僕が玩具になった理由

かりそめの日々の鎖－雅樹の章－

8

「…ﾊｱ…お待たせ…ﾊｱ…しました…ﾊｱ…」

「…大丈夫？そんなに走って来なくても、よかったのに」

「…でも…ﾊｱ…待たせたら…ﾊｱ…悪いから…ﾊｱ…」

「じゃあ、行こうか」

「…はい」

「眞司！待てよ!!」 

「……和巳」

「…ちょっと、こっち来い」

「…何だよ」

「いいから！」

「…少しまっててね。すぐ、済むから」

「…これはどういう事だよ？優紀はどうした!?」 

「…何？」

「優紀だよ！コイツの事は送り迎えする程、心配しているのに優紀の事は心配じゃないのかよ!?」 

「優紀がストーカーされる訳、ないじゃないか」

「…そういう事じゃなく…優紀の事も、少しは考えてやれって言ってんの!!」 

「優紀を心配しろって…？好きな事をしているのに？」

「…優紀があんな事を好きでしていると思うのか？眞司が指示するからだろ！止めさせろ」

「…どうして？嫌なら嫌だと言ったらいいじゃないか。確かに指示したのは俺だけど、強要はしていないから」 

「…お前…最低だな」

「…和巳にはそんな事、言われたくないね。だいたい
和巳 だってアイツを無理矢理…だったじゃないか。アイツ、カエルみたいな格好で跳び跳ねながら痛い、痛いって泣いちゃってさ。ま、俺は笑えたけど」

「…優紀がお前を好きな理由がわからねえ…どこがいいんだ、こんなヤツ…」 

「話はそれだけ？なら、俺、もう行くから…ごめん。待たせたね。じゃ、行こうか」

「…え、でも、あの人は…」

「大丈夫、話はもう終わったから。行こう」