もうひとりの君を置き去りに

Me-ya

文字の大きさ
2 / 4

1

しおりを挟む
(………もう少し……後、少しで………)

俺は小さな手を必死で伸ばす。

(…あと、少し………もう少しで……)

届く。

その時。

踏みしめていたはずの崖が崩れ、ソレを掴んだと思った手は空をかき、俺は真っ逆さまに崖を転がり落ちる。

どちらが青空でどちらが地面かも分からなくなるほどに崖を転がり落ち、太い気の切り株に全身を強く打ち付け、失神し………気が付いた時、空は茜色に染まっていた。

「………あ痛………っ!!」

立ち上がろうとして右の足首に痛みが走り、その場にしゃがみ込んでしまう。

-小学5年の夏休み、『無人島でチャレンジ生活!!君も二泊三日の無人島生活を楽しんでみないか?』との文句に興味を惹かれた母親によって強制的に連れてこられた俺-筧悟朗は空を見上げ、夕方………暮れかかる空を見上げて半ベソをかいていた。

夕方の食事を作る為の小枝集めに夢中になりすぎて気が付いたらいつの間にか、皆とはぐれていた。

オマケに崖の上に咲いている花を取ろうとして足を滑らせ、足首を痛めて動けなくなるなんて。

(………最悪だ)

皆に連絡しようにも、携帯はこの島に上陸する前に船の中で小袋に入れて預けてしまっている。

(………最悪だ)

周りは段々と薄暗くなって、恐くなるし。

(………ゆ、幽霊とか出てきたらどうしよう)

風が草や木の枝を揺らす音に、ビクビクする。

大声で泣いて助けを呼びたいが、小学5年で小さい子供じゃないぞというかすかなプライドと、もしかして…大声を出して変なモノが出てきたら…という恐怖に喉がヒリつき、声が出せない。

(…も、もしかして、皆、俺がいない事に気付いてないんじゃ……)

腕時計も携帯と一緒に預けてあるから、今が何時かも分からない。

(………ど、どうしよう……いつまでも見付けてもらえなかったら)

そう思うと、目からポロポロ涙がこぼれ落ちる。

そんな時。

木々が密集している間から白い影がボ~ッと現れ、こちらへ近付いてくる。

(…ヒッ……ゆ、幽霊………っ!!)

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

【朗報】俺をこっぴどく振った幼馴染がレンカノしてたので2時間15,000円でレンタルしてみました

田中又雄
恋愛
俺には幼稚園の頃からの幼馴染がいた。 しかし、高校進学にあたり、別々の高校に行くことになったため、中学卒業のタイミングで思い切って告白してみた。 だが、返ってきたのは…「はぁ!?誰があんたみたいなのと付き合うのよ!」という酷い言葉だった。 それからは家は近所だったが、それからは一度も話をすることもなく、高校を卒業して、俺たちは同じ大学に行くことになった。 そんなある日、とある噂を聞いた。 どうやら、あいつがレンタル彼女なるものを始めたとか…。 気持ち悪いと思いながらも俺は予約を入れるのであった。 そうして、デート当日。 待ち合わせ場所に着くと、後ろから彼女がやってきた。 「あ、ごめんね!待たせちゃっ…た…よ…ね」と、どんどんと顔が青ざめる。 「…待ってないよ。マイハニー」 「なっ…!?なんであんたが…!ばっかじゃないの!?」 「あんた…?何を言っているんだい?彼女が彼氏にあんたとか言わないよね?」 「頭おかしいんじゃないの…」 そうして、ドン引きする幼馴染と俺は初デートをするのだった。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

処理中です...