うそつきΩのとりかえ話譚

沖弉 えぬ

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一章

11始まりの旅

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 こめかみの辺りがズキズキとする痛みで目が覚めた。最悪の朝だ。ほんの一週間ほどで都は一気に冷え込んで、邑から持ってきた服では少々足りない。場末にある安宿を二泊分だけ取って今日が三日目。つまりもう獬の邑に帰らなくてはならない出立の朝を迎えていた。
 トキは子供の頃から元気で前向きな子だと言われる事が多かった。一晩眠れば嫌な事も気にならなくなるし、落ち込んでもご飯をいっぱい食べればすぐに元気になる。だからこんな事は初めてでどうしたら良いか分からない。
 都は獬の冬よりずっと暖かいのに布団から出たくなくて寝台の上でもぞもぞ動いて何度も寝返りを繰り返す。そのうち喉の乾きが限界になって仕方なく起き上がった。
 食堂もついていないような安宿だったが、一杯の水くらいは頼めば貰えるだろう。そんな事を考えながらも着替えるのが億劫で仕方がなく緩慢に着替えていく。
 さらばだ、俺の番計画。
 我ながら穴の無い完璧な作戦だと思っていられたのは邑を出るまでの話。いざ都に来てみれば他人の助けがなくては候補戦に参加する事さえ出来ず、参加してみれば己の勉強不足や経験不足を痛感させられて、終いには番候補を募った本人から候補戦は初めから『誰にも勝利を与えない事』が決まっていたと明かされた。つまりは出来レース。親切だがお喋りが止まらない男の言った事が、ある意味当たっていた訳だ。
 オメガの発情期と薬のせいで興奮しながら試験の結果を聞きたがるトキに、ヒヨクは無情にも「番には誰も選ばれない」と説明した。
 形だけの候補戦はシカの言っていたように各邑と政治的な繋がりを強めるという目的のためと、ヒヨク曰く『王子』の能力を試すためだったという。髭やら仮面やらつけていても一部の官僚はヒヨクの顔を当然知っており、アルファとして振る舞う事が可能かどうかを見極めていたというのだ。
 そんなものに振り回される貧乏人の身にもなってほしい。なけなしの路銀でずるずると都に留まっているトキの言えた義理ではないが。
 しかしである。トキの計画は全くの失敗だったという訳でもない。当初の目的の半分、いや三分の一ほどは達成出来ただろう。トキはさながら『迷惑料』のようにして貰った巾着のずっしりとした重みを確かめてそれを懐に収める。トキが邑の困窮を訴えたせいだと思うと恥ずかしくて情けないと思うのに、番になれずに帰郷するなら受け取らない選択は無かった。トキがアルファだった事も黙っていてくれるらしく、誰に咎められる事もなく王宮を出る事が出来た。
 後は晴れ着を売って少しでも足しにすれば、邑の者たちに手伝ってもらった恩返しくらいは出来るだろうし今年の冬も乗り越えられる。だからもう家に帰って良いのだ。トキは十分頑張った。
 だが、トキの気分は一向に晴れない。気が付くと梅の花の匂いが記憶を掠め、薄紅の髪を乱してうなじを覆い隠す指の細さを思い出す。上目遣いにトキを見上げた薄紅の瞳は発情期のせいで濡れていた。まるで、熱で溶け出した透明な蝋を塗ったような艶のある目は本能と理性の間で揺らいでいた。
 トキは母にオメガを持つ。オメガの発情期なんて何度も見てきたというのに、母とヨクヒでは何かが違っていた。いや何もかもが違っていた。母の発情期に興奮する自分なんて想像しただけでゾッとする。
 ヒヨクの姿を思い出しただけで興奮してしまい頭痛が悪化したので、いよいよ観念して荷物を担ぎ泊まっていた部屋を後にした。
「あ、ちょっとちょっとお客さん。あんなもん店の前に停められちゃ困るよー」
 水を貰おうと宿の店主のところに向かうとトキが声を掛けるより先にしかめっ面で言われた。
「はい、え、俺?」
「そうそう。荷車が店の前塞いじゃってるんだから。早く退かしてくれないかなぁ」
「荷車? いやそれ俺のじゃ」
「何でもいいから、ほら早く」
「はぁ……」
 水の一杯すらもらう暇も無く宿から追い出されて困惑しながら、停められたものとやらを見て更に困惑を深める。
「あの、やっぱこれ俺のじゃねぇっすよ」
 二輪の荷車に大きな桐の箱が丈夫そうな縄でがっちり荷台に固定されて停められており、大きな通りに出る道を荷車が完全に塞いでしまっていた。
「でも遣いの人が来てお客さんの事を言ってたけどねぇ。黒い髪に緑の目なんて、お客さんしか泊めてないよ」
 黒い髪に緑の目は獬ではさほど珍しくないが、火の大邑ではほとんど見かけない。候補戦が終わった今場末の宿に泊まり続けている木の大邑の人間などトキくらいのものだろう。
 荷車なんて道行きの邪魔にしかならないので必死に自分ではない事を訴えたが、店主はトキのものかなど最早どうでも良いらしく、とにかく営業妨害になるから退かしてくれの一点張りだった。
 店主の説得を諦め宿を出て、随分と上等な桐の箱を見下ろす。角に花文様の飾り金具が施してあり桐材も上質な物を使ってある。良い身分の人が使う、やはり良い衣でも入っていそうなそれはしかし、衣を収めるには些か高さがあった。ちょうど大人一人が入れそうなくらい縦も横も奥行きもある。
 え、人……?
 試しに把手とってを持って少し動かしてみる。思った通り、重い。とても獬まで引いていける重さではなく、無理に持っていこうとしたら休憩する回数が増えて無駄に路銀を多く使う事になりそうだ。
 役所に届けよう。それが駄目なら。
「どこかに捨てよう、とか考えてないかい?」
「うわっ、で、出っ!!」
「いやぁ俺との再会をそんなに喜んでくれるなんて! 感動だよトキ!」
 ばっと両腕を広げた姿を見て冷静になったトキは安心しつつも何故か少し残念な気分になった。
「シカかよ……」
「君の心強い味方のシカさ!」
「味方ぁ? 何でもいいけど、これあんたの仕業か?」
「そ」
 片目をつむってシカは立てた親指で大通りがある方角を示す。そちらに出ようという意味のようだが、何故トキがこの荷車を運ばなくてはならないのか。何だか腑に落ちないものがあるが宿の店主が凄まじい形相で睨んでいるのに気付いてしまったため、ここは一旦退散する事になった。

「とりあえず俺に騙されたと思って荷車を都の門まで運んでくれよ」
 本当に騙されていそうだが生憎シカはやけに大きな荷物を抱えていた。籐で編んだ籠に帯のような物を二本縦に通して肩に背負っているがシカ自身は旅装ではない。最後に宮中で会った時とさほど変わらない普段着だ。思えばシカは候補戦に参加しておきながら一切めかしこんでいなかった。本当にやる気が無かったんだなと思う反面、案外そういう人間の方が最後まで候補として残っていくのだから世の中不思議だ。
「俺まさかシカが背負ってる荷物まで担がされんのか?」
「え? いやいやこれは――」
「おいそこの者ら、止まれ。これより先は検問を済ませた者からだ」
 そうだったな、という思いで立派な楼門を見上げる。楼門とは大雑把に言えば二階建ての門の事だ。虎の邑の玄関口である北の楼門は王宮の建物と同じく赤が基調になっており、釉薬を塗った緑の立派な屋根瓦が葺いてある。扁額には『大火小虎』という文字が刻印されていて、これは大邑が火で、小邑が虎という見たままの意味だ。獬にもこんなに立派ではないが、そこから先が獬の土地である事を示す立札がしてある。
 国最大の都市である虎の邑には検問が設けられており、簡単な荷物の検査と身分証明のために旅券を確認される。初めてここを訪れた時も検問を通ったのだがすっかり頭から抜けていた。
 慌てて荷物から旅券を探り出し、次いでシカを振り返る。
「何だい?」
「荷台に載ってる箱の事、俺は責任持たねぇぞ」
「俺を信じてよ」
 疑わしい。
 検問の順番が回ってくると極力自分の荷物だと思われないようシカの方に荷車を押しやったが、シカが旅装ではなかったせいか結局トキが荷台の箱の中身を問われる事になった。
「おい、中身は何だ?」
「いやー俺も……あ、いや、どうぞ開けて確認して下さい」
 知らないなんて言えば疑ってくれと言っているも同然なので笑顔を作って検問に協力的な人間を演じておく。そのトキの機転に「ほう」とシカが感心している。何が「ほう」だやかましい。
 門衛は蝶番で留められた桐の箱の蓋を持ち上げる。物が上等過ぎるせいでさながら宝の箱を開けているみたいだ。
 中から出てきたのはたくさんの布を敷き詰めた上に載った金属の細長い筒だった。それを見たトキと門衛は同時に首を傾げる。
「何故お前が不思議そうなんだ」
「えっとー……」
 シカを睨むと待ってましたと言わんばかりに笑顔になって荷車の隣に立つ。
煙管キセルですよ。ご存じありません? 煙草の葉っぱをこの先端に詰めて火をつけると煙が上がってきましてね? ほらこっちの吸い口から」
「ええい煙草くらい知っている! 何故たった一本の煙管にこんな大きな箱を使っているのかを説明しろ」
「ふむふむ、こちらはですね、なんとあの王子の番候補戦の返礼品なんです。こちらの方は番候補として候補戦に参加なさったのですが残念ながら王子のご寵愛を頂く事は出来ませんでした。しかしせめて持参していた酒でもといって献上とすると、その酒の味にいたく感心なさった王子様がお礼として愛用の煙管をお譲りなさったんですよ。これは家宝にせねばという事で傷がつかないよう布を緩衝材にたくさん敷き詰めてここまで」
「分かった。分かった! もういい通れ」
 口を挟む隙を一切与えない矢継ぎ早な説明に、門衛は耳を塞いで苛立たしげに手で追い払う仕草をした。「どうも」と素早く礼を言ってシカと共に楼門を抜けて虎の都と別れを告げた。感慨も何もないあまりにも慌ただしい出立だった。

 楼門が見えなくなると、嘗て民家があった名残りの朽ちた石垣の陰に周り込んでここまで何故かトキが引っ張って来た荷車を地面に下ろす。
「重過ぎる! おいシカ! 絶対に煙管だけの重さじゃなかったぞこの箱!」
「それはそうでしょ」
 つまり煙管は目くらまし。
 もし仮に、煙管のクッションになっている布が一枚しか入っていないのだとしたら、小柄な大人なら布を被ってやり過ごせるくらいの大きさの桐の箱。門衛に荷を検められても楼門を抜けてここまで来る間も、そもそもトキが宿でぐずぐずしていた頃からずっと箱は静かに荷台に積まれていた事を想像する体の芯から震えが上がってくる。
 怪しい。いや布しか入っていないなら何もおかしくないが、把手を握っていたトキの腕に伝わる重さが尋常ではないものが入っていると言っていた。
 ごくり、と生唾を飲み込む。
 シカは何の気負いもなく箱を荷台にくくりつけていた縄を解き始める。留め具が外れ、蓋が開くと変わらず煙管が載っているが。
「おい、待てよ……まさかその箱、し、しし、死体が入ってるんじゃ……っ」
 トキの制止など一切聞かずシカは煙管を退かし、刺繍の入った妙に上等な赤い布を勢いよく捲り上げた。
「やめ――」
 恐怖に顔を引きつらせて咄嗟に腕で視界を覆ったトキに、「臆病者め」というどこかで聞いた声が呆れた声を出した。
「へ……は?」
 紅梅色の髪をボサボサにした男が桐の箱から出てくる絵はあまりに滑稽だったが、そんな事も気にならないほどトキは茫然となって男の姿を凝視する。
「ヒヨク、様……?」
 薄紅の髪、同じ色の瞳、猫のようにツンとした眦、桐の箱の中に閉じ込められていた梅の花のような甘い香り、そしてそのどこか取り澄ましたようなつっけんどんな口調。それらをじっくりと見て『居る』という実感が伴うと、候補戦の真相を聞かされた時からトキの胸の中に蟠り続けたものが溶け始める。
 また、会えた。
 候補戦に勝ち残れなかった事よりも、邑に恩返しが出来ない事よりも、家族を助けられない事よりも、ただ、彼と二度と会えない事が寂しかったんだとトキは自分の感情を理解する。そのせいで目的も無いのに宿までとって都にずるずると滞在していたのだ。自分はまた何かの偶然で彼に会えないかと期待していたのだ。
「様はよせ。これからそなたと俺は友だからな」
「とも……お供?」
「違う。友人という意味だ」
 肩に下げていた荷物を取り落としそうになって慌てて持ち直す。シカが二人のやり取りを見てにやついている。
 ヒヨクは至って冷静にそして真面目に自身の身なりを軽く整えると、シカの手から自分が被っていた赤い布を受け取り広げて羽織る。ただの布だと思っていたものは外套だったようだ。袖の無い形の外套で、襟に当たる部分にふさふさの毛皮がついている。何の毛かは分からないが暖かそうだ。
「ヒオの事は頼んだぞシカ」
「はい」
「それにしても多いな。もう少し中身を減らせぬのか?」
「いいえ、ヒヨク様の旅路に絶対に必要な物を厳選して参りましたので、必ず全てお持ち下さい。持っていかないと仰るなら、このシカ、今から急いで門に引き返して警邏隊を呼ぶよう訴えてきます」
 ヒヨクはムッとした顔をしながらもシカが背負っていた籠を受け取った。
 トキをおいてけぼりにしてどんどん進む話に慌てて待ったをかける。
「待て、待てって。旅?」
 ヒヨクと自分を交互に指差して首を傾げる。うん、とシカがさも当然といった様子で頷いた。
「ヒヨク様をお連れして、どこでもいいから旅をしてくれるかい、トキ」
 シカの態度には有無を言わせない圧のようなものを感じる。だが何も聞かず黙ってこの国の王子を連れ去ってくれと言われて、はいやります、と即答出来るのは英雄か阿呆だ。
 難しい事を考えるのは得意ではないトキにも、ヒヨクの旅に何か秘密がある事くらい想像出来る。それに、邑の事もある。
 逡巡するトキだったが、ヒヨクが下からトキを見上げ「連れて行ってくれまいか?」と顎を引くと、トキは両手で顔を覆って声にならない声で唸って「分かりました」と了承した。
「うむ、参ろうか」
 気のせいでなければ今トキは騙されたようだ。甘えるような雰囲気は一瞬で影も形もなくなりシカは澄まして先に歩き出す。
「任せたよトキ。君の邑の事は心配いらない。ヒヨク様のお供をするんだからそれなりの褒美を期待していいよ。ま、もう既に送ってあるんだ。だからその懐に入ってる金子はヒヨク様と二人分の路銀に使ってくれ」
「簡単に言うけどなぁ」
「いいのかなぁ、断って」
 シカはヒヨクが会話を聞いていない事を確かめてからトキに耳打ちする。
「君が実はアルファだったって宮中の人間に知れたらマズイんじゃなぁーい?」
「脅すのかよ!!」
 いきり立ったトキがシカに掴みかかろうとすると、シカはひらりと体を捻って上手く躱してしまう。この男、実は出来る奴のかも知れない。
「ま、頼むよ。仕事だと思えばいいのさ。気になるならまずは邑に帰ってみなよ。きっとみんな喜んで君とヒヨク様を迎えてくれるはずだから」
 ほらほら、と背中を押されて急かされる。重そうな籠を背負ってもう大分先に行ってしまったヒヨクはなんでもない木の傍に立って上を見上げている。何だかその危なっかしい後ろ姿を見ていると、トキが断ってしまった後のヒヨクが心配になってくる。
「分かったよ。これで邑に帰って何も変わってなかったら、獬の邑から嘆願書出すからな!」
「うんうん、その威勢の良さでどうかしっかりヒヨク様を守っておくれよ。じゃあねトキ。また会おう!」
 ご機嫌で手を振るシカを見ていると調子がずらされる。そういえば前にもこんな風に毒気を抜かれた事があったと思い出した。口が上手いシカにはどう足掻いてもトキは勝てそうにないなと諦めて、木のところでぼんやりしているヒヨクの後を追った。
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