僕が玩具になった理由

Me-ya

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心の行き場-最終章-

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(これからは優紀を大切にしていく) 

静かに涙を流しながら俺にしがみつく優紀をきつく抱き締め、そう誓う。 

二人でマンションを出る為、優紀に服を着せていく。

初めは兄貴に捨てられたショックからかボンヤリしていて動こうとしない優紀だったが、俺が優紀を風呂に入れる準備をしたり、優紀の荷物を纏めたりしている内におちついたのか、今は黙って自分で服を着ている(ノロノロとではあるが)。

俺はそんな優紀が服を着替えるのを手伝い、肩を支え、優紀と二人、部屋を出ていく。

部屋を出ていく時、優紀は一度振り返り、部屋をジッと見詰めていたが…僕が促すと…やがて諦めたように俯いて何も言わず歩き出した。

エレベーターに乗り、一階―マンションのエントランスホールまで降りる。

外は夜が明けて、朝日が昇ろうとしている。

昨夜は人影のなかった道も、今は……犬の散歩や、勤め人だろうか………まばらにだが、歩いている人や走っている車。

あの自動ドアを出たら、完全に兄貴からは解放される。

(…俺も…優紀も…) 

もう少しだ………。

ふらつく優紀を支えながら歩く。

マンションのエントランスを横切り…自動扉が開いて外へ足を一歩踏み出した。

朝日の眩しさに目が眩み、一瞬、足が止まる。

その時。

黒い影が視界の端を横切った。

それと同時に。

それまで歩くのもやっとという感じで俺に身体を支えられて歩いていた優紀がいきなり凄い勢いで身体を翻し、俺に抱き付いてきた。

「………え……?」 

と同時に、何かがぶつかったような衝撃。

「きゃーーーっ!!」

誰かの悲鳴。

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