学生時代

Me-ya

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8.泣かないで、マイ・ラブ

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美人は睨むと怖さ迫力、共に2割増しになるらしい。

彼女に睨まれたのは私じゃないのに、迫力のある彼女の睨みに何故か、私の方が石になってしまった。

それなのに。

「知ってるよ」

私の肩を抱いたままの治夫が平然と答える。

「俺が最低なんて、今更だろ?」

妙な緊張感。

「…私や彼女の気持ちを知っていて、そんな嘘……そこまでして………」

何の話をしているのかは分からなかったけど、彼女というのが私の事だという事はなんとなく理解できた。

少しの間、唇を噛んで治夫を睨んでいた彼女が私に視線を移してきて。

「………許さないから!!」

捨て台詞を吐いて、去って行く後ろ姿。

その後ろ姿をぼんやりと見送っていた私は。

「………ごめんね」

すぐ横で聞こえた治夫の柔らかい声にハッと我に返る。

そして。

横を向くと眩しい笑顔。

(……………尊い………………)

その笑顔だけで何でも許してしまえる。

てか、許す。

………………………ん?

(………許す前に………私は何を謝られているの?)
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