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第57話 俺に訊くのか?
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「……アル、それを俺に訊くのか?」
バトムスを倒す方法はないのかと……本人に尋ねたアルフォンス。
正気か? という顔を浮かべるバトムス。
しかし、友人の顔を見たら本気で尋ねていることが解る。
「うん」
「………………………………お嬢が、俺に勝つ方法だろ」
「そうだね。個人的にはそれを聞いてみたいかな」
ルチアの為……というよりは、純粋に気になる内容であった。
まだまだ戦闘経験が浅いアルフォンスだが、バトムスとルチアが扱う武器、戦闘スタイルなどからバトムスの方が有利だということが解る。
「ん~~~~~……………………別に、お嬢は特に何かする必要はないんじゃねぇの」
「……どういう事ですの」
実際問題として、ルチアは今までバトムスとの勝負に一度も勝てていない。
にもかかわらず、特に何もする必要がないというのは、全くもって答えになっていない。
「どういう事って言われてもなぁ…………俺とお嬢じゃ上限が違うだろうからな」
上限が違う。
バトムスの言葉通り、人間は経験を積むと肉体や魔力量の上限が上がる。
しかし、全員が頑張れば頑張るほど永遠に伸び続けるわけではない。
人によって限界値は決まっている。
ある程度競争社会を生き続けた者たちの多くは、個人の上限値が本当の意味での才能だと考えている。
「今のまま強くなり続ければ、いずれお嬢の方が強くなるだろ」
バトムスは人間の強さ、潜在能力を視れる目など持っておらず、この世界に転生した際……そういったスキルを誰かから貰ってもいない。
それでも、直感ではあるが……ルチアは自分よりも上限が上だと感じていた。
だから特に何もする必要がないと答えたのだが、ルチアとしてはそういった答えを求めていた訳ではない。。
「未来の話はしてないのだけど」
「ふふ、なんだよお嬢。俺からのアドバイスがないと俺に勝てないのか?」
「っ!! そんなわけないでしょう!!! あなたからのアドバイスなんてなくても、直ぐに勝ってみせるわ!!!!」
ルチアも本気でバトムスからのアドバイスを求めていた訳ではないが……相変わらずバトムスの手のひらの上で転がされている。
(……バトムスなら、どうすれば勝てるかルチアさんが自分に勝てる可能性があるのか解ってそうだけど…………なんだかんだで負けたくないのかな?)
やはり男の子としては、女の子に負けたくないのか。
実際のところ……バトムスはそういった子供らしい事を考えていなかった。
いざその場面が来たら、嫉妬に駆られる可能性は否定出来ない。
ただ、現時点ではあまりその点に関してバトムスは深く考えていなかった。
本当にただただ現時点では、ルチアが自分に勝つ可能性は少ない。
しかし、前世と違ってより才能という部分が目に見えるところがある。
だからこそ、将来的にはルチアに負けても仕方ないという達観した気持ちを持っていた。
「さぁバトムス、もう一度よ!!!」
「やだよ。次はアルとやれば良いだろ」
「ふふ、そうだね。次は僕と戦ろうか」
「は、はい。戦りましょう!」
アルフォンスと模擬戦を行うとなれば、多少の緊張感はある。
それでも、相手がアルフォンスだからといって手を抜くような真似をするのは、失礼であると解っている。
加えて……そもそも、そんな真似が出来るほどアルフォンスが弱くなく、強いことをルチアは本能的に理解していた。
(割と良い戦いはするけど、やっぱ武器の相性的に、お嬢がアルに勝つのは難しそうだな)
ルチアはパワーだけの人間ではない。
ただ、それはアルフォンスも同じであり、技術だけの人間ではない。
二人とも現時点で魔力は扱えるものの、細剣技や大剣技ほどの技量はないため、ルチアは中々相性の差を覆すことが出来ない……が、大きく引き離されることもない。
「っ、参り、ました」
「ふぅーーーー、ありがとう。やはり、ルチアさんも強いね」
「……まだまだですわ」
先程の模擬戦で、ルチアはアルフォンスに対して決定打と言える一撃を与えることが出来なかった。
にもかかわらず、果たして自分はアルフォンスから強いと言われるほどの実力を持っているのかという疑問が浮かんでしまう。
「…………バトムス」
「なんだ、アルフォンス」
「大剣使いは、何を気にして戦うべきかな」
「…………素人意見だが、お嬢は大剣を持っても鈍くねぇ。脚もそれなりに速いのを考えると、距離を詰めて叩き斬るよりは、押し潰す方が良いかもな」
バトムスは騎士志望の貴族令息たちの動きをあまり見たことはないが、将来的にアブルシオ辺境伯家の騎士になろうと目指している子供たちの動きは何度も見ており……そんな子供たちと比べても、アルフォンスの技術力は頭一つか二つ抜けていると感じた。
武器の相性だけではなく、技術差も相まって中々埋まらない。
「後は……大事な場面での戦いなら、相手の攻撃を食らうことを前提でカウンターを叩き込むとか、な」
「ダメージ前提で、カウンターを…………」
「つっても、お勧め出来る戦法じゃないけどな~~」
受けどころを間違えれば大怪我……最悪死に繋がる戦法である。
周りの騎士たちもバトムスの意見に賛同する者が殆ど。
しかし……気に入らない同世代、バトムスからのアドバイスとはいえ、アルフォンスと本気で模擬戦を行って負けたからこそ……強くなる為の考えとして、ルチアは真剣に考え込んだ。
バトムスを倒す方法はないのかと……本人に尋ねたアルフォンス。
正気か? という顔を浮かべるバトムス。
しかし、友人の顔を見たら本気で尋ねていることが解る。
「うん」
「………………………………お嬢が、俺に勝つ方法だろ」
「そうだね。個人的にはそれを聞いてみたいかな」
ルチアの為……というよりは、純粋に気になる内容であった。
まだまだ戦闘経験が浅いアルフォンスだが、バトムスとルチアが扱う武器、戦闘スタイルなどからバトムスの方が有利だということが解る。
「ん~~~~~……………………別に、お嬢は特に何かする必要はないんじゃねぇの」
「……どういう事ですの」
実際問題として、ルチアは今までバトムスとの勝負に一度も勝てていない。
にもかかわらず、特に何もする必要がないというのは、全くもって答えになっていない。
「どういう事って言われてもなぁ…………俺とお嬢じゃ上限が違うだろうからな」
上限が違う。
バトムスの言葉通り、人間は経験を積むと肉体や魔力量の上限が上がる。
しかし、全員が頑張れば頑張るほど永遠に伸び続けるわけではない。
人によって限界値は決まっている。
ある程度競争社会を生き続けた者たちの多くは、個人の上限値が本当の意味での才能だと考えている。
「今のまま強くなり続ければ、いずれお嬢の方が強くなるだろ」
バトムスは人間の強さ、潜在能力を視れる目など持っておらず、この世界に転生した際……そういったスキルを誰かから貰ってもいない。
それでも、直感ではあるが……ルチアは自分よりも上限が上だと感じていた。
だから特に何もする必要がないと答えたのだが、ルチアとしてはそういった答えを求めていた訳ではない。。
「未来の話はしてないのだけど」
「ふふ、なんだよお嬢。俺からのアドバイスがないと俺に勝てないのか?」
「っ!! そんなわけないでしょう!!! あなたからのアドバイスなんてなくても、直ぐに勝ってみせるわ!!!!」
ルチアも本気でバトムスからのアドバイスを求めていた訳ではないが……相変わらずバトムスの手のひらの上で転がされている。
(……バトムスなら、どうすれば勝てるかルチアさんが自分に勝てる可能性があるのか解ってそうだけど…………なんだかんだで負けたくないのかな?)
やはり男の子としては、女の子に負けたくないのか。
実際のところ……バトムスはそういった子供らしい事を考えていなかった。
いざその場面が来たら、嫉妬に駆られる可能性は否定出来ない。
ただ、現時点ではあまりその点に関してバトムスは深く考えていなかった。
本当にただただ現時点では、ルチアが自分に勝つ可能性は少ない。
しかし、前世と違ってより才能という部分が目に見えるところがある。
だからこそ、将来的にはルチアに負けても仕方ないという達観した気持ちを持っていた。
「さぁバトムス、もう一度よ!!!」
「やだよ。次はアルとやれば良いだろ」
「ふふ、そうだね。次は僕と戦ろうか」
「は、はい。戦りましょう!」
アルフォンスと模擬戦を行うとなれば、多少の緊張感はある。
それでも、相手がアルフォンスだからといって手を抜くような真似をするのは、失礼であると解っている。
加えて……そもそも、そんな真似が出来るほどアルフォンスが弱くなく、強いことをルチアは本能的に理解していた。
(割と良い戦いはするけど、やっぱ武器の相性的に、お嬢がアルに勝つのは難しそうだな)
ルチアはパワーだけの人間ではない。
ただ、それはアルフォンスも同じであり、技術だけの人間ではない。
二人とも現時点で魔力は扱えるものの、細剣技や大剣技ほどの技量はないため、ルチアは中々相性の差を覆すことが出来ない……が、大きく引き離されることもない。
「っ、参り、ました」
「ふぅーーーー、ありがとう。やはり、ルチアさんも強いね」
「……まだまだですわ」
先程の模擬戦で、ルチアはアルフォンスに対して決定打と言える一撃を与えることが出来なかった。
にもかかわらず、果たして自分はアルフォンスから強いと言われるほどの実力を持っているのかという疑問が浮かんでしまう。
「…………バトムス」
「なんだ、アルフォンス」
「大剣使いは、何を気にして戦うべきかな」
「…………素人意見だが、お嬢は大剣を持っても鈍くねぇ。脚もそれなりに速いのを考えると、距離を詰めて叩き斬るよりは、押し潰す方が良いかもな」
バトムスは騎士志望の貴族令息たちの動きをあまり見たことはないが、将来的にアブルシオ辺境伯家の騎士になろうと目指している子供たちの動きは何度も見ており……そんな子供たちと比べても、アルフォンスの技術力は頭一つか二つ抜けていると感じた。
武器の相性だけではなく、技術差も相まって中々埋まらない。
「後は……大事な場面での戦いなら、相手の攻撃を食らうことを前提でカウンターを叩き込むとか、な」
「ダメージ前提で、カウンターを…………」
「つっても、お勧め出来る戦法じゃないけどな~~」
受けどころを間違えれば大怪我……最悪死に繋がる戦法である。
周りの騎士たちもバトムスの意見に賛同する者が殆ど。
しかし……気に入らない同世代、バトムスからのアドバイスとはいえ、アルフォンスと本気で模擬戦を行って負けたからこそ……強くなる為の考えとして、ルチアは真剣に考え込んだ。
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