うそつきΩのとりかえ話譚

沖弉 えぬ

文字の大きさ
25 / 29
二章

25海の香りのする少女

しおりを挟む
 濃紺の長い髪が馬の背中ではためいた。
「あなた、候補戦の!」
「南部の姫様じゃねぇか!」
 お互いに指を指して驚愕するトキと少女。濃紺の髪と同じく濃紺の瞳は『水の大邑』出身の特徴だ。彼女の名はミスイ・ミ。『豹』の邑長の長女で番候補戦の最後まで残った四人のうちの一人だ。
「こんなところで何してんだよ?」
「それはこっちの台詞よ! 私はとある方を探して来たのよ。ねぇそれより、そちらの方は……?」
 ハッとしたのはヒヨクだけではなかった。烏の邑で候補者だったツキヒと遭遇した時はトキの機転で難を逃れたが、今回は逃げ出す暇もなくばったり正面から出会してしまった。
「ヒオ様の、ご兄弟……?」
 ミスイは一目でヒヨクがヒオではないと見破って、ミスイは疑いと当惑の入り交じった眼差しを向けてくる。
 カク先生を探して旅をすると決めた時、ヒオの顔を知っている人間と出くわしてしまう事を考えなかったわけではない。しかしそれにしてもこうも上手い事候補戦に残った者たちと行き合ってしまう自分の運の悪さ、或いは運の良さには呆れてしまう。
 兄弟と認めても認めなくてもおかしくなる状況で咄嗟にシカの事を思い出し、従兄弟だと言ってしまおうと決めたがミスイの方が先に口を開いた。
「今はそれよりも訊きたい事があるの。北出身の医者を知らない?」
 トキと顔を見合わせる。
「カク・スの事だな? 今はイと名乗っておるようだったが」
 焦っていた様子のミスイの顔付きが真剣なものに変わる。
「何か知ってるのね? お願い教えて」

「ヒオ様が、ふ、双子!?」
 ざぱん、と波の音がした。間もなく満潮が近い。
「顔が似てるからって騙そうとしてるんじゃないでしょうね?」
「あんたを騙して何になんだよ姫様」
「それもそうね……ってあなたは黙っててよ、部外者なんだから」
「相変わらずきっつい性格してんな」
「うるさいわね!」
 ぴしゃりと言ってミスイは腰に手を当てる。何と表現したものか、嵐の日の海のように苛烈な性格の少女だ。オメガだと言われてもまだ信じられないくらいにはオメガ離れした気質の持ち主である。アルファのトキさえもたじたじになってしまうのだから彼女は強い。
 ミスイにはヒヨクたちがカク先生を探していた事と、彼には既に家庭があって王宮には戻れない事を話した。その流れで双子の事まで話すとミスイは困惑していたが、思いの他すんなりと納得した。
「私、ヒオ様がベータだって事知ってるの。それなのに番候補戦のお触れが出てどういう事か分からなくて。でも双子だって聞いて納得したわ。あれはヒヨク様の番を見つけるためのものではなかったのね」
「候補戦が形だけのものである事には違いないな。だが俺はオメガだ」
「えっ、じゃあツキヒちゃんはどうして番に選ばれたのよ!?」
「知ってたんだな。ツキヒに聞いたのか?」
「……そうよ」
 途端にミスイの表情に複雑なものが入り交じる。浅からぬ仲であるらしいツキヒとヒオとの間でこの少女もまた思い悩んで来た事が分かる。
 ツキヒの事についてはヒヨクにも分からない事の方が多く、確かな事は話せなかった。せめて彼女の懸念を一つでも晴らしてやろうと、恐らくツキヒを番に決めたのはヒオの意思ではないだろうという事だけでも伝えるとミスイは分かりやすくほっとしていた。
「それで? ミの姫様は何でそんなにヒオの事に詳しいんだよ」
「馴れ馴れしいわね嘘つきアルファ。ヒオ様は十一歳の頃から去年まで豹の邑で療養されていたのよ。もちろん、身分は秘密でね」
「へぇ、南部の療養先って豹の邑の事だったのか」
「して、ミスイよ。何故カク先生を探しておったのだ?」
 ヒヨクが問うと今度は顔を曇らせた。トキに負けず劣らずよく表情の動く娘だ。
「候補戦のあと、二人はずっと旅をしていたのよね?」
「おう」
「じゃあ……聞いてないわよね。ヒオ様がお倒れになったの」
「ヒオが!?」
「落ち着いて。命に別状は無いそうよ。宮中にはうちと縁のある侍女が居るのだけど、彼女によるとご公務が重なって少し無理をなさったみたい。疲れが原因だと手紙にあったわ」
 それでも心配な事にはかわりない。カク先生の事を頼れない以上、もはやヒヨクが国中を旅する目的はなくなった。一刻も早く都に戻って公務を代わってやるのがヒヨクに出来る唯一の事だろう。
「カク先生の事は仕方ないわ。別に居なくても他の医者に頼めばいいのだし」
「他の医者だと? 俺はカク先生にしか調合の分からぬ薬があると聞いていたが、もしやそれすらもヒオの画策か?」
「ヒオ様がそんな事を? カク先生にしか作れない薬なんて初耳だわ」
 つまり、宮廷医だったカク先生をヒオの療養に同行させるという口実のためだけに『カク先生にしか分からない薬の調合法』という話をでっちあげたのだ。数年に渡ってヒオの療養生活を見てきたミスイには思い当たる節があるようで、「さすがヒオ様ね」と半分呆れている。その表情には親愛が見え隠れしており、ミスイが候補戦に参加した理由を確信する。
「ヒオ様の薬はうちが輸入しているの。どうせあなたたちも都に戻るんでしょう? だったら一緒に行きましょう。これから私は一旦薬を準備するために家に戻るわ。ついてきて頂戴」
 ミスイの決断力は凄まじく、ヒヨクたちの答えを待たずに全部一人で決めてしまった。とは言え異論はなく、威勢の良い掛け声と共に馬を引き返したミスイをヒヨクとトキも急いで追いかける。

 ミスイはまず豹の邑にある自分の実家に立ち寄った。旅支度をするためだ。どんどん家の奥に行ってしまうミスイにさすがに気後れしながらついていくと、すれ違った家人から「まぁ」と驚かれた。ヒオと勘違いされたのだと分かると「い、従兄弟だ」と誤魔化しておく。
 思った以上にヒオは豹の邑で顔が広かったらしい。火の大邑の良家のお坊ちゃまと言って身分を隠し、ミ家の離れで療養していたが、ミ家で手伝いをしていた近所の女性たちや子供たちとは面識があるどころか大分親しくなっていたようで、ミ家が近付くにつれてよく声を掛けられた。
 もしまたヒオがこの邑で療養するような日がくるとしたら、自分は邑人たちに余計な疑惑を持たせてしまったかも知れないと不安になった。しかしヒヨクの不安を感じ取ったトキが「本当の事を国の人全部に教えるんだから余計な心配するな」と励ましてくれる。
 段々と冷静になってくるとトキと話した事はやはり実現出来ないのではないかと弱気になってしまうが、『王子』の真実を話す以外の策が浮かんでこない事もまた事実だった。
 トキが信じてくれる自分を信じよう。そして自分が信じる家族を、信じてみなくてはいけないのだ。
 ミスイは自分の部屋までやってくると早速荷造りを始める。女性の部屋に入るのはさすがにまずいと狼狽えるとミスイに叱られた。「ヒオ様はうちの家全部知り尽くしてるわよ」
「うちの弟がすまぬ」
「へぇ、ヒオ様の方が弟なのね?」
「あ……ああ、そうだ」
 自分が一つ年下の弟であると決まった日から、ヒヨクは決してヒオの事を弟と呼ばないように細心の注意を払ってきた。それが今自然とヒオの事を弟と口に出してしまい、自分の心の変化に戸惑いが生まれる。しかし今にして思えばやはりヒヨクは心の奥底では自分が弟である事に抵抗を覚えていたのだとふと気付く。ヒヨクがヒオの事を『兄』と呼んだのはたったの一度きり。昏睡から目を覚まし、記憶の覚束ないはっきりとしない頭で父に答えたあの日だけだ。以来、ヒヨクは頑なにヒオの事を兄とは呼ばなかった。賢いヒオはきっとその事に気付いていただろう。
「あ、これカク先生が残していったものよ」
 と言ってミスイが見せてくれたのは、厚みのある冊子。ヒオの病の治療に使った薬などを一覧にしまとめたものだ。
 ミスイによると、カク先生も早々に姿を消した訳ではなく最初の半年ほどはヒオの体調を診ていたという。長年主治医をしていただけの事はあって、ヒオの薬や食事の相性はよく調べられていた。
「それ、ヒヨク様にあげるわ。私は全部覚えてるから」
「これを全部?」
「ええ。交易のために船を出す時は私もついていく事があるのだけど、なるだけヒオ様に滋養のつくもの食べて頂きたくて、海を渡った先で見つけたら買い付けるようにしていたの。そうしたら、自然とね」
 テキパキと旅に必要な荷を作っていくミスイは事も無げに言う。
 ヒオの体調が南部の療養で劇的に回復した理由が今分かった気がする。確かに国内では流通しない薬がヒオの虚弱体質に効果があったのかも知れないが、この少女の献身が何よりヒオの体をよくしたのだ。
 それを裏切るような形で番の触れを出し、更には彼女の幼馴染みであるツキヒを番として娶ろうとしているヒオは、今一体何を考えているのだろう。
「カク先生の事を訊ねてもよいか?」
「あの人は半年ほどで居なくなったわ。それでもヒオ様の主治医としてはうちの邑の医者よりずっと腕が良かったから探していたんだけど……仕方ないわね」
 カク先生はヒオの虚弱な体質についても調べていたが成果は芳しくなく、気付けば姿を消していた。それを知ったヒオはカク先生の事は探さず王宮にも伝えないで欲しいと頭を下げた。恐らくその時にヒオは先生が逃げる手引きをしたのだろう。
「一年以上も豹を離れておられたから心配で、先日の候補戦の時に少しだけ薬をお渡ししたわ。でもどうせすぐに必要になるからと思って取り寄せておいたの。もう船が帰り着いている頃よ」
「まさかあんた薬を渡すためだけに候補戦に出たのかよ!?」
 よく分からんという顔をして薬の冊子を見ていたトキが勢いよく顔を上げる。それに対しミスイは当然だという顔をして頷く。
「悪い? もちろん候補戦の事だって気になってたわ。ベータが一体どんなバースと番になるって言うのよ。でも、何も教えて下さらなかった。一年ぶりにお会いするのに、ヒオ様は何だかお変わりになっていた……」
 ミスイの声が尻すぼみに聞こえていく。
 療養を終えて都に戻ると決めた時、ヒオも誰も知らないところで覚悟を決めたのかも知れない。
 だけど本当にそうだろうか? ヒオは覚悟を決めきれているのだろうか?
 ヒヨクは自分の覚悟が甘かった事をトキに暴かれて、自分はまだ王子である事に強く未練を残していると知った。ヒ
 ヒオと話をしなくてはならない。自分は双子である事、そしてオメガでありながらやがて王になりたいと思っていることを、ヒオに伝えなくてはならない。
「ところでさ、ミスイは何でそんなにヒオの事に必死なんだ?」
「好きだからよ」
「はん?」
「ヒオ様の事をお慕いしてるのよ!」
 頬を膨らませてミスイがぷりぷり怒るので、トキが「分かるかよー」と情けない声を出す。
「トキはちと鈍感なようだな」
「あんたに言われたくねーよ!」
 ミスイの荷造りが終わると、次は豹の邑の港の方へと向かう。

 海岸線の先に大きな船が停泊しているのが見えた。縄で係留された大人が二十は乗れるかという大型船は近くに行くとその巨大さにますます圧倒されて思わず感じ入る。
 近付いて来たトキが神妙な面持ちで船を観察していたかと思うと何故か突然わなわなと震え出した。
「これ、ナラだよな!?」
「オーク材というのよ。異国の呼び方ね」
「こいつのせいで俺んとこの仕事がなくなっちまったのか……!」
 トキが実に様々な感情の籠もった目で船の側面を見つめる。恐らく良い木材だと認めざるを得ず、その反面実家の貧しさを思って悔しくなるのだろう。悔しがるトキの事など一切構わずさっさと倉庫に入っていく。塩害に強いという特性があるからかやはり漆喰壁の真っ白な倉庫。中は水夫たちの活気ある声で賑わっており、ミスイは父の元に向かって薬を貰う許可を取りに行った。
 渡来の様々な品が並ぶ倉庫を何気なく見て回っていると、ふと異国情緒溢れる服を見つけてヒヨクは足を止めた。存分に豹の船を見て悔しがってきたトキがヒヨクを見つける小走りで駆け寄ってきて隣に並ぶ。
「この服すげぇ派手だな。ヒヨクはこういうの好きなのか?」
「いや、俺には都に入るための旅券が無い事を考えていた」
「うわ、そうか……! どうする? またどっからか荷車借りてきて一芝居打つか?」
「それでも良いが、ここにある服を一式買い取って変装するというのはどうかと思ってな」
 木箱の上に広げられた服をためつすがめつして眺め、トキが片方の眉を持ち上げた。
「俺には小せぇな」
「トキが変装してどうする。変装するのは俺だ」
 ポンッと手を叩いてトキはすぐにミスイを呼びに行った。事情を説明している声が聞こえてくるがその中に何故か『化粧』という単語が混じった気がして、はてと首を捻る。
 程なくして、その答えはすぐに分かった。

 さすがに交易が盛んな邑だけあって全身を映す程の大きな銅鏡が邑長の家に飾ってあった。王宮にある物と比較しても遜色ない銅鏡を前に、ヒヨクは固まっていた。無論、鏡の大きさに圧倒されたのではない。
「思ったより似合うじゃない! ヒオ様もどちらかというと女顔だったものね」
 化粧を施し短い髪でも違和感がないようビーズがたくさんついた帽子を被り、大きな耳飾りをつけた姿はそれだけで既にセイシンの者ではなく見える。梅の花のような紅梅色の髪も大部分が隠れて確かに変装には持ってこいだが、化粧を施した自分の顔に視線が吸い込まれていたたまれなくなる。
 肝心の服装だが、襟のある長袖のワンピースの上から袖の無い長いチュニックを着て腰の辺りにベルトを巻いて身に着けるもので、何と『女性用』の異国の衣装だった。なるほど道理で化粧をされて、鏡越しにヒヨクを見てトキが爆笑するはずである。
「そんなに笑うな」
 眉をキッと釣り上げるとごめんごめんとなおざりに謝られる。しかしすぐに笑いを引っ込めると、ヒヨクの顔をじっと見つめてからうなじのおくれ毛に触れて言う。
「可愛い、似合ってる。髪が長かったらもっと似合いそうだな」
 うなじの辺りがゾワゾワとして一気に頬が熱くなる。トキに褒められ満更でもない様子のヒヨクを見て、鏡越しに緑の目が柔らかく撓んだ。
「ねぇ……あなたたちって、もしかして番?」
 鑑の中の赤と緑の目がいっぺんに振り返ってミスイを捉えた。
「番じゃない!」
「番ではない!」
 絶妙に揃わない二人の反論に、一拍遅れてミスイが笑い出す。
「何故、番だと思ったのだ?」
「雰囲気。私、今すっかり蚊帳の外だったもの」
 ミスイは化粧道具を片付けて、ヒヨクの顔から化粧を落としていく。ここから虎の邑まではまだ少し距離があるので変装するのはもっと虎の邑に近くなってからだ。
「この傷一つない綺麗なうなじを見てなかったら、番じゃないなんて信じられないくらいね」
「そう、なのか……」
 ミスイの話を聞きながら、ちらりと鏡越しにトキをうかがう。また目が合って、ぱっとお互い逸らしてしまう。それを見て、ミスイは柔らかい笑い声を立てていた。
 女装は不本意だが化粧で顔を変える口実に使いやすく性別を偽る事で更に疑われにくくなる。トドメに出身国を南の国へと変えて、ヒヨクは海の向こうから訪れた薬の販売人という設定になった。
 トキは候補戦で面識を得たミスイの所に出稼ぎに来た奉公人というていだ。
 三人は馬に跨り荷馬車を引き連れ一路都を目指す。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

月兎

宮成 亜枇
BL
代々医者というアルファの家系に生まれ、成績優秀な入江朔夜は、自らをアルファだと信じて疑わなかった。 そうして、十五歳の誕生日を迎え行われた、もう一つの性を判定する検査。 その結果は──『オメガ』。 突きつけられた結果に呆然とする彼に、両親は朔夜に別の場所で生活する事を提案する。 アルファである両親はもちろん、兄弟にも影響が及ぶ前に。 納得のいかない彼ではあったが、従うしかなかった。 ”オメガバース” 男女とは違うもう一つの性。 本来の性別よりも、厄介なもの。 オメガという判定を受けた朔夜と、小さい頃からの幼馴染みである、鷲尾一真、そして、水無瀬秀。 彼らはもう一つの性に翻弄されながらも、成長していく。 ・ こちらは、『女王蜂』の一真と朔夜の中学生〜高校生にかけての物語です。 ストーリー重視のため、過激な描写はあまり(ほとんど?)ありませんが、中学生×中学生のシーンがありますのでご了承ください。 また、こちらの更新は不定期になりますので、もし興味を持って頂けましたらお気に入り登録をしてくださると嬉しいです。 よろしくお願い致します。 ※表紙は『かんたん表紙メーカー』にて作成しています。

泡にはならない/泡にはさせない

BL
――やっと見つけた、オレの『運命』……のはずなのに秒でフラれました。――  明るくてお調子者、だけど憎めない。そんなアルファの大学生・加原 夏樹(かはらなつき)が、ふとした瞬間に嗅いだ香り。今までに経験したことのない、心の奥底をかき乱す“それ”に導かれるまま、出会ったのは——まるで人魚のようなスイマーだった。白磁の肌、滴る水、鋭く澄んだ瞳、そしてフェロモンが、理性を吹き飛ばす。出会った瞬間、確信した。 「『運命だ』!オレと『番』になってくれ!」  衝動のままに告げた愛の言葉。けれど……。 「運命論者は、間に合ってますんで。」  返ってきたのは、冷たい拒絶……。  これは、『運命』に憧れる一途なアルファと、『運命』なんて信じない冷静なオメガの、正反対なふたりが織りなす、もどかしくて、熱くて、ちょっと切ない恋のはじまり。  オメガバースという世界の中で、「個」として「愛」を選び取るための物語。  彼が彼を選ぶまで。彼が彼を認めるまで。 ——『運命』が、ただの言葉ではなくなるその日まで。

ヒートより厄介な恋をα後輩に教え込まれる

雪兎
BL
大学三年のΩ・篠宮湊は、何事も理屈で考えるタイプ。 ヒート管理も完璧で、恋愛とは距離を置いてきた。 「フェロモンに振り回されるのは非合理的」 そう思っていたのに――。 新学期、同じゼミに入ってきた後輩は、やたら距離の近いα・高瀬蒼。 人懐っこくて優秀、なのに湊にだけ妙に構ってくる。 「先輩って、恋したことないでしょ」 「……必要ないからな」 「じゃあ俺が教えますよ。ヒートより面倒なやつ」 余裕のあるα後輩と、恋に不慣れなΩ先輩。 からかわれているはずなのに、気づけば湊の心は少しずつ乱されていく。 これは、理屈ではどうにもならない “ヒートより厄介な恋”を教え込まれる物語。

ネガティブなΩがスパダリαから逃げる

ミカン
BL
オメガバース

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

【完結】Ωになりたくない僕には運命なんて必要ない!

なつか
BL
≪登場人物≫ 七海 千歳(ななみ ちとせ):高校三年生。二次性、未確定。新聞部所属。 佐久間 累(さくま るい):高校一年生。二次性、α。バスケットボール部所属。 田辺 湊(たなべ みなと):千歳の同級生。二次性、α。新聞部所属。 ≪あらすじ≫ α、β、Ωという二次性が存在する世界。通常10歳で確定する二次性が、千歳は高校三年生になった今でも未確定のまま。 そのことを隠してβとして高校生活を送っていた千歳の前に現れたαの累。彼は千歳の運命の番だった。 運命の番である累がそばにいると、千歳はΩになってしまうかもしれない。だから、近づかないようにしようと思ってるのに、そんな千歳にかまうことなく累はぐいぐいと迫ってくる。しかも、βだと思っていた友人の湊も実はαだったことが判明。 二人にのαに挟まれ、果たして千歳はβとして生きていくことができるのか。

恋した貴方はαなロミオ

須藤慎弥
BL
Ω性の凛太が恋したのは、ロミオに扮したα性の結城先輩でした。 Ω性に引け目を感じている凛太。 凛太を運命の番だと信じているα性の結城。 すれ違う二人を引き寄せたヒート。 ほんわか現代BLオメガバース♡ ※二人それぞれの視点が交互に展開します ※R 18要素はほとんどありませんが、表現と受け取り方に個人差があるものと判断しレーティングマークを付けさせていただきますm(*_ _)m ※fujossy様にて行われました「コスプレ」をテーマにした短編コンテスト出品作です

処理中です...