僕が玩具になった理由

Me-ya

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たどりついた道程-逃避の章-

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―いつの間にか少なくなっていた優紀の荷物。

まるで俺が、優紀を捨てる事を事前に知っていたように、別れ話を切り出したその日に鞄ひとつだけを持って出ていった優紀。

どこか行くあてはあるのかと聞いた俺に、友人の所に世話になると笑っていた。

―優紀に、そんな友人なんていない事を知っていたのに…。

知らない振りをした。

気付かない振りをして、優紀を見送った。

都合の悪い記憶に蓋をして。

そんな…優紀を捨てて、雅樹を選んだ俺に優紀は何も言わなかった。

ただ、黙って去って行った。

兄貴の元に。

俺の代わりに。 

俺はその事に薄々気付いていながら、知らない振りをして優紀を見送ったんだ。

―雅樹の為に。
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