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三十八話 何も悪くないだろ
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「買取、お願いします」
「か、かしこまりました」
今回買取を担当した受付嬢も、二人のルーキー離れした実力については耳にしていた。
だが……これはさすがに驚かずにはいられなかった。
(これ、ワイルドボアの毛皮、牙、魔石よね?)
綺麗に解体されており、高値が付くのは間違いない。
その他にもFランクやEランクモンスターの素材が転がっている。
基本的に、二人は襲ってくるモンスターを潰している。
襲って来なければ……依頼のモンスターでなければ、見逃す。
ただ、襲ってくるのであれば容赦はしない。
「う、嘘だ!!!!!」
「「?」」
クランドがカウンターに置いた素材を見て、一人のルーキーが世間だ。
何事かと振り向くと、そのルーキー……クランドとリーゼとさほど歳が変わらない少年が、顔を真っ赤にして怒りを露わにしていた。
「お、お前らがワイルドボアを狩れる訳ないだろ!!!!」
「いや、そんなこと言われてもな」
「どうせ金で店から買ったんだろ!!!!!」
「えぇ~~~、面倒じゃないか、その方法」
他のルーキーたちも、その少年たちと同じ気持ちだった。
いくら二人が強くとも、Dランクモンスターのワイルドボアを狩れるわけがない。
「おいおい落ち着けお前ら」
「せ、先輩」
いきなり騒ぎ始めた少年に、二十過ぎの冒険者が近づく。
「よく見ろ。骨にちょっと血が付いてるだろ。ありゃ、おそらく内部破壊した痕跡だ」
青年の言葉はドンピシャだった。
「そ、それは他の冒険者が与えた痕跡かもしれないじゃないですか!!!」
「大きな声出すなって。ったく……世の中には、同じ歳でも圧倒的に強い奴らってのが存在するんだ。それが、偶々あの二人なんだよ」
「で、でも……でも!!!」
先輩から冷静に諭されるが、少年はまだ目の前の事実に納得出来ない。
怒り消えず……どころか、少々涙目になっていた。
「……」
「ストップ、リーゼ」
「……何故ですか」
何かしらの行動を起こそうとしたリーゼに、クランドはステイを命じた。
「いや、言わなくても良いというか、俺は気にしてないしさ」
「……全く、本当に心が広いですね」
本人が気にしていないのであれば、従者である自分が我儘を言う訳にはいかない。
とはいえ、それ以外にもリーゼが怒りを露わに死体理由はある。
「すまねぇな、二人とも。あいつらが自分勝手に騒いじまってよ」
「気にしてませんよ。こうなるかもしれないとは予想していたので」
クランドは口にした後に、やってしまったと気付いたが、時すでに遅し。
言葉の意味は、人によっては……ルーキーたちはクランドの手の掌の上で転がされていた。
そう捉えられてもおかしくない。
「そいつは悪いな。二人は何にも悪いことしてねぇのによ」
青年はルーキーたちに釘を刺す意味も込め、二人に謝罪した。
青年の言葉通り、二人は何も悪いことはしていない。
ただ、ルーキーたちが自分勝手に騒いだだけ。
その事実を本人達に自覚させ、ルーキーたちの中には恥ずかしさで顔を赤くする者もいた。
「本当に、大丈夫ですよ」
「そう言ってもらえると先輩としては助かるよ。でも、マジで強いな。さすがにちょっとびっくりしたぜ」
疑ってはいない。
二人からは、既にベテラン並みの風格を感じる。
それでも、今回の一件には驚いた。
「小さい頃、努力し続けてきましたから」
言葉通りの人生を歩んできた。
幼い頃から努力に努力を重ね、どう足掻いても才能が無い武器の鍛錬は、今でも止めていない。
そう……一度だけ、クランドは槍技のスキルブックを読んだことがある。
だが、結果は何も起こらず、一冊のスキルブックを無駄にしただけ。
他にも努力しているものはあるが、クランドは完全に才能が無いと解った武器の鍛錬を止めない。
リーゼはそんな主人の意志に、深い尊敬の念を抱いている。
「そうか。まっ、やっぱり努力は必要だよな……どうだ、今日は俺が飯を奢るから一緒に食べないか」
「……そうですね、ご馳走になります」
ワイルドボアの素材などを買い取ってもらった金額を受け取り、二人は青年と青年のパーティーメンバーと共に酒場へと向かった。
その光景に……ルーキーたちは悔し涙を浮かべた。
色々と口に出して吐き出したい事がある。
彼ら、彼女たちがそう思ってしまうのも無理はないが、青年の言う通り……二人は何も悪いことはしていない。
それを解らされたからこそ、自分たちがここで何を口にしても、恥ずかしいだけ。
「ったく、問題を起こしてっと、降格させちまうぞ」
しみったれた空気を、イザルクが冗談を言いながら裂いた。
「いいか、よく聞けよ」
引退したとしても、冒険者ギルドに関わってる以上、バカな発言をしても、後輩であることに変わりはない。
そんなバカで可愛い後輩たちの為に、イザルクは説教なんて要らない!!! と思ってるかもしれない後輩たちを無視し、語り始めた。
その日の翌日……本日もギルドで依頼を受ける二人の前に、多数のルーキーたちが現れ、頭を下げて謝罪してきた。
「分かった。その謝罪は受け取るよ」
本当にこの街はルーキーに優しいなと思いながら、本日も二人はバリバリ働いていく。
「か、かしこまりました」
今回買取を担当した受付嬢も、二人のルーキー離れした実力については耳にしていた。
だが……これはさすがに驚かずにはいられなかった。
(これ、ワイルドボアの毛皮、牙、魔石よね?)
綺麗に解体されており、高値が付くのは間違いない。
その他にもFランクやEランクモンスターの素材が転がっている。
基本的に、二人は襲ってくるモンスターを潰している。
襲って来なければ……依頼のモンスターでなければ、見逃す。
ただ、襲ってくるのであれば容赦はしない。
「う、嘘だ!!!!!」
「「?」」
クランドがカウンターに置いた素材を見て、一人のルーキーが世間だ。
何事かと振り向くと、そのルーキー……クランドとリーゼとさほど歳が変わらない少年が、顔を真っ赤にして怒りを露わにしていた。
「お、お前らがワイルドボアを狩れる訳ないだろ!!!!」
「いや、そんなこと言われてもな」
「どうせ金で店から買ったんだろ!!!!!」
「えぇ~~~、面倒じゃないか、その方法」
他のルーキーたちも、その少年たちと同じ気持ちだった。
いくら二人が強くとも、Dランクモンスターのワイルドボアを狩れるわけがない。
「おいおい落ち着けお前ら」
「せ、先輩」
いきなり騒ぎ始めた少年に、二十過ぎの冒険者が近づく。
「よく見ろ。骨にちょっと血が付いてるだろ。ありゃ、おそらく内部破壊した痕跡だ」
青年の言葉はドンピシャだった。
「そ、それは他の冒険者が与えた痕跡かもしれないじゃないですか!!!」
「大きな声出すなって。ったく……世の中には、同じ歳でも圧倒的に強い奴らってのが存在するんだ。それが、偶々あの二人なんだよ」
「で、でも……でも!!!」
先輩から冷静に諭されるが、少年はまだ目の前の事実に納得出来ない。
怒り消えず……どころか、少々涙目になっていた。
「……」
「ストップ、リーゼ」
「……何故ですか」
何かしらの行動を起こそうとしたリーゼに、クランドはステイを命じた。
「いや、言わなくても良いというか、俺は気にしてないしさ」
「……全く、本当に心が広いですね」
本人が気にしていないのであれば、従者である自分が我儘を言う訳にはいかない。
とはいえ、それ以外にもリーゼが怒りを露わに死体理由はある。
「すまねぇな、二人とも。あいつらが自分勝手に騒いじまってよ」
「気にしてませんよ。こうなるかもしれないとは予想していたので」
クランドは口にした後に、やってしまったと気付いたが、時すでに遅し。
言葉の意味は、人によっては……ルーキーたちはクランドの手の掌の上で転がされていた。
そう捉えられてもおかしくない。
「そいつは悪いな。二人は何にも悪いことしてねぇのによ」
青年はルーキーたちに釘を刺す意味も込め、二人に謝罪した。
青年の言葉通り、二人は何も悪いことはしていない。
ただ、ルーキーたちが自分勝手に騒いだだけ。
その事実を本人達に自覚させ、ルーキーたちの中には恥ずかしさで顔を赤くする者もいた。
「本当に、大丈夫ですよ」
「そう言ってもらえると先輩としては助かるよ。でも、マジで強いな。さすがにちょっとびっくりしたぜ」
疑ってはいない。
二人からは、既にベテラン並みの風格を感じる。
それでも、今回の一件には驚いた。
「小さい頃、努力し続けてきましたから」
言葉通りの人生を歩んできた。
幼い頃から努力に努力を重ね、どう足掻いても才能が無い武器の鍛錬は、今でも止めていない。
そう……一度だけ、クランドは槍技のスキルブックを読んだことがある。
だが、結果は何も起こらず、一冊のスキルブックを無駄にしただけ。
他にも努力しているものはあるが、クランドは完全に才能が無いと解った武器の鍛錬を止めない。
リーゼはそんな主人の意志に、深い尊敬の念を抱いている。
「そうか。まっ、やっぱり努力は必要だよな……どうだ、今日は俺が飯を奢るから一緒に食べないか」
「……そうですね、ご馳走になります」
ワイルドボアの素材などを買い取ってもらった金額を受け取り、二人は青年と青年のパーティーメンバーと共に酒場へと向かった。
その光景に……ルーキーたちは悔し涙を浮かべた。
色々と口に出して吐き出したい事がある。
彼ら、彼女たちがそう思ってしまうのも無理はないが、青年の言う通り……二人は何も悪いことはしていない。
それを解らされたからこそ、自分たちがここで何を口にしても、恥ずかしいだけ。
「ったく、問題を起こしてっと、降格させちまうぞ」
しみったれた空気を、イザルクが冗談を言いながら裂いた。
「いいか、よく聞けよ」
引退したとしても、冒険者ギルドに関わってる以上、バカな発言をしても、後輩であることに変わりはない。
そんなバカで可愛い後輩たちの為に、イザルクは説教なんて要らない!!! と思ってるかもしれない後輩たちを無視し、語り始めた。
その日の翌日……本日もギルドで依頼を受ける二人の前に、多数のルーキーたちが現れ、頭を下げて謝罪してきた。
「分かった。その謝罪は受け取るよ」
本当にこの街はルーキーに優しいなと思いながら、本日も二人はバリバリ働いていく。
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