暗い水の中を壊して逃げていく

Me-ya

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no more friends

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-ドアのノブを回すと。

鍵がかかっていない。

僕は部屋の中に素早く入り、そっとドアを閉め…少し躊躇ったが靴のまま、部屋の中を奥へ進む。

部屋の床には買い物袋が落ちて、中身のビール缶やらおつまみの袋、夕飯の材料にしようとしたのだろうか…食材が落ちて散乱している。

それと一緒に樹生が着ていた服、ズボン、下着も脱ぎ捨てられていた。

それらを辿っていくと、寝室に辿り着く。

寝室のドアは少し開いていて、中から声が聞こえていた。

「…そこ……そこ……っ…もっと強く……っ!……ひぃっ!!」

「………ここか……?……ここだろ……?」

「……ひぃっ!…ヒィッ!!…うん……ああ……っ!!……いい……いい……っ…もっと…強く………っ!!」

寝室の開いているドアの隙間からそっと覗くと、そこには床の上、全裸で絡み合う2人の姿が。

-よほどいいのか。

窓が開いている。

それなのに、樹生は声を抑える事もせず、大声で嬌声を上げ続ける。

「………いい……っ…もっと……っ!!」

以前の樹生なら考えられない。

男性の治朗に抱かれて悦んでいる自分をいちばん隠したがっていた樹生なのに………。

治朗の身体に両手両足でしがみついている樹生の顔は今まで見た事がないくらい快感に呑み込まれて………惚けた顔をしていた。

白眼を剥き、快感を訴えている唇からは涎が流れ、治朗の動きに合わせて激しく腰を振っている姿は、もう、僕の知っている樹生の姿ではなかった。

「……いいぜ…もっと大きな声で善がれよ。アパート全体に聞こえるようにな…お前がオレの女だって皆に知らせてやれ」

面白がって言う治朗の言葉に応えるように、樹生の嬌声も大きくなる。

「………いい……っ……そこ……っ…もっと……強く突いて……っ!!」

樹生の身体は完全に治朗に抱かれて悦ぶようになってしまっている。

治朗の命令にも嬉々として従うなんて………。

完全に、治朗の女になってしまっていた。

その姿に、少し胸が痛んだけと………。

(………もう、後戻りはできない)

-僕はタイミングを見計らう。

「…オレと彰どっちがいい?……どっちが1番感じる?」

「…治朗……っ…治朗がいい………っ!!…治朗の方が感じる………っ」

(………今だ)

僕はわざとビール缶を蹴り、足音を立てて部屋を飛び出した。

後ろからかすかに僕の名前を叫ぶ樹生の声が聞こえてきたが、振り返らなかった。

後ろを見ずに、走り続けた。

(……電話をしなくちゃ……惠に……今すぐそこを出て…約束の場所へ………)

分かっているけど、足が止まらない。

今にも樹生が追いかけてきそうで………。

心臓が耳元でバコバコといっている。

息が苦しい。

それでも、僕は走り続けた。

(………これで…これで…やっと、僕等は自由になれるんだ!!)

もう、樹生の事は考えなくていい。

-僕は樹生を捨てたんだ。

《to be continued ………》
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