学生時代

Me-ya

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8.泣かないで、マイ・ラブ

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-確かに。

私と治夫が付き合っているというのは、彼女に治夫を諦めさせる為の嘘だけど。

『治夫が貴女と付き合うわけないじゃない!!』

そこまで断言する事ないじゃない。

さすがに私も傷付いた。

そうよ。

それに。

可能性は0じゃないはず。

そうよ。

何より。

私は顔を上げると、彼女を真っ直ぐに見詰めると口を開く。

「貴女よりも可能性はあるわ!!」

-治夫に嫌われている貴女よりもね!!

………それは流石に言わなかったけど、彼女には伝わったみたいだった。

そして、それは図星。

私の言葉に彼女は言い返せず。

口惜しげに私を睨んだまま、歯ぎしりをしている。

相変わらず、彼女の背後からは怒りのオーラがメラメラと燃えさかっていたけど。

でも。

もう、怖くない。

(………そうよ。)

少なくとも私は彼女みたいに治夫に嫌われてないんだから。

(………そうよ)

なんてったって私は治夫の彼女(嘘のだけど!!)なんだから!!

今ここで、腰に両手を当てて仁王立ちして天を仰ぎ勝利の高笑いをしたっていいくらいだわ!!

………しないけど!!

ただ。

治夫のストーカーと化した彼女に諦めさせる為に。

(高ピーになるのよっっ!!)

私は両腕を組み、横目で彼女を流し見ると、鼻先で笑おう(精一杯、高ピーに見えるように)として…………………彼女に笑われた。

………………背を高く見せようと(彼女の方が私より背が高いから)一生懸命、つま先立ちしているのが、バレたのかしらとドキッとした私に。

彼女は。

「馬鹿じゃないの……………代わりのくせに……」

吐き捨てるように。

「貴女なんか、隼人の代わりのくせに彼女面してんじゃないわよっっっ!!」
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