執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?

Gai

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第104話 ある種の若さ

「バトムス。彼らとは、本当にもう会うつもりはないのか」

「彼らっていうのは、ファスラルたちのことですか?」

「あぁ、そうだ」

馬車での帰り道、ゼペルはなんとなく……孫に対し、同じ執事候補の子たちと本当にもう二度と会わなくて良いのかと尋ねた。

ゼペルとしては、バトムスが食事の場ではあぁいった事を言ってしまったが、本当は少しぐらい……彼らに興味を持っているのであれば、祖父ズに伝えて間を取り持とうと考えていた。

「……そうですね。特に会う理由はないかと」

だが、祖父の思いを知ってか知らずか、バトムスはあっさりと本当に二度と会うつもりはないと告げた。

「…………一応、理由を聞いていも良いか」

「特に会う理由がないと思う理由、ですか?」

「うむ」

「ん~~~~~…………その、彼らに対して、物凄く失礼なことを言っている自覚は
あります。あるんですが、特に興味を持てないというか……わざわざ街の外に出てまで会おうとは思えません」

(……失礼な事を言っている自覚がある。それだけで、まだ人間性に問題は無い、と言えるか)

本当に失礼な内容ではあるが、ここ数年バトムスがどういった生活を送っているのか知っているゼペルは、一応理解はしていた。

バトムスの生活の中で、楽しみとなっている時間は鍛冶と錬金術を行っている時間。
そして、従魔で友人であるパーズを戯れている。
後は、美味しい料理を食べている時。

それらは、全て領地内で出来てしまう事。
なので……それらを越える興味を持たなければ、バトムスはわざわざ領地を出てまで彼らと会おうとは思わない。

(移動だけで五日とか使うのはなぁ~~~………………頑張って乗り物マジックアイテムでも造るか?)

興味がない事にプラス、バトムスとしては移動時間がネックであった。

「……もし、彼らがバトムスに会いたいと思い、領地に訪れて来たならどうする?」

「えっと…………いや………………それって、そもそも可能なんですか?」

質問を質問で返してしまうのはあまりよろしくない。
それはバトムスも解っている。
解っているが……一応、現在の立場は執事候補。

だからこそ、ファスラルたちが自分に会いに来ようとしても、容易に実行出来ることではない事を知っている。

「可能か不可能かはさておき、どうする」

「あいつらが俺に会いに、ですか…………まぁ、紅茶ぐらいは出して、適当に喋って……帰ってもらう、って感じですかね」

本当にファスラルたち四人に対して興味が無いからこそ、共に訓練や狩り、模擬戦なども思い付かない。

「なるほど」

「というか、個人的な考えではあるんですけど、あいつらにとって俺なんか、忘れて生活した方が良いと思うんですよね」

ボロカスに負かした側が言うことではないが、会わなければその出来事を思い出すこともなくなっていく。
バトムスとしても興味が無い人間に時間を割かれることもないと、互いに利しかないのではないかと思っていた。

それは……正しい考えの、一つではあった。
ただ、その考えを聞いたゼペルは相変わらずこの孫は考えている内容が末恐ろしいと、普通ではないと思いつつも……その考えに、ある種の若さを感じた。

「ふふ、そうだな……それは、間違っていないだろう。ただな、バトムス。人間というのは、他の生物よりも強く複雑な感情を持つ存在だ」

「……」

「忘れた方が良い記憶になるかもしれないが、彼らはバトムスにあっさりと負けて悔しいだろう。その悔しさの炎は、そう簡単に消えることはない」

「………………そうなのかも、しれませんね」

まだ残っている前世の記憶を振り返るが、その様な思いではなかった。

強く記憶に残っている今世の記憶を振り返るも……やはり、それらしい思いではない。

(鍛冶や錬金術で上手くいかなかった時の感覚か? …………俺があいつらに興味が無いように、あいつらが俺に対して悔しくて……リベンジマッチをしたいって思うのも、あいつらの勝手か)

ゼペルの考えとはやや違うものの、バトムスはノストたちが自分に拘るかもしれない理由に関して、一応の理解は得た。

ただ、正直なところ……バトムスからすれば、困るの一言である。

「けど、申し訳ないですけど、遠慮したいですね」

本当にマルダーたちが細かな事情をクリアし、バトムスが暮らす街、クレステントに訪れたとしても……正直なところ、それ相応の何かを用意してくれなければ、試合は受けたくない。

ただ、相手が祖父の友人の孫ということもあり、素直に言葉にすることは出来なかった。

だがしかし、そこはバトムスの祖父であるゼペル。
そんな孫の考えまで理解しているからこそ、友人たちにそれとなく手紙でアドバイスを送るのだった。
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