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第13話 確かに変人
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「なぁ、アスト。ちょっとお願いしても良いか」
「構いませんよ」
ギルドに併設されている酒場で宴会が行われる中、アストの力を知っているマックスたちはエールが入った杯を持ってアストにとある事を頼み込む。
「終わりました」
「おぅ、さんきゅ!! ~~~~~~~っ!!! かぁ~~~~~、美味い!!!!!」
「あ、アスト。俺も頼んで良いか」
「あぁ、勿論良いぞ」
アストが行っているのは、エールを冷たくしている……ただそれだけである。
しかし、やはりこの世界でもキンキンに冷えた酒というのは悪魔的な上手さがあるため、飲料……ドリンクの温度を調整できる者は、それだけで重宝される。
(気持ちは非常に解る)
アストも自身のエールを冷やし、昼間からキンキンに冷えたエールを呑むという、悪魔的な快楽を体感中。
(今から飲んでれば、明日の朝は特に問題無いだろ……多分)
自分で作ったカクテルの味を試す、後は趣味も含めて良く酒を呑むアストはアルコール耐性が非常に高い。
過去、潰れたことがあるのは、鍛冶技術が人族や獣人族、エルフなどの他種族と比べて優れた傾向にあるドワーフの酒飲みとタイマン勝負になった時ぐらいである。
その勝負に関しても、最終的には「エールは水。呑んでるうちに入らん!!!」と豪語するドワーフとダブルノックダウンという結果になったため、アストのアルコールに対する強さはずば抜けているのは間違いない。
冒険者たちもアルコールに強い傾向があるものの、昼間である今から吞み……更に夜にも呑んでしまうと、二日酔いになる可能性は捨てきれない。
「アスト、今回も頼りにさせてもらうぞ」
「期待に応えられるよう、頑張ります」
「おうおう、お前さんがマックスが自慢してた噂の変人スーパールーキーか!!!」
エールを片手に近づいてくる男は……今回の討伐隊のリーダー、スラディス。
(へ、変人……ま、まぁそうか。確かに変人か)
昼間から夕方にかけては冒険者として活動し、夜は屋台バーのバーテンダーとして働く。
本業以外に副業を行う者は……そこまで珍しくはない。
料理店を営む夫婦の間に生まれた子供が冒険者となって、実家に安く肉を渡し、時には従業員として働くといった例などもある。
ただ、特にそういった家の出身ではなく、昼間は冒険者で夜はバーテンダーとして活動してる者は……まずいない。
「ど、どうも。アストです」
「ふんふん…………良いね良いね、堂々した眼と雰囲気を持ってるじゃないか」
スーパールーキー、と呼ばれるのは普通に恥ずかしい。
ただ、これまでの冒険者経験から、それを否定するのは過ぎた嫌味だと十分過ぎるほど理解しているため、否定はしなかった。
「接近戦だけじゃなくて、遠距離も出来るオールラウンダーって聞いてるぜ」
「ご要望とあれば、前でも後ろからでも攻めます」
転生者というアドバンテージを殺すことなく全力で活かそうと努力を続けたアストは、その歳では考えられないレベルのオールラウンダーに成長していた。
「いやぁ~~~、頼もしいぜ!! んじゃ、俺もマックスと同じく、期待させてもらうぜ」
そう言われたからといって、余計なプレッシャーを感じるアストではない。
タンク以外の役割を果たせるアストは、これまでの経験から自身の能力をフル活用しなければ生き残れない戦い乗り越えており……今更ちょっとやそっとの激戦でひよることはない。
ただ……そういった経歴を他の冒険者たちが知る由もなく、この時決戦前の宴会ということもあって、先輩冒険者たちは先輩としての役目をうっかり放棄してしまっていた。
「よぅ、アストさん。あんた、Cランク冒険者なんだろ」
「ん? あぁ、そうだが……どうかしたか」
なんとなく自分と同年代の冒険者がいきなり声を掛けてきた理由を即座に把握するが、一応何の用なのかと返す。
「俺らDランクなんだけどよ、良かったらちょっと指導してくれねぇか? まっ、明日から討伐に向かうから、無理にとは言わねぇけどよ」
(……毎度思うが、こいつらの精神状態はネットに暴言を吐き散らす、開示請求が来るなんて一ミリも考えてない誰かのアンチと同じ状態なんだろうな)
アストもそれなりにネット人間だったこともあり、毎日何かしらの暴言コメントは見ていた。
ネット活動などはしていなかったため、暴言という見えないナイフを投げられることはなかったが、絶対に受けた側のストレス要因になっていることだけは解る。
(それに、こっちの世界じゃ直接言う、絡むのが一般的で、冒険者同士のいざこざで衛兵が動いたりしないっていうのに…………って、考えるだけ無駄なのは今更だよな)
本業ではなく副業ではあるが、それでもアストは冒険者。
彼には冒険者らしい方法で対応するだけの力がある。
「良いぞ。酒が入ってるのはお互い様だから、直ぐに戦ろうか」
宴会では結局エールしか呑んでいないため、アストのキャパを考えれば……正直なところ、酔ったうちに入らない。
「あっ……はぁ~~~~。やっちまったな。呑み過ぎたというか、浮かれすぎてた? か」
「ん? あぁ~、アストが絡まれちまったか」
まだ潰れずにつまみを食っていたマックスとスラディス。
マックスが気づいた時には、数人のDランク冒険者とアストたちが訓練場へと向かっていた。
「どっちが勝つか、賭けでもするか?」
「止めておこう。仮にアスト対彼ら全員でも、賭けにならない」
「だっはっは!!!! それじゃ、あいつらを慰める準備でもしておくか」
二人は相当呑んでいたにもかかわらず、千鳥足にはならず普段通りの様子でアストたちの後に続いた。
「構いませんよ」
ギルドに併設されている酒場で宴会が行われる中、アストの力を知っているマックスたちはエールが入った杯を持ってアストにとある事を頼み込む。
「終わりました」
「おぅ、さんきゅ!! ~~~~~~~っ!!! かぁ~~~~~、美味い!!!!!」
「あ、アスト。俺も頼んで良いか」
「あぁ、勿論良いぞ」
アストが行っているのは、エールを冷たくしている……ただそれだけである。
しかし、やはりこの世界でもキンキンに冷えた酒というのは悪魔的な上手さがあるため、飲料……ドリンクの温度を調整できる者は、それだけで重宝される。
(気持ちは非常に解る)
アストも自身のエールを冷やし、昼間からキンキンに冷えたエールを呑むという、悪魔的な快楽を体感中。
(今から飲んでれば、明日の朝は特に問題無いだろ……多分)
自分で作ったカクテルの味を試す、後は趣味も含めて良く酒を呑むアストはアルコール耐性が非常に高い。
過去、潰れたことがあるのは、鍛冶技術が人族や獣人族、エルフなどの他種族と比べて優れた傾向にあるドワーフの酒飲みとタイマン勝負になった時ぐらいである。
その勝負に関しても、最終的には「エールは水。呑んでるうちに入らん!!!」と豪語するドワーフとダブルノックダウンという結果になったため、アストのアルコールに対する強さはずば抜けているのは間違いない。
冒険者たちもアルコールに強い傾向があるものの、昼間である今から吞み……更に夜にも呑んでしまうと、二日酔いになる可能性は捨てきれない。
「アスト、今回も頼りにさせてもらうぞ」
「期待に応えられるよう、頑張ります」
「おうおう、お前さんがマックスが自慢してた噂の変人スーパールーキーか!!!」
エールを片手に近づいてくる男は……今回の討伐隊のリーダー、スラディス。
(へ、変人……ま、まぁそうか。確かに変人か)
昼間から夕方にかけては冒険者として活動し、夜は屋台バーのバーテンダーとして働く。
本業以外に副業を行う者は……そこまで珍しくはない。
料理店を営む夫婦の間に生まれた子供が冒険者となって、実家に安く肉を渡し、時には従業員として働くといった例などもある。
ただ、特にそういった家の出身ではなく、昼間は冒険者で夜はバーテンダーとして活動してる者は……まずいない。
「ど、どうも。アストです」
「ふんふん…………良いね良いね、堂々した眼と雰囲気を持ってるじゃないか」
スーパールーキー、と呼ばれるのは普通に恥ずかしい。
ただ、これまでの冒険者経験から、それを否定するのは過ぎた嫌味だと十分過ぎるほど理解しているため、否定はしなかった。
「接近戦だけじゃなくて、遠距離も出来るオールラウンダーって聞いてるぜ」
「ご要望とあれば、前でも後ろからでも攻めます」
転生者というアドバンテージを殺すことなく全力で活かそうと努力を続けたアストは、その歳では考えられないレベルのオールラウンダーに成長していた。
「いやぁ~~~、頼もしいぜ!! んじゃ、俺もマックスと同じく、期待させてもらうぜ」
そう言われたからといって、余計なプレッシャーを感じるアストではない。
タンク以外の役割を果たせるアストは、これまでの経験から自身の能力をフル活用しなければ生き残れない戦い乗り越えており……今更ちょっとやそっとの激戦でひよることはない。
ただ……そういった経歴を他の冒険者たちが知る由もなく、この時決戦前の宴会ということもあって、先輩冒険者たちは先輩としての役目をうっかり放棄してしまっていた。
「よぅ、アストさん。あんた、Cランク冒険者なんだろ」
「ん? あぁ、そうだが……どうかしたか」
なんとなく自分と同年代の冒険者がいきなり声を掛けてきた理由を即座に把握するが、一応何の用なのかと返す。
「俺らDランクなんだけどよ、良かったらちょっと指導してくれねぇか? まっ、明日から討伐に向かうから、無理にとは言わねぇけどよ」
(……毎度思うが、こいつらの精神状態はネットに暴言を吐き散らす、開示請求が来るなんて一ミリも考えてない誰かのアンチと同じ状態なんだろうな)
アストもそれなりにネット人間だったこともあり、毎日何かしらの暴言コメントは見ていた。
ネット活動などはしていなかったため、暴言という見えないナイフを投げられることはなかったが、絶対に受けた側のストレス要因になっていることだけは解る。
(それに、こっちの世界じゃ直接言う、絡むのが一般的で、冒険者同士のいざこざで衛兵が動いたりしないっていうのに…………って、考えるだけ無駄なのは今更だよな)
本業ではなく副業ではあるが、それでもアストは冒険者。
彼には冒険者らしい方法で対応するだけの力がある。
「良いぞ。酒が入ってるのはお互い様だから、直ぐに戦ろうか」
宴会では結局エールしか呑んでいないため、アストのキャパを考えれば……正直なところ、酔ったうちに入らない。
「あっ……はぁ~~~~。やっちまったな。呑み過ぎたというか、浮かれすぎてた? か」
「ん? あぁ~、アストが絡まれちまったか」
まだ潰れずにつまみを食っていたマックスとスラディス。
マックスが気づいた時には、数人のDランク冒険者とアストたちが訓練場へと向かっていた。
「どっちが勝つか、賭けでもするか?」
「止めておこう。仮にアスト対彼ら全員でも、賭けにならない」
「だっはっは!!!! それじゃ、あいつらを慰める準備でもしておくか」
二人は相当呑んでいたにもかかわらず、千鳥足にはならず普段通りの様子でアストたちの後に続いた。
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