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五十話 そういうのに憧れる
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Dランクの昇格試験を受ける前に、ルーキーを襲っていた盗賊を全滅させた。
その情報を聞いたギルドの上層部は、クランドにDランク昇格試験を受けさせるべきか迷っていた。
基本的に、Dランクへの昇格試験は、盗賊団の討伐。
冒険者として活動していれば、いずれ盗賊という存在そのものが害である者たちと戦う時が来る。
冒険者人生を送る上で、必ず乗り越えなければならない壁。
なので、上のランクに上がる際の試験となる。
しかし……襲われていた女性冒険者たちを助けるために、盗賊五人を倒したのではなく、殺した。
助けられた女性冒険者から証言を得ている。
そのため、ギルド内でクランドにわざわざ試験を受けさせる必要はないという声が上がるのも必然。
そして、その話題は冒険者たちに伝わっていた。
「まっ、Dランクのモンスターを倒せるんだから、当然と言えば当然か」
「貴族の子供なんだろ。それなら、ガキの頃から盗賊に襲われる経験があってもおかしくねぇか」
「冒険者になる前に、人を殺れるようになってるってのは驚きだが……普通じゃない強さを考えれば、経験があってもおかしくねぇか」
ベテランたちの間では、驚くべき内容ではあるが、クランドならおかしくないといった認識。
ルーキーを卒業したDランクの比較的若い者たちも、先日の規模が大きい討伐戦で、クランドの強さをその眼で確認している為、誰もおかしいとは思わなかった。
とはいえ、当然不満を持つ者たちがいる。
同じルーキー……クランドと同じ同性の冒険者たちにとっては、非常に気に食わない。
最初からリーゼの様な美人を仲間にしており、直ぐに先輩たちから認められ、特別扱いされる。
先輩たちから説教を食らい、嫉妬し続けても無意味だと説かれた。
解らなくもないが、そう簡単に心は納得しない。
ただ、今回はクランドに助けられた女性冒険者たちが、どれだけクランドが凄かったのかを、同じルーキーたちに広めていた。
彼女たちも最初こそ、貴族だから苦労せず良いスタートを切れているのだと思っていたが、蓋を開けてみれば、盗賊たちから無償で助けてくれた。
それどころか、自分たちの将来を考え、お節介まで焼いてくれた。
お節介の内容はさておき、無償で助けてたことに関して……話を聞いた同じ女性冒険者たちは、当然の様に手のひらを返し始めた。
自分たちが殺されそう、もしくは攫われそうになったところに、颯爽と現れて救ってくれた。
冒険者という荒いイメージがある職業に就いているが、そういうシチュエーションを夢見る者はそれなりにいる。
そしてクランドが実際にそれを行たとなれば、必然的に株が上がるのも当然だった。
そうなってくると……余計にクランドの事が気に入らないと感じるのは、男のルーキーたち。
超美人な仲間を連れているだけではなく、自分たち同期の異性たちの関心まで引いてしまう。
クランドにそのつもりはないが、結果的にそうなってしまった事実は変わらない。
「そろそろ決闘でも申し込まれそうですね」
「俺も同じことを考えてたよ。でもさ、俺に決闘を申し込んできたところで、何か変わると思うか?」
「何も変わらないかと。クランド様に勝てたのであれば、状況は大なり小なり変わると思いますが、それは絶対にあり得ません」
「万が一にも、とかじゃないんだな」
「勿論です。上から目線の言葉にはなりますが、一般的なルーキーがクランド様に勝つなど、天地がひっくり返ってもあり得ません」
ハッキリと断言するクランド。
現在二人は宿の食堂で夕食を食べており、宿のランク的に同じランク帯の冒険者はいない。
内容は完全に彼らに喧嘩を売るものだが、クランドの実力を少しでも知る者であれば、その言葉は否定出来ない。
「クランド様に、Dランクへの昇格試験を受ける必要がないという話が上がるのも、当然の結果かと」
「……」
褒められるのは嬉しい。
そして実力的にはその考えが間違っていないので、否定も出来なかった。
「でも、このままいくとリーゼだけが昇格試験を受けることになるよな……適当に見つけて殺るか?」
「運良く見つかると良いですが……探してみる価値はありそうですね」
恐ろしい会話をしているが、二人は至って平常運転。
リーゼが倒したと、どう証明する? という問題点もあるが、そこは既に解決案がある。
そこで二人は二日後、本当に盗賊団のアジトを探し始め……一週間後にアジトを発見。
本当に運が良く、先日クランドが殺した盗賊たちが所属していた団であったため、人数は六人と少なく、二人でも討伐可能な範囲。
リーゼの攻撃魔法で先制を取り、戦闘は五分も経たずに終了。
三人は攻撃魔法で殺し、もう一人は双剣を使用して討伐。
残り二人はクランドが狩り、彼らが隠し持っていたお宝なども含め、その場から持ち去った。
二人から報告を聞いた門兵は、先日と同じ様に慌てて冒険者ギルドに向かい、報告。
そしてその報告を聞いた酒盛り中の冒険者たちは、再びエールを吹き出してしまう。
即上層部にも伝わり、盗賊の死体を調べた結果も踏まえ、二人を昇格試験を受けなしでDランクにランクアップさせることが決定した。
その情報を聞いたギルドの上層部は、クランドにDランク昇格試験を受けさせるべきか迷っていた。
基本的に、Dランクへの昇格試験は、盗賊団の討伐。
冒険者として活動していれば、いずれ盗賊という存在そのものが害である者たちと戦う時が来る。
冒険者人生を送る上で、必ず乗り越えなければならない壁。
なので、上のランクに上がる際の試験となる。
しかし……襲われていた女性冒険者たちを助けるために、盗賊五人を倒したのではなく、殺した。
助けられた女性冒険者から証言を得ている。
そのため、ギルド内でクランドにわざわざ試験を受けさせる必要はないという声が上がるのも必然。
そして、その話題は冒険者たちに伝わっていた。
「まっ、Dランクのモンスターを倒せるんだから、当然と言えば当然か」
「貴族の子供なんだろ。それなら、ガキの頃から盗賊に襲われる経験があってもおかしくねぇか」
「冒険者になる前に、人を殺れるようになってるってのは驚きだが……普通じゃない強さを考えれば、経験があってもおかしくねぇか」
ベテランたちの間では、驚くべき内容ではあるが、クランドならおかしくないといった認識。
ルーキーを卒業したDランクの比較的若い者たちも、先日の規模が大きい討伐戦で、クランドの強さをその眼で確認している為、誰もおかしいとは思わなかった。
とはいえ、当然不満を持つ者たちがいる。
同じルーキー……クランドと同じ同性の冒険者たちにとっては、非常に気に食わない。
最初からリーゼの様な美人を仲間にしており、直ぐに先輩たちから認められ、特別扱いされる。
先輩たちから説教を食らい、嫉妬し続けても無意味だと説かれた。
解らなくもないが、そう簡単に心は納得しない。
ただ、今回はクランドに助けられた女性冒険者たちが、どれだけクランドが凄かったのかを、同じルーキーたちに広めていた。
彼女たちも最初こそ、貴族だから苦労せず良いスタートを切れているのだと思っていたが、蓋を開けてみれば、盗賊たちから無償で助けてくれた。
それどころか、自分たちの将来を考え、お節介まで焼いてくれた。
お節介の内容はさておき、無償で助けてたことに関して……話を聞いた同じ女性冒険者たちは、当然の様に手のひらを返し始めた。
自分たちが殺されそう、もしくは攫われそうになったところに、颯爽と現れて救ってくれた。
冒険者という荒いイメージがある職業に就いているが、そういうシチュエーションを夢見る者はそれなりにいる。
そしてクランドが実際にそれを行たとなれば、必然的に株が上がるのも当然だった。
そうなってくると……余計にクランドの事が気に入らないと感じるのは、男のルーキーたち。
超美人な仲間を連れているだけではなく、自分たち同期の異性たちの関心まで引いてしまう。
クランドにそのつもりはないが、結果的にそうなってしまった事実は変わらない。
「そろそろ決闘でも申し込まれそうですね」
「俺も同じことを考えてたよ。でもさ、俺に決闘を申し込んできたところで、何か変わると思うか?」
「何も変わらないかと。クランド様に勝てたのであれば、状況は大なり小なり変わると思いますが、それは絶対にあり得ません」
「万が一にも、とかじゃないんだな」
「勿論です。上から目線の言葉にはなりますが、一般的なルーキーがクランド様に勝つなど、天地がひっくり返ってもあり得ません」
ハッキリと断言するクランド。
現在二人は宿の食堂で夕食を食べており、宿のランク的に同じランク帯の冒険者はいない。
内容は完全に彼らに喧嘩を売るものだが、クランドの実力を少しでも知る者であれば、その言葉は否定出来ない。
「クランド様に、Dランクへの昇格試験を受ける必要がないという話が上がるのも、当然の結果かと」
「……」
褒められるのは嬉しい。
そして実力的にはその考えが間違っていないので、否定も出来なかった。
「でも、このままいくとリーゼだけが昇格試験を受けることになるよな……適当に見つけて殺るか?」
「運良く見つかると良いですが……探してみる価値はありそうですね」
恐ろしい会話をしているが、二人は至って平常運転。
リーゼが倒したと、どう証明する? という問題点もあるが、そこは既に解決案がある。
そこで二人は二日後、本当に盗賊団のアジトを探し始め……一週間後にアジトを発見。
本当に運が良く、先日クランドが殺した盗賊たちが所属していた団であったため、人数は六人と少なく、二人でも討伐可能な範囲。
リーゼの攻撃魔法で先制を取り、戦闘は五分も経たずに終了。
三人は攻撃魔法で殺し、もう一人は双剣を使用して討伐。
残り二人はクランドが狩り、彼らが隠し持っていたお宝なども含め、その場から持ち去った。
二人から報告を聞いた門兵は、先日と同じ様に慌てて冒険者ギルドに向かい、報告。
そしてその報告を聞いた酒盛り中の冒険者たちは、再びエールを吹き出してしまう。
即上層部にも伝わり、盗賊の死体を調べた結果も踏まえ、二人を昇格試験を受けなしでDランクにランクアップさせることが決定した。
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