雨のナイフ

Me-ya

文字の大きさ
50 / 60

4ー4

しおりを挟む
「…もしかして…速水に…昔の…オレの、映像、見せられたんじゃないか?」

ギクリとした。

「え、見せ、見せられてない。な、何も、知ら、ない」

ギクシャクと首を左右に振るが…。

ああ、俺の馬鹿。

これじゃ、見ましたって言っているようなもんだろ!!

「いいよ、気を使わなくて」

案の定というか、三城は俺の言葉を信じていない。

「青山が速水とどういう関係かわからないけど、二人が知り合いなら、きっとあの映像は見せられているはずだから。だから、あの映像を見ても、それでも抱きたいって言ってくれたのかと思って、嬉しかったんだ。ごめん、そんな訳、ないのにな」

震えている声を聞いて、傷付けたと思った。

俺が、三城を傷付けたと。

「違っ…そうじゃなくて…」

「ごめん。オレ、本当に好きな人とシた事ってないんだ。だから、オレの事を好きじゃなくてもいいんだ。好きな人が望むんなら、オレは…」

俺の馬鹿。

何をやっているんだ。

三城を守るとか誓ったのに、今、三城を傷付けているのは俺じゃないか。

「待って。本当に、違うんだ」

三城の言葉を遮って止めると、俺はズボンを脱いで内股に付けられた焼き印を見せる。

俺だけ三城の全てを知っているのはフェアじゃない。

そう思った。

「これ、速水に付けられたんだ。俺が逃げないようにって。俺は速水の玩具なんだ。暇潰しの…それがどういう意味か、わかるよね?」

自嘲気味に笑う。

三城は驚いて言葉もないみたいだ。

俺の内股に付けられた焼き印に、視線が釘付けになっている。

「だから、聞いてみたかったんだ。三城に…映像、見せられたよ。それで…あんな事、されて、それでも俺に抱かれる気になるのか…どうしてそう思うことができるのか、聞いてみたかったんだ…ごめん」

「好きだから」

傷口を抉るような俺の質問に、何でもないことのように答える三城。

「好きな人が望むのなら、躊躇うわけないじゃん。そりゃ、好きな人にも好かれてっていうのが理想だけど、そんな事、夢のまた夢だしね」

苦笑いをする三城。

ああ…俺、三城が好きだ。

今頃、気付くなんて。

俺はやっぱり、馬鹿だ。

俺は三城の首筋に両手を回す。

「青山?」

この気持ちは三城に伝えることはできない。

俺は明日、ここを去るから。

でも、思い出くらい、いいだろう?

自分勝手なのはわかっている。

恨んでくれてもいい。

いや、三城は俺の事を忘れて。

今日の事は、夢だと思って忘れてくれたらいい。

俺が覚えているから。

全て、覚えているから。

俺は驚いて俺を見詰める三城の唇に、口付けた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悠と榎本

暁エネル
BL
中学校の入学式で 衝撃を受けた このドキドキは何なのか そいつの事を 無意識に探してしまう 見ているだけで 良かったものの 2年生になり まさかの同じクラスに 俺は どうしたら・・・

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

ファントムペイン

粒豆
BL
事故で手足を失ってから、恋人・夜鷹は人が変わってしまった。 理不尽に怒鳴り、暴言を吐くようになった。 主人公の燕は、そんな夜鷹と共に暮らし、世話を焼く。 手足を失い、攻撃的になった夜鷹の世話をするのは決して楽ではなかった…… 手足を失った恋人との生活。鬱系BL。 ※四肢欠損などの特殊な表現を含みます。

処理中です...