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第8話 仕方ないよね
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「ガルルゥアアアッ!!!!」
(コボルトも元気っちゃ元気だが、ウェアウルフは更に元気なモンスターだよな~~)
ウェアウルフとコボルト。
どちらも人型の狼という見た目は変わらないが、派生の進化先などを見てみると、違いがあるのだと解る。
「五体、ね」
遊撃として行動してほしいと頼まれているアストはロングソードを持ちながら、接近して斬る……よりも刃に魔力を纏い、斬撃刃や刺突を放ちながら援護をメインに動く。
(うんうん、流石マックスさんたちだ。俺が前に出る必要はなさそうだ。Dランクの二人も戦い慣れてるみたいだ、しっ!!??)
コボルトよりも賢くないと言われているウェアウルフ。
既に二体は討伐されており、残るは三体。
このままいけば誰が重傷を負うことなく、護衛対象である商人の大事な商売道具が傷付くことなく倒せる……と思ったタイミングで、残りの三体は狙いをDランクの二人に絞った。
戦力差を考えれば、逃走一択が正しい。
アストたちからすれば、襲い掛かって来たウェアウルフを無理に倒す必要はない。
最優先は護衛対象である商人の命。
そして商人の商売道具である。
それをウェアウルフが解っている訳はないのだが、このまま戦えば確実に負けるという状態で、逃げるという選択肢を取らず、確実に殺れそうな相手に襲い掛かるという選択肢を選んだ。
「うぉらッ!!!!!」
「グギャッ!!!!???」
「ナイスだアスト!!!!!」
不味いと思ったアストの判断は早く、愛剣であるロングソードを……全力で投擲。
跳んでからの投擲であるため、Dランク二人に当たることはない。
加えて纏う魔力を扇状にしたため、ほぼ同時に仕掛けた三体が全員後方に下がるという選択肢を押し付けられた。
その後、突然の作戦変更は一度しか効かず、マックスたちがメインとなってウェアウルフたちは全滅した。
「こいつらの中にCランククラスがいなくて助かったぜ」
「そうですね」
ウェアウルフは一応Dランクに分類されるモンスターだが、個体によって戦闘力にかなり差があるモンスター。
ウェアウルフ、という名前は同じであるにもかかわらず、推定Bランクのウェアウルフも確認されており、冒険者や騎士たちからはランク詐欺モンスターと呼ばれている。
「……助かった」
「ん?」
「だから……あれだ、昼間は助かった」
日が暮れ、野営の準備を始めた時、意を決した表情でDランクの男はアストに昼間の一件に関して、感謝の言葉を伝えた。
「私からも、助かったわ。それと、失礼な視線を向けてごめんなさい。ほら、あなたもちゃんと謝りまなさい」
「わ、解ってるっての! す……すまんかった。変に、嫉妬して……悪い空気を作って、悪かったよ」
「…………ふふ、気にしてないから、頭を上げてくれ」
自分こそ空気を悪くしないため、ではない。
昼間、マックスの言葉に対し、偶々ですよと返した。
偶々……運が良かった。だから、今それなりに成功している。
それはアストにとって謙虚な答えではなく、本当にただの事実だった。
アストの魂は酒樹錬……前世の記憶を持つ転生者。
物事に対する意識、認識などが同世代と比べて違い過ぎる。
加えてアストは、アストだけが持つ特別なスキル、ネットスーパーとカクテルという本当に過去に記録がないスキルをあるため、同世代たちから妬まれるのは当然だと思っている。
「もう何度も同じような経験をしてきた。その中でも、謝ってくれる人は多くない。だから、そうやって謝ってくれるだけで個人的には嬉しいよ」
「ぐっ……本当にすまんかった」
何度も同じ経験をしてきた。
つまり、何度も負の感情が籠った視線を向けられてきた、もしくは言葉をぶつけられてきた……そんな辛い経験をしている人物に不快な思いをさせてしまった。
冷静になって振り返れば、なんて事をしてしまったんだと思うが、まだ現在のアストと同じく二十歳を越えてないということもあり、精神的にはまだまだ未熟。
アストの言う通り、過ちを認めて謝れるだけまともと言うもの。
「なぁ、アスト。バーテンダーなんだろ。なら、何か一杯作ってくれよ」
「おいおい、仕事は終ってないぞ」
大盾などを使い、仲間を守るのがメインの役割、タンクを担う人物としては珍しく、ややチャラいマックスのパーティーメンバーが夕食中に何か一杯作ってほしいと口にした。
当然だが、今は商人の護衛という依頼を受けている最中。
アルコールが体に入れば、どうしても判断力などが鈍ってしまう。
「…………そうですね。では、酔わない一杯を作りましょうか」
「「「「「「???」」」」」」
タンクの男やマックスたち……商人も含め、全員が首を傾げる中、アストは慣れた様子で簡易テーブルを取り出し、七つのグラスを用意し、二つの果実のジュースと一つ、果実を取り出す。
正確に計測しながら二つのジュース……パイナップルジュースとオレンジジュースを全て正確に計測して入れ、最後にレモン汁を入れる。
「これで完成です。一応カクテル……正確にはノンアルコールなのでモクテル。シンデレラです」
ノンアルコールのドリンクなので、仕事中に飲んでも全く問題はない。
正確には酒、カクテルではないドリンクだが、果実ジュースというだけで、是非とも飲みたい一杯であることに変わりはなかった。
(コボルトも元気っちゃ元気だが、ウェアウルフは更に元気なモンスターだよな~~)
ウェアウルフとコボルト。
どちらも人型の狼という見た目は変わらないが、派生の進化先などを見てみると、違いがあるのだと解る。
「五体、ね」
遊撃として行動してほしいと頼まれているアストはロングソードを持ちながら、接近して斬る……よりも刃に魔力を纏い、斬撃刃や刺突を放ちながら援護をメインに動く。
(うんうん、流石マックスさんたちだ。俺が前に出る必要はなさそうだ。Dランクの二人も戦い慣れてるみたいだ、しっ!!??)
コボルトよりも賢くないと言われているウェアウルフ。
既に二体は討伐されており、残るは三体。
このままいけば誰が重傷を負うことなく、護衛対象である商人の大事な商売道具が傷付くことなく倒せる……と思ったタイミングで、残りの三体は狙いをDランクの二人に絞った。
戦力差を考えれば、逃走一択が正しい。
アストたちからすれば、襲い掛かって来たウェアウルフを無理に倒す必要はない。
最優先は護衛対象である商人の命。
そして商人の商売道具である。
それをウェアウルフが解っている訳はないのだが、このまま戦えば確実に負けるという状態で、逃げるという選択肢を取らず、確実に殺れそうな相手に襲い掛かるという選択肢を選んだ。
「うぉらッ!!!!!」
「グギャッ!!!!???」
「ナイスだアスト!!!!!」
不味いと思ったアストの判断は早く、愛剣であるロングソードを……全力で投擲。
跳んでからの投擲であるため、Dランク二人に当たることはない。
加えて纏う魔力を扇状にしたため、ほぼ同時に仕掛けた三体が全員後方に下がるという選択肢を押し付けられた。
その後、突然の作戦変更は一度しか効かず、マックスたちがメインとなってウェアウルフたちは全滅した。
「こいつらの中にCランククラスがいなくて助かったぜ」
「そうですね」
ウェアウルフは一応Dランクに分類されるモンスターだが、個体によって戦闘力にかなり差があるモンスター。
ウェアウルフ、という名前は同じであるにもかかわらず、推定Bランクのウェアウルフも確認されており、冒険者や騎士たちからはランク詐欺モンスターと呼ばれている。
「……助かった」
「ん?」
「だから……あれだ、昼間は助かった」
日が暮れ、野営の準備を始めた時、意を決した表情でDランクの男はアストに昼間の一件に関して、感謝の言葉を伝えた。
「私からも、助かったわ。それと、失礼な視線を向けてごめんなさい。ほら、あなたもちゃんと謝りまなさい」
「わ、解ってるっての! す……すまんかった。変に、嫉妬して……悪い空気を作って、悪かったよ」
「…………ふふ、気にしてないから、頭を上げてくれ」
自分こそ空気を悪くしないため、ではない。
昼間、マックスの言葉に対し、偶々ですよと返した。
偶々……運が良かった。だから、今それなりに成功している。
それはアストにとって謙虚な答えではなく、本当にただの事実だった。
アストの魂は酒樹錬……前世の記憶を持つ転生者。
物事に対する意識、認識などが同世代と比べて違い過ぎる。
加えてアストは、アストだけが持つ特別なスキル、ネットスーパーとカクテルという本当に過去に記録がないスキルをあるため、同世代たちから妬まれるのは当然だと思っている。
「もう何度も同じような経験をしてきた。その中でも、謝ってくれる人は多くない。だから、そうやって謝ってくれるだけで個人的には嬉しいよ」
「ぐっ……本当にすまんかった」
何度も同じ経験をしてきた。
つまり、何度も負の感情が籠った視線を向けられてきた、もしくは言葉をぶつけられてきた……そんな辛い経験をしている人物に不快な思いをさせてしまった。
冷静になって振り返れば、なんて事をしてしまったんだと思うが、まだ現在のアストと同じく二十歳を越えてないということもあり、精神的にはまだまだ未熟。
アストの言う通り、過ちを認めて謝れるだけまともと言うもの。
「なぁ、アスト。バーテンダーなんだろ。なら、何か一杯作ってくれよ」
「おいおい、仕事は終ってないぞ」
大盾などを使い、仲間を守るのがメインの役割、タンクを担う人物としては珍しく、ややチャラいマックスのパーティーメンバーが夕食中に何か一杯作ってほしいと口にした。
当然だが、今は商人の護衛という依頼を受けている最中。
アルコールが体に入れば、どうしても判断力などが鈍ってしまう。
「…………そうですね。では、酔わない一杯を作りましょうか」
「「「「「「???」」」」」」
タンクの男やマックスたち……商人も含め、全員が首を傾げる中、アストは慣れた様子で簡易テーブルを取り出し、七つのグラスを用意し、二つの果実のジュースと一つ、果実を取り出す。
正確に計測しながら二つのジュース……パイナップルジュースとオレンジジュースを全て正確に計測して入れ、最後にレモン汁を入れる。
「これで完成です。一応カクテル……正確にはノンアルコールなのでモクテル。シンデレラです」
ノンアルコールのドリンクなので、仕事中に飲んでも全く問題はない。
正確には酒、カクテルではないドリンクだが、果実ジュースというだけで、是非とも飲みたい一杯であることに変わりはなかった。
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