雨のナイフ

Me-ya

文字の大きさ
47 / 60

4ー1

しおりを挟む
やっと解放された俺は、痛む身体を抑えて寮へと帰った。

やはり、俺なんかが普通の生活を送れると思う事が間違いだったんだ。

…三城には悪いことをした。

青い顔をして寮の前で俺を待っていた三城を思い出す。

駅前で三城の叫びを無視して車に乗り込んで去った俺を責めるでもなく、ただ心配してくれていた。

そんな三城に返事もせず、無言で部屋に籠もってしまった俺。

三城に合わせる顔がない。

なのに…。

合わす顔がないのに、俺は今、部屋を抜け出し暗い廊下を歩いている。

三城の部屋を目指して。

しなければいけない事は沢山ある。

荷物を纏め。

部屋を掃除しなくては。

明日には出ていかないといけないから。

もう、三城に会えない。

そう思うと、凄く三城に会いたくなった。

合わす顔なんかないのに。

わかっている。

わかっているけど。

それでも会いたい。

時刻は、夜中の一時。

消灯はとっくに過ぎている。

普通なら、寝ている時間。

起きているだろうか。

俺は躊躇いながらも、三城の部屋のドアをノックする。

すると、まるで俺が部屋を訪ねる事がわかっていたかのように、すぐドアが開いた。

会いたかった三城がいる。

心配そうな顔をして。

何か話さなければ。

そう思って口を開くが、言葉が出てこない。

胸がいっぱいで。

そんな俺の手首を掴むと、部屋の中に引っ張り込みドアを閉めた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キミがいる

hosimure
BL
ボクは学校でイジメを受けていた。 何が原因でイジメられていたかなんて分からない。 けれどずっと続いているイジメ。 だけどボクには親友の彼がいた。 明るく、優しい彼がいたからこそ、ボクは学校へ行けた。 彼のことを心から信じていたけれど…。

悠と榎本

暁エネル
BL
中学校の入学式で 衝撃を受けた このドキドキは何なのか そいつの事を 無意識に探してしまう 見ているだけで 良かったものの 2年生になり まさかの同じクラスに 俺は どうしたら・・・

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

ファントムペイン

粒豆
BL
事故で手足を失ってから、恋人・夜鷹は人が変わってしまった。 理不尽に怒鳴り、暴言を吐くようになった。 主人公の燕は、そんな夜鷹と共に暮らし、世話を焼く。 手足を失い、攻撃的になった夜鷹の世話をするのは決して楽ではなかった…… 手足を失った恋人との生活。鬱系BL。 ※四肢欠損などの特殊な表現を含みます。

処理中です...