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心の行き場-最終章-
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「―ボクはどっちでもいいけど?」
黙っている俺にしびれをきらしたのか兄貴はもう1度、そう言うと優紀の方に歩き始める。
「…それとも、ボクの使い古しはいらないか?…まあ、お前がいらないって言うのなら、しかたがないからボクが使って―」
倒れている優紀に、兄貴の手が伸びて―。
「…駄目だ!!」
考えるより先に…兄貴の手が優紀に触れる前に、俺の身体が…口が―動いていた。
(―もう、どうでもいい)
これが罠だろうが…なんだろうが…。
(兄貴に…優紀は、渡さない!!)
兄貴の手が優紀に触れる前に、俺は優紀の身体を抱き締めた。
「…駄目だ」
(―兄貴には渡さない)
強い意思を持って…俺は初めて―兄貴の顔を正面から睨み付けた。
兄貴に奪われないよう優紀を強く抱き締めながら―。
そんな俺を見下ろした兄貴は、もう用はないとばかりに俺達から視線を外し…踵を返す。
「…あ…兄…」
思わず声をかけてしまった…俺の呼び掛けにも足を止める事なく、兄貴は部屋から出て行く。
男性二人を従えて部屋を出て行く兄貴の後ろ姿を俺はただ、黙って見ていた。
ー優紀を抱き締めたままー。
(…もう二度と兄貴に会う事はないだろう…)
そう、思いながら…。
黙っている俺にしびれをきらしたのか兄貴はもう1度、そう言うと優紀の方に歩き始める。
「…それとも、ボクの使い古しはいらないか?…まあ、お前がいらないって言うのなら、しかたがないからボクが使って―」
倒れている優紀に、兄貴の手が伸びて―。
「…駄目だ!!」
考えるより先に…兄貴の手が優紀に触れる前に、俺の身体が…口が―動いていた。
(―もう、どうでもいい)
これが罠だろうが…なんだろうが…。
(兄貴に…優紀は、渡さない!!)
兄貴の手が優紀に触れる前に、俺は優紀の身体を抱き締めた。
「…駄目だ」
(―兄貴には渡さない)
強い意思を持って…俺は初めて―兄貴の顔を正面から睨み付けた。
兄貴に奪われないよう優紀を強く抱き締めながら―。
そんな俺を見下ろした兄貴は、もう用はないとばかりに俺達から視線を外し…踵を返す。
「…あ…兄…」
思わず声をかけてしまった…俺の呼び掛けにも足を止める事なく、兄貴は部屋から出て行く。
男性二人を従えて部屋を出て行く兄貴の後ろ姿を俺はただ、黙って見ていた。
ー優紀を抱き締めたままー。
(…もう二度と兄貴に会う事はないだろう…)
そう、思いながら…。
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