盟約の花婿─魔法使いは黒獅子に嫁ぐ─

沖弉 えぬ

文字の大きさ
63 / 70
「光の魔法と黒の呪い」後編

28イオニア・ニュクス

しおりを挟む
 場所を移すと言われて連れてこられたのはアビアストスの昔の私室だった。結婚してからは広い部屋に移り妻と二人で暮らし始めたが、アビアストスの部屋には今もまだ家具などが置かれたままになっている。
 子供の頃にニーマと喧嘩してはデイモナに叱られアビアストスに泣きついていたのを思い出す。あの頃を素直に懐かしむ事の出来ない状況が悔しい。
「……お兄様、子供が出来たと聞きました。おめでとうございます」
 そんな事を思っていたからかカルディアの口調は嫌味っぽくなってしまう。でも、仕方がないだろう。兄は愚かだ。兄やその家族の幸福を守るためにカルディアは嫁いだというのに、その幸福を自らの手で壊そうとしているのだから。
 アビアストスはくすんだ金髪を揺らすように頭を振った。
「我が子可愛さにお前を連れ戻した俺を恨むか、カルディア」
「いえ。ですがこれから生まれてくるお兄様の御子のためにも、僕はシリオへ帰ります」
 決意は固いと伝えるため兄の目を真っすぐに見て主張したが、アビアストスは暗い顔をしたまま俯き、カルディアに背を向ける。
「お兄様!」
「カルディア、聞いてくれ。私は近く王位を継ぐ事になるようだ」
 マーラの事は聞いたかと問われる。「はい」とその一言を答えるのにしばらくの時間を要した。
「陛下は王妃が亡くなった事で随分弱られた。今も体調を崩して休養をとっている。命に障るようなものではないが、母様が居て下さった事が気弱な父様の支えになっていたのだろう。王の椅子を譲ると仰られ、父様は私にある秘密を共有なさった」
 秘密という言葉の持つ不穏な響きに耳を塞ぎたくなる。もうこれ以上、カルディアの知らない祖国を、家族を、見たくないと思ってしまう。
 知らない事は幸福だと、いつか誰かが言っていた。それは確かに一つの心理だと思わされる。だけど知らないから人は間違う事もあるのだ。アビアストスやニーマがそうだ。だから、カルディアは顔を上げる。知らないまま停滞するなら、カルディアは知って前進したい。
「シリオから獅子の王族はやがていなくなるだろう」
 カルディアの方に体を向けたアビアストスの手には小ぶりの鉢植えが持たれていた。時折民家の壁を覆い尽くさんばかりに繁殖していることのあるアイビーだ。蔓から広がる緑の葉は歪な五芒星のような形をしている。
 株を分けたもののようで鉢はカルディアの両手で覆ってしまえるほど小さい。青々とした葉はこれから元気に育っていくように見えるが、鉢を受け取った瞬間カルディアは違和感を覚えた。
「フォトスを出てもちゃんと分かるものなのだな。それには闇のディナミが集まっているんだ」
「闇の? そんなまさか。闇は他のディナミとはまるで勝手が違います。僕らの声には耳を貸さないし、どこにあるのかを探るのも難しい。それに──」
「闇のディナミを扱う事は禁止されている」
「お父様!」
 カルディアの言葉を引き取った父王フローガが、開け放ったままだった扉に手をかけ自分の体を杖で重たげに支えて立っていた。記憶の中より幾分老けた父の姿は母の死による影響だろう。
「私が話そう。椅子を貸してくれ」
 でっぷりとしていた腹も凹んで全体的に萎んでしまったフローガは、彼の気弱そうな雰囲気に拍車をかける。両側から息子たちに支えられながらどうにか椅子に腰を下ろすと、重々しく息を吐き出した。
「このアイビーの子株は、鉢に移して数年が経ったものだ。闇のディナミに浸したせいで生きながら成長がほとんど止まってしまっておるのだ。こいつは生けるものとして歪められ、やがて自壊してゆく運命にある」
 闇のディナミは水や風のディナミと同じようにごくありふれたものだ。日が落ちれば人々は闇の中で眠る。身近に当たり前に存在するものだが、闇のディナミは他のディナミと結びつく事はない。闇は闇のみを引き寄せて、他の全てと相反した。
 闇は時に『無』と言い換えられる。何も見えず聞こえず触れず、方角もなければ上下もない。人々に時の流れを感じさせる光と相反するのだから『無』の中には時間さえも存在しない。それが闇のディナミだ。
 カルディアが学んできた魔法学ではそう書かれている。闇のディナミとは人に手出し出来るものではないと。
「闇のディナミには一定以上集まると『引く力』が生まれる。その力はどんどん傍にある闇のディナミを集めて膨らみ、やがて闇溜まりの一帯に強い停滞を発生させるのだ。これは非常に危険な事だ。故、闇のディナミを研究する事を百年前のフォトス王が禁じた。自身はその力を娘に利用させる事で、シリオの王族を内部から終わらせていく謀を仕掛けながらな」
イオニア・ニュクス永夜の魔法〉と名付けると、娘にその魔法をかけて初代〈盟約の花嫁〉を務めさせた。相反するディナミを無理矢理取り込ませた体はゆっくりと自壊が始まって、終ぞ獅子族の子をなす事なくシリオの地で果てた。続く二代目も出産こそしたが、生まれた子供は体が弱く長く生きられなかった。
 そしてジェサーレの代になり、夜の神の名を持つニクスが生まれる。闇のディナミに強い耐性を持っていた彼女は闇に愛された子として夜の神の名を貰い、ジェサーレと交わり殺す使命を帯びてシリオへと嫁いでいった。
「アスラン・ジェシアフが問題なく成長したのは我が妹ニクスの体質のせいだろう。生まれ持った膨大なディナミとそれに耐えうる体。魔法の素質にも恵まれて、あらゆる魔法を難なく扱ってみせた。勤勉で控えめだったニクスは生得の才をひけらかさず、己に課せられた役目を全うするべく幼少の時分からよく学んだ。闇を受けても平気そうにしていたニクスは秘密を知る者に計画の失敗を恐れらるほどだった」
「……問題なく?」
 十九年この城で育ったというのに、国を出た今になって自分の演じた〈盟約の花婿〉の真実を知らされて腹が立った。だけどそれ以上に、一部の人たちの勝手な思いでアスランの人生が歪められてしまった事がたまらなく悔しい。それに自分も危うく加担させられるところだったと思うとゾッとする。
「僕は……この国が好きです。自分の命をかけて他の国に嫁ぐ事をよしとする程には国を、家族を、愛しています。だけど、フォトスは……きっとフォトスはあまりにも狭すぎるのです」
 過去の自分もそうだった。獅子族、引いては亜獣人というものがどんなもので、どんな考えや思いを持って生きているのかを知ろうとしなかった。
「僕たちの行動が、誰に、どこに、どんな風に影響を及ぼすのかもっと広く視野を持たなくてはいけないのです。ディヴァーサはああ言っていたけれど、僕は獅子族の強さを知っている。ディヴァーサは象族の長の孫です。ディヴァーサの言い分など、象族側が無視してこれを『誘拐』だと認めてしまえば、そうなってしまうんです。フォトスに戦が出来ますか? 負ければ今以上の不幸が訪れ、負けなくとも民は死にます。勝ったとしても、他者を踏みつけにして生きていく事にどれだけの価値があると仰るのです?」
 憤りを全て言葉にしてまくしたてると、寝不足の頭は薄くなった呼吸のせいでくらりと眩暈を起こす。ふ、と一瞬視界が暗転し、壁に手をつき辛うじて転倒を免れる。
「父様を責めないでくれカルディア。お前をここに連れ戻したのは俺が勝手にした事だ」
 性根が優しすぎるせいで気弱な王だと揶揄されてきたフローガにこんな大胆な作戦を行動に移すなど無理な話だ。それは分かっていた。それでも、この国がシリオの王族にしてきた卑怯な手段をその目で見て止めてこなかったのはフーロガの責だ。
 フローガもそのくらいは弁えているのだろう、自身を庇おうとする息子を手で制し、もう一人の息子であるカルディアを見る。
「シリオに戻ったとてお前は子をなす事も出来ず非難され、原因は獅子族にあったとしてもそれを認められず、辛い生涯を送る事になるかも知れぬ。それで構わぬというか?」
「探します、方法を。僕もアスランも幸せになる道は絶対にあります」
「……あい分かった」
 その父の声にはどこか諦観したものが滲んでいた。
「私が咎を受けよう。獅子族に許しを請い、カルディアがシリオへ戻れるように、そしてフォトスへ矛先が向かぬように」
「お父様、それは……」
 父の声音に不穏なものを感じて言葉を詰まらせる。フローガは辛い体をどっかりと背凭れに預けて目を閉じるだけで、それ以上は何も言わなかった。
 俄かに静寂が下りたその瞬間だった。騎士が部屋に駆け込んできて伝令を告げる。
「ほ、報告です。アスラン・ジェシアフと思われる者が森の傍で目撃されたと」
「アスランが?」
 一瞬喜んだカルディアだったが、状況は好転したのか悪化したのかは分からない。
「もう軍を連れてきたのか!」
「いえ、それが、数は三人だそうで」
「寡兵でカルディアを取り戻すつもりか?」
「お兄様、僕に話をさせて下さい」
「しかし……」
「お願いです! 僕はフォトスとシリオが争うところを、大切な人が別の大切な人を傷つけるところを見たくないんです!!」
「カルディア!!」
 言うなり騎士を押しのけて部屋を出る。ほとんど走るようにして階段を下へと下りて会議の間と玉座の間を通り過ぎる。今のカルディアは窓から飛び立つという訳にはいかない。階段を一段一段、降りていく。
 一階につくと騎士が止めようとしたが、騎士がカルディアの腕を掴むより一歩早く城を飛び出した。
 ぱっと開ける視界。緑の天井に、下草の噎せ返るような草いきれがわっと上がってくる。少し前の自分なら、ここから風の力を借りて飛び上がり、森のどこへまでも行けた。だけど今のカルディアは土を踏みしめ己の足で走るのだ。四肢で素早く駆ける獅子たちと同じように、大地を強く蹴って走る。
 シリオの独特の柄と派手な色のローブを蹴り上げ、転けそうになりながら森の端までひた走った。体力の限界が近い体はあっという間に息が上がり、頭はくらくらとしてくる。それでも散々飛び回った森の中で方角を見失う事はなかった。文字通りフォトスの森はカルディアにとって庭だ。訪いのベルが備え付けられた森の入り口を目指して、草が頬を切るのも構わず懸命に前へと進んだ。
 木々の切れ間が増えて森の終わりが近付くと、結界の魔法の気配が強くなる。月からこぼれたディナミを使った森の結界。
 透明の結界の向こうに何かが揺らめく。それがやがて人の形をとり、黒く長い髪を持つ獅子の青年の姿を描いた時、カルディアは迷わず彼のもとへ飛び込んだ。
「アスラン!!」
 僅かにも揺らがずしっかりとカルディアの体を受け止めたアスランの腕に抱かれる。たったそれだけの事でもう何も心配いらないと思える事が不思議で、少しおかしくて、じわりとせりあがった涙の気配を必死に飲み込みアスランの胸に顔を押し付ける。
「カルディア、無事で良かった」
 冷めているのに温かく感じる待ちわびたその声は、カルディアの不安の一切を取り除いた。やはり自分はこの人に出会うべくして出会ったのだと思わざるをえない。
 獅子に絆された? そんな優しげな表現で足りるような感情ではなかった。
 僕の番。僕はこの人が居なくなれば、僕もこの世から居なくなってしまうと今はっきりと分かった。




「あのー、感動の再会のところすみませんねカルディア様」
 アスランの両手がカルディアの頬に伸びて、今まさに唇同士が触れようとしたところで懐かしい声が二人の逢瀬に水を差した。
「ティキ!!」
 素早くアスランの体から離れるとフェネックの長い耳をぴこっと揺らした狐顔がアスランの後ろで笑っていた。その斜め後ろには不味いものでも口に入れたかのような顔をしたクファルもいる。ただでさえ全力疾走して火照っていた体が恥ずかしさでますます熱くなり、両手で自分の顔を扇いで誤魔化す。
「我々が森に入れたという事は、招かれたと考えて良いんですよね?」
 森は彼らを拒まなかった。それはアスランたちに敵意がない事が分かったからなのか、単なる偶然か、カルディアにも分からないがひとたび結界の内側に入ってしまえば結界の外にはじき出されるという事は起こらないだろう。
 うんうんと頷くとティキは笑っているような形をした目から完全に笑みを消して真面目な顔を作る。
「カルディア様を取り戻した今、アスラン様には二つの選択が生まれました。一つはこのまま森を進んでフォトス王と話す事。もう一つはすぐにシリオへ引き返し、軍を使って報復する事」
 アスラン越しにティキを睨みつけるとティキは肩を竦めてやれやれというポーズをとる。「フェネックジョークですのに」
「訳の分からない事言ってると置いていく」
「ま! アスラン様一人ではまたフローガ王にやりこめられてしまいますよ!」
「二度目はない」
「どうでしょうねぇ」
 ティキが居た頃よく見た二人の軽快なやり取りを見て、張りつめていた気持ちが和らいでいく。が、三人から少し離れたところを不満そうについてくるクファルの事はどうしても気になった。
「え、と。クファルは、元気だった?」
 誰に似たのかつり上がった目を更に鋭くしてクファルが唸るように言う。
「無理に話しかけんな。うぜぇ」
 うぜぇ。
 思わず唖然とする。気楽な話し方をするケディが傍に居るが、そんな彼でも使わないような荒々しい言葉にどういう反応を返すのが正しいのか分からなくなってしまう。やり取りを見ていたティキが笑って仲裁してくれる。
「クファル様の仰る通りですから、カルディア様、この方の事は無視してください。万一に備えたただの戦力です」
「そ、そういう訳には」
 いかない、と続く言葉はクファルに睨まれて喉の奥に消えていった。以前にも増して嫌われている気がしてならない。そもそもクファルとの関係は嫌われる以前の問題だったが。
 ふぅ、と疲労の滲む息を吐き出しながら森を引き返す。アスランたちはここまで馬で来ていたが、フォトス側に取り上げられてしまわないよう森の外に隠してきたそうだ。仮に盗まれても獅子の姿になって走るというからこういう時は獣の姿を持つ彼らが羨ましくなる。
「アスラン、どうやって僕がフォトスに戻ったって分かったの?」
 アスランたちはカルディアが森に入ってからほんの数時間遅れでやってきた。追いつく事こそ出来なかったが、ニーマに攫われてからほとんどすぐに犯人と行き先を予測して動かなければ到底出来ない事をやってのけた。
 繁茂した草や木の枝を腕で払いながら、アスランはここに至るまでの経緯を話し始める。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!

水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。 それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。 家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。 そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。 ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。 誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。 「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。 これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

婚約破棄された令息の華麗なる逆転劇 ~偽りの番に捨てられたΩは、氷血公爵に愛される~

なの
BL
希少な治癒能力と、大地に生命を呼び戻す「恵みの魔法」を持つ公爵家のΩ令息、エリアス・フォン・ラティス。 傾きかけた家を救うため、彼は大国アルビオンの第二王子、ジークフリート殿下(α)との「政略的な番契約」を受け入れた。 家のため、領民のため、そして―― 少しでも自分を必要としてくれる人がいるのなら、それでいいと信じて。 だが、運命の番だと信じていた相手は、彼の想いを最初から踏みにじっていた。 「Ωの魔力さえ手に入れば、あんな奴はもう要らない」 その冷たい声が、彼の世界を壊した。 すべてを失い、偽りの罪を着せられ追放されたエリアスがたどり着いたのは、隣国ルミナスの地。 そこで出会ったのは、「氷血公爵」と呼ばれる孤高のα、アレクシス・ヴァン・レイヴンだった。 人を寄せつけないほど冷ややかな瞳の奥に、誰よりも深い孤独を抱えた男。 アレクシスは、心に傷を抱えながらも懸命に生きようとするエリアスに惹かれ、次第にその凍てついた心を溶かしていく。 失われた誇りを取り戻すため、そして真実の愛を掴むため。 今、令息の華麗なる逆転劇が始まる。

処理中です...