座にそれは駄目だと返すが、すかさずクランドはそれが一番効率的だと返す。
クランドを狙っている人物を、今日の内に捕らえる……ということを考えると、確かにそのやり方が一番効率的なのは間違いない。
というわけで、護衛騎士がライガー家に仕える騎士が約束の付近に到着した気配を感じ取り、二人は店の外に出る。
そして数分後、護衛の騎士は仕事の日に休日の同僚と会った……という雰囲気を出し、私服姿の騎士と合流。
そのタイミングを見計らって、今度はクランドが行動を起こす。
護衛という煩わしい存在から逃げ、一人で街を散策したい令息……という雰囲気で動き、路地裏に向かう。
(ふぅーーー……ワイルドボアの時より、緊張するな)
今回も……クランドが望む強敵との戦いと言えるだろう。
しかし、今回ばかりは自分の我儘を押し通す場面ではないと理解していた。
さすがに我儘を押し通そうとすれば、オルガから雷が落されるのは間違いなかった。
それは避けたいと考えているところで、クランドは路地裏で力なく地面に座り込んでいる女の子を発見。
「……なぁ、君」
意識が目の前の女の子に向いた瞬間、クランドを狙っていた気配が動いた。
「カバディ!!!」
それと同時に、クランドは少しでも自分を狙っている人物からの攻撃を躱す為、ダッシュで動く……と同時に、目の前の女の子をいきなり抱きかかえ、移動。
「……えっ!?」
抱きかかえられた女の子は抱きかかえられてから数秒後、ようやく自分が同年代ほどの男の子に、お姫様抱っこされていることに気付いた。
「悪いな。邪魔になるだろうから避難しよう」
暗殺者はクランドの意外なスピードに驚くも、やはりクランドの一番の武器である速さでも暗殺者の方が勝っている。
だが、速さならライガー家に仕えている騎士も負けていない。
暗殺者がようやく動いた瞬間、現場付近にいた騎士が遠距離攻撃で自分たちに意識を向けさせる。
「カバディ」
身体能力の強化を続けたまま、クランドは壁や屋根の上を駆け、路地裏から脱出。
(これなら、もう一人いても問題無いだろ)
自分に狙いを定めていた気配は一つだけだが、もしかしたら……もう一人か二人、自分を狙っている者がいるかもしれない。
そう考えていたクランドは、更に路地裏の奥に逃げることはなく、壁や屋根上を経由して明るい場所に移動。
結局クランドを狙っていた暗殺者は一人だけだったこともあり、呆気なく捕まった。
暗殺者が弱かった訳ではないが、ライガー家に仕える戦闘職の者たちは、そこら辺の兵士や騎士よりも戦闘力が高い。
加えて、当主であるオルガから暗殺者や盗賊と対峙した時の対処方法、なども教わっていることから、逃走しようとした暗殺者を捕獲。
暗殺者も騎士たちの攻撃に抗おうとはしたが、実力差と数の力……両方とも劣っており、逃走は失敗に終わった。
「……なぁ、君。うちに来ないか」
「へっ?」
「「「「「っ!!!???」」」」」
当主の御子息であるクランドが囮になり、犯人の捕獲を行おうとした今回の一件……無事に終わってホッとしていた騎士。
だが、クランドが現在進行形でお姫様抱っこをしている女の子に対して「うちに来ないか」と伝えたことに……再度焦り、困惑、焦燥などの感情が湧き上がる。
「く、クランド様! 何をおっしゃっているんですか」
「ん? いや、あのさ……とりあえず、場所は移動した方が良さそうだな」
それは間違いない。
一目が詰まっている為、とりあえず本日の完全休日も中止。
だが、まずはお姫様抱っこをしている少女に関して色々言いたい……色々言いたい騎士たちだが、その辺に戻してきてくださいとも言えない苦労人達だった。
その可能性を考え、なるべく体に文字を書き、護衛の騎士と会話を行う。
(父さんに恨みを持つ人物がいないとは言えないが……狙うとしたら、俺じゃなくロ二アス兄さんでは?)
高い槍の腕前を持つオルガ、自信を持って自分を超える逸材だと豪語している。
ライガー家以外にも槍使いの一族は存在し、そんな家にとって……ライガー家は競い合うライバルであると同時に、墜としたい相手でもある。
ライバルがいるからこそ成長できる……そういった考えは、おそらく正しい。
しかし、同年代の存在は、いつまで経っても比べられる障害となる。
ロ二アスには、そんじょそこらの天才に負けない才とセンスと向上心を有しており、同年代……上や下を見ても、今のところロ二アスと完璧に対を為す存在はいない。
(父さん絡みではないと考えると……リックが親に頼んだ。もしくは独断で誰かを雇ったのかもしれないな)
オルガが治める領地の警備が決して緩い訳ではないが、何かしらの手段でクランドに暗殺者を送ることが……出来ないこともない。
先日押し飛ばしたリック絡みだろうと予想し、クランドは騎士に対して自分が囮になるから、暗殺者が自分を襲いに来る隙に捉えてほしいと伝える。
護衛の騎士は即座にそれは駄目だと返すが、すかさずクランドはそれが一番効率的だと返す。
クランドを狙っている人物を、今日の内に捕らえる……ということを考えると、確かにそのやり方が一番効率的なのは間違いない。
というわけで、護衛騎士がライガー家に仕える騎士が約束の付近に到着した気配を感じ取り、二人は店の外に出る。
そして数分後、護衛の騎士は仕事の日に休日の同僚と会った……という雰囲気を出し、私服姿の騎士と合流。
そのタイミングを見計らって、今度はクランドが行動を起こす。
護衛という煩わしい存在から逃げ、一人で街を散策したい令息……という雰囲気で動き、路地裏に向かう。
(ふぅーーー……ワイルドボアの時より、緊張するな)
今回も……クランドが望む強敵との戦いと言えるだろう。
しかし、今回ばかりは自分の我儘を押し通す場面ではないと理解していた。
さすがに我儘を押し通そうとすれば、オルガから雷が落されるのは間違いなかった。
それは避けたいと考えているところで、クランドは路地裏で力なく地面に座り込んでいる女の子を発見。
「……なぁ、君」
意識が目の前の女の子に向いた瞬間、クランドを狙っていた気配が動いた。
「カバディ!!!」
それと同時に、クランドは少しでも自分を狙っている人物からの攻撃を躱す為、ダッシュで動く……と同時に、目の前の女の子をいきなり抱きかかえ、移動。
「……えっ!?」
抱きかかえられた女の子は抱きかかえられてから数秒後、ようやく自分が同年代ほどの男の子に、お姫様抱っこされていることに気付いた。
「悪いな。邪魔になるだろうから避難しよう」
暗殺者はクランドの意外なスピードに驚くも、やはりクランドの一番の武器である速さでも暗殺者の方が勝っている。
だが、速さならライガー家に仕えている騎士も負けていない。
暗殺者がようやく動いた瞬間、現場付近にいた騎士が遠距離攻撃で自分たちに意識を向けさせる。
「カバディ」
身体能力の強化を続けたまま、クランドは壁や屋根の上を駆け、路地裏から脱出。
(これなら、もう一人いても問題無いだろ)
自分に狙いを定めていた気配は一つだけだが、もしかしたら……もう一人か二人、自分を狙っている者がいるかもしれない。
そう考えていたクランドは、更に路地裏の奥に逃げることはなく、壁や屋根上を経由して明るい場所に移動。
結局クランドを狙っていた暗殺者は一人だけだったこともあり、呆気なく捕まった。
暗殺者が弱かった訳ではないが、ライガー家に仕える戦闘職の者たちは、そこら辺の兵士や騎士よりも戦闘力が高い。
加えて、当主であるオルガから暗殺者や盗賊と対峙した時の対処方法、なども教わっていることから、逃走しようとした暗殺者を捕獲。
暗殺者も騎士たちの攻撃に抗おうとはしたが、実力差と数の力……両方とも劣っており、逃走は失敗に終わった。
「……なぁ、君。うちに来ないか」
「へっ?」
「「「「「っ!!!???」」」」」
当主の御子息であるクランドが囮になり、犯人の捕獲を行おうとした今回の一件……無事に終わってホッとしていた騎士。
だが、クランドが現在進行形でお姫様抱っこをしている女の子に対して「うちに来ないか」と伝えたことに……再度焦り、困惑、焦燥などの感情が湧き上がる。
「く、クランド様! 何をおっしゃっているんですか」
「ん? いや、あのさ……とりあえず、場所は移動した方が良さそうだな」
それは間違いない。
一目が詰まっている為、とりあえず本日の完全休日も中止。
だが、まずはお姫様抱っこをしている少女に関して色々言いたい……色々言いたい騎士たちだが、その辺に戻してきてくださいとも言えない苦労人達だった。
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