雨のナイフ

Me-ya

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晃が手を振り上げた姿を見て、叩かれると思い俺は目を閉じる。

だが、いくら待っても手が振り下ろされることはない。

どうしたのかと思い、そろそろと目を開くと固まっている晃が居た。

晃は一点を凝視している。

不思議に思い、その視線を辿っていくとそこは俺の内股。

速水に焼き印を押された場所だった。

慌ててその場所を隠そうとした俺の腕を取り、速水は黙ってバスルームに入ると、中に俺を突き飛ばした。

バスルームのタイルに尻餅をついた俺の上に、立ち上がる間もなく冷たい水が降り注ぐ。

「…や…止め…冷たい…っ」

「うるさい。由貴が汚れているから、清めてるんだろ」

「…止め…晃…っ」

「呼び捨てにするな!!」

水の勢いが強くなる。

「由貴は僕を親友だと言ったよね…だったら、馨を僕に返してよ。親友だって言うのなら今すぐ馨を僕に返して!!」

晃の叫びに、俺は何も言うことができない。
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