学生時代

Me-ya

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8.泣かないで、マイ・ラブ

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いつもなら、治夫と一緒に帰る道。

今日は水曜日。

治夫は図書室へ。

治夫と一緒に図書室へ行く事を拒絶された私は、反省しながらの帰り道。

そんな私の目の前へ。

いつの間にか現れたのが。

「後悔しているのなら、いつでも代わるわよ」

「………代わるって………な、何を………」

「もちろん、治夫の彼女役よ……どう考えても貴女より私の方が治夫の彼女には相応しいもの」

-確かに……………。

………………………………いやいやいや。

認めてどうする!!

な、なんとか反論。

「………か、彼が嫌がるんじゃないかしら」

(………う………声が裏返っちゃった)

だが、しかし、彼女は私の言葉に顔色を変えた。

「……………どういう意味?」

(………うっ………怖い………)

彼女に睨まれ、その迫力に思わず逃げそうになってしまう。

だが。

しかし。

(負けるな、私!!)

今すぐ走って逃げそうになっている足に力を込めて地面を踏ん張る。

「………か、彼はあ、貴女を嫌っているみたいだし……」

………でも、彼女の顔は怖くて見れない。

だから、顔を見ないように視線を逸らして、口を開く。

「……だ、だいたい、か、彼は今、私と付き合っているから、だから、彼の事は早く諦めて…………」

「それが嘘だって言うのよ!!」

彼女の悲鳴のような鋭い言葉に遮られて、思わず逸らしていた視線を上げてしまった。

(………しまった………)

彼女の顔を見てしまった。

真っ直ぐ私を見る。

射るような彼女の視線に。

鬼夜叉のようなその顔に。

腰を抜かしそうなくらい恐怖した。

けど。

「治夫が貴女と付き合うわけないじゃない!!」

まるで。

確信をもっているみたいに放たれた彼女のその言葉に。

ムカッとした。

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