学生時代

Me-ya

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8.泣かないで、マイ・ラブ

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『貴女なんか、隼人の代わりのくせに彼女面してんじゃないわよっっっ!!』

ハヤトの代わりのくせに…。

ハヤトの代わりのくせに…?

ハヤトの代わり…。

ハヤトの代わり…?

ハヤト…。

ハヤト…?

名前………?

……え………ハヤトって……誰………?

…っていうか………………隼人って……………………………男性…………?

………………………………………いや。

いやいやいやいやいや。

ないないない。

それはない。

きっとハヤトって名前の女性よ。

そうよ。

最近、男性か女性か分からない名前の人がいるもの。

ハヤトって………どんな漢字を書くのか分からないけど。

………そうだ。

当て字で………どんな字を書くのかは分からないけど……キラキラネームみたいな…普通はハヤトって読めないけど…みたいな…そんな名前なのよ、きっと。

きっとそうよ。

だいたい私に似ているっていうんだから女性に決まって……。

「………ううん、代わりなんかじゃない」

-考え込んでいた私の耳に彼女の声が聞こえた。

「治夫に頼まれて彼女の振りをしていたんでしょう?」

-私の嘘を曝いて。

「治夫が愛している人物に似ているっていわれてその気になった?それとも、もしかしたら…上手くいけば自分がその人物に代わって愛してもらえるかも………って思った?」

-まるで私の心の中まで曝くみたいに。

いたたまれなくなった私は、その場から走り出す。

「残念ね!!」

逃げるように。

「貴女は隼人の代わりよ!!」

耳を塞いで。

「治夫が貴女を好きになる事は絶対、ないから!!」

-それでも彼女の声は私を追いかけてきた。

 
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