148 / 167
第149話 まず、巡り合えない
しおりを挟む
「ようやく、見えてきたな」
猛ダッシュで移動して到着、猛ダッシュで移動して到着を数回繰り返した後、アストはようやく目的の街……ラプターに到着。
ダンジョン名、暗恐の烈火を有するラプターはダンジョン都市という名に相応しい大きさであり、一度訪れて滞在したことがあるアストであっても、全てを知っている訳ではない。
「おっ、アストじゃないか」
「お久しぶりです」
顔見知りの門兵に声を掛けられ、アストもその門兵のことを覚えていた。
「もしかして、ラプターを拠点にする気になってくれたのか?」
「いえ、そういう訳ではありません。ただ、久しぶりにダンジョンを探索しようかなと思って」
「そうかい。まっ、それなら仕方ねぇか」
通行審査はあっさり終わり、アストは街の中に入ると……とりあえず以前、ラプターに滞在している際に泊まっていた宿へと向かった。
(……以前と比べて、少し活気が増したか?)
ラプターが有するダンジョン、暗恐の烈火は合計で四十階層もある大型に分類される
ダンジョン。
ダンジョンの階層数が多ければ多いほど出現するモンスターの数も多く、高価な素材が手に入る。
勿論、階層が下に行けば行くほど強力な力を持つモンスターが増え、トラップの危険性も上がる。
ただ、冒険者たちには多くの者たちが挑み、集めてきた情報がある。
それでもどうしようもない困難というのは訪れるが、それでも情報の利を活かして冒険者たちは上手く探索する。
持ち帰られた素材や、宝箱に入っていたマジックアイテムなどは買い取られ、巡り巡って経済を発展させていく。
「ここは、そんなに変わってなさそうだな」
以前泊まっていた宿に到着し、アストは従業員に約一か月分の宿泊費と食費を渡した。
アストと顔見知りではない従業員はその日数や手に取った額に驚くも、上客を疑うことはなく、部屋に案内した。
「ふぅ~~~~~……相変わらず、居心地が良い部屋だな」
ベッドに寝転がり、数分ほど寝転がった後……まだ夕食を食べるにしても、寝るにしても早い時間ということもあり、アストはなんとなく冒険者ギルドへと向かった。
「こっちも、そんなに変わってないな」
懐かしさを感じながら、ゆっくりと中へと入り、再び懐かしさを感じる。
そして、いつも通り一人でギルドに入って来たアストに対し、同業者たちや従業員たちが視線を向けてくるも、アストは特に気にせずクエストボードの前へと向かう。
(張り出されてる依頼は……そんなに変わってないみたいだな…………ん? テンペストウルフの討伐依頼? 初めて見るな……暗恐の烈火じゃあ、まず出現しないモンスターだ)
テンペストウルフは先日、アストがウェディーたち女性騎士団と共に戦ったリブルアーランドドラゴンと同じく、Aランクのモンスター。
稀に階層に似合わない強さを持つモンスターが出現することはある。
しかし、テンペストウルフは持ち合わせている属性的に、暗恐の烈火に出現するモンスターではない。
(……可能性があるとすれば、誰かが転移トラップに引っ掛かって、その先でテンペストウルフと遭遇した、か…………パーティー事転移したなら、討伐出来る可能性は……あるか)
前回ラプターに訪れた際に出会った同業者たちを思い出すアスト。
その中には当然、基礎的な戦闘力がアストよりも高い冒険者もおり、彼等ならばとテンペストウルフに敵うと思えなくもない。
(一度討伐出来たんだから、もう一度と考えたのかもしれないが、転移トラップの先に生息している個体なら、まず誰も巡り合うとはしないだろうな)
ダンジョンに設置されている転移トラップは複数の種類が存在する。
まずは純粋に同じ階層の、全くことなる場所に転移させる。
次に、現在探索中の階層よりも上の階層……もしくは下の階層。過去には、地上に戻されるタイプの転移トラップも確認されている。
嫌がらせではあるが、上の階層や地上に戻される分にはまだ恐ろしさはないが、下の階層に転移させられてしまうと……現段階で探索していた階層が探索適性階層だった場合、モンスターの強さの差によって為す術なく殺されてしまう可能性が十分ある。
帰還石という、地上に戻ることが出来るマジックアイテムも存在するが、非常に高価であるため中々手に入れることが出来ない。
そして……ある部屋、空間に転移させるタイプである場合……ダンジョンが、明確な試練を与えてくる。
場合によっては、地獄と呼んでも構わない。
その分、その試練を……地獄を乗り越えた場合、それ相応の報酬がある。
仮にアストの予想通り、テンペストウルフを特別な部屋に転移された場所で遭遇し、見事討伐したのであれば、Aランクモンスターの素材以外にも極上の報酬が用意される。
「ったく……冒険者は駒じゃないっての」
つい、そんな言葉を零してしまったアスト。
そんなアストに、一人の受付嬢が声を掛けてきた。
猛ダッシュで移動して到着、猛ダッシュで移動して到着を数回繰り返した後、アストはようやく目的の街……ラプターに到着。
ダンジョン名、暗恐の烈火を有するラプターはダンジョン都市という名に相応しい大きさであり、一度訪れて滞在したことがあるアストであっても、全てを知っている訳ではない。
「おっ、アストじゃないか」
「お久しぶりです」
顔見知りの門兵に声を掛けられ、アストもその門兵のことを覚えていた。
「もしかして、ラプターを拠点にする気になってくれたのか?」
「いえ、そういう訳ではありません。ただ、久しぶりにダンジョンを探索しようかなと思って」
「そうかい。まっ、それなら仕方ねぇか」
通行審査はあっさり終わり、アストは街の中に入ると……とりあえず以前、ラプターに滞在している際に泊まっていた宿へと向かった。
(……以前と比べて、少し活気が増したか?)
ラプターが有するダンジョン、暗恐の烈火は合計で四十階層もある大型に分類される
ダンジョン。
ダンジョンの階層数が多ければ多いほど出現するモンスターの数も多く、高価な素材が手に入る。
勿論、階層が下に行けば行くほど強力な力を持つモンスターが増え、トラップの危険性も上がる。
ただ、冒険者たちには多くの者たちが挑み、集めてきた情報がある。
それでもどうしようもない困難というのは訪れるが、それでも情報の利を活かして冒険者たちは上手く探索する。
持ち帰られた素材や、宝箱に入っていたマジックアイテムなどは買い取られ、巡り巡って経済を発展させていく。
「ここは、そんなに変わってなさそうだな」
以前泊まっていた宿に到着し、アストは従業員に約一か月分の宿泊費と食費を渡した。
アストと顔見知りではない従業員はその日数や手に取った額に驚くも、上客を疑うことはなく、部屋に案内した。
「ふぅ~~~~~……相変わらず、居心地が良い部屋だな」
ベッドに寝転がり、数分ほど寝転がった後……まだ夕食を食べるにしても、寝るにしても早い時間ということもあり、アストはなんとなく冒険者ギルドへと向かった。
「こっちも、そんなに変わってないな」
懐かしさを感じながら、ゆっくりと中へと入り、再び懐かしさを感じる。
そして、いつも通り一人でギルドに入って来たアストに対し、同業者たちや従業員たちが視線を向けてくるも、アストは特に気にせずクエストボードの前へと向かう。
(張り出されてる依頼は……そんなに変わってないみたいだな…………ん? テンペストウルフの討伐依頼? 初めて見るな……暗恐の烈火じゃあ、まず出現しないモンスターだ)
テンペストウルフは先日、アストがウェディーたち女性騎士団と共に戦ったリブルアーランドドラゴンと同じく、Aランクのモンスター。
稀に階層に似合わない強さを持つモンスターが出現することはある。
しかし、テンペストウルフは持ち合わせている属性的に、暗恐の烈火に出現するモンスターではない。
(……可能性があるとすれば、誰かが転移トラップに引っ掛かって、その先でテンペストウルフと遭遇した、か…………パーティー事転移したなら、討伐出来る可能性は……あるか)
前回ラプターに訪れた際に出会った同業者たちを思い出すアスト。
その中には当然、基礎的な戦闘力がアストよりも高い冒険者もおり、彼等ならばとテンペストウルフに敵うと思えなくもない。
(一度討伐出来たんだから、もう一度と考えたのかもしれないが、転移トラップの先に生息している個体なら、まず誰も巡り合うとはしないだろうな)
ダンジョンに設置されている転移トラップは複数の種類が存在する。
まずは純粋に同じ階層の、全くことなる場所に転移させる。
次に、現在探索中の階層よりも上の階層……もしくは下の階層。過去には、地上に戻されるタイプの転移トラップも確認されている。
嫌がらせではあるが、上の階層や地上に戻される分にはまだ恐ろしさはないが、下の階層に転移させられてしまうと……現段階で探索していた階層が探索適性階層だった場合、モンスターの強さの差によって為す術なく殺されてしまう可能性が十分ある。
帰還石という、地上に戻ることが出来るマジックアイテムも存在するが、非常に高価であるため中々手に入れることが出来ない。
そして……ある部屋、空間に転移させるタイプである場合……ダンジョンが、明確な試練を与えてくる。
場合によっては、地獄と呼んでも構わない。
その分、その試練を……地獄を乗り越えた場合、それ相応の報酬がある。
仮にアストの予想通り、テンペストウルフを特別な部屋に転移された場所で遭遇し、見事討伐したのであれば、Aランクモンスターの素材以外にも極上の報酬が用意される。
「ったく……冒険者は駒じゃないっての」
つい、そんな言葉を零してしまったアスト。
そんなアストに、一人の受付嬢が声を掛けてきた。
188
あなたにおすすめの小説
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~
繭
ファンタジー
高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に
え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。
確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!?
ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・
気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。
誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!?
女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話
保険でR15
タイトル変更の可能性あり
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる