雨のナイフ

Me-ya

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4ー2

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「…廊下で話をすると、響くから」

掴まれた手にドギマギする。

「どうした?何か、あったのか?」

俺を心配してくれる三城。

泣きたくなる。

誰とも関わらないように生活していたのに。

いつの間に、三城の存在がこんなにも俺の中で大きくなっていたんだろう。

ほとんど、まともに話したことなんてないのに。

いつも、三城の方から話しかけてきて。

俺が返事を返したことなんてないのに。

それでも、いつも馬鹿みたいに話しかけてきて。

「ごめん、こんな夜中に。寝てた、よね?」

「いや、起きてたから大丈夫。それより、やっぱり何かあったんじゃないのか?」

俺は首を左右に振る。

「何もない。ただ、謝りたくて。今日のこと」

「…いや、それはいいけど。俺も聞きたい事があるんだ」

聞きたい事…?

「何?」

「今日のあの車、速水馨が乗ってたよな?知り合い、なのか?」

どうして………。

どうして、三城が速水を知っているのか。

そう考えるよりも先に、俺は首を左右に強く振っていた。

「速水は、いい噂を聞かないから、気を付けたほうがいい」

俺の事を心配して、真剣に忠告してくれている三城に心が痛む。

「ごめん」

「どうし…どうした?やっぱり、速水に何か、されたのか?」

「ごめん、ごめんなさい」

涙を流して謝り始めた俺に三城はオロオロとし、大丈夫か?を繰り返すばかり。

「ごめん。やっぱり、無理だ」

「え?」

「男同士なのに、好きとか。やっぱり無理だよ。おかしい」

「どこが?」

「え?」

「どこがおかしい?」

「だ、だって」

「好きなものはしようがないだろ」

俺の顔を真っ直ぐ見てそう言い切る三城に、俺は何も言えなかった。

「オレの気持ちを受け入れてくれとは言わないけど、否定はしないでくれないか」

その時。

何故か、速水に見せられた映像が思い出された。

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